JA茨城旭村で栽培されるパプリカは海外産に比べて一回り大きく、肉厚で甘みが強いのが特徴です。王様の名にふさわしい貫禄で「パプ王」というブランドで市場へ出荷されています。年々生産者と栽培面積が増え、今では総栽培面積7haで年間78,000ケースを出荷しています。 産地だより

石崎さんのパプ王

JA茨城旭村で栽培されるパプリカは海外産に比べて一回り大きく、肉厚で甘みが強いのが特徴です。王様の名にふさわしい貫禄で「パプ王」というブランドで市場へ出荷されています。年々生産者と栽培面積が増え、今では総栽培面積7haで年間78,000ケースを出荷しています。

王様の名にふさわしい貫禄

JA茨城旭村 パプリカ部 部長 石崎 和浩さん
JA茨城旭村 パプリカ部 
部長 石崎 和浩さん

「誰も作ったことがないものに挑戦してみたかった。」と話すのは12年前からパプリカ栽培を行っている石崎さんです。
鮮やかな色合いとほのかな甘みで料理に彩りと深いうまみを与えるパプリカに惹かれ、栽培をスタートさせました。
国内流通の9割をオランダ産や韓国産が占めるこの作物は、国内では茨城県や長野県など一部の県で栽培されています。
JA茨城旭村では2005年より栽培が始まり、パプリカの王様という意味を込めて「パプ王」という名のブランドで7月から12月に市場へ出荷しています。

海外産のパプリカに比べて一回り大きく、肉厚で甘みが強い特徴はまさに王様の名にふさわしく貫禄十分!2009年にブランド名を商標登録し、その後出荷箱のデザインを華やかなデザインに一新しました。収穫後、1個ずつ手作業で袋に詰めることで海外産との差別化を図っています。
年々生産者と栽培面積が増え、今では総栽培面積7haで年間78,000ケースを出荷しています。消費者や市場関係者からは「特有の苦みがなく、甘くておいしい!」と評価を得ているそうです。

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パプリカとピーマンの違いとは

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パプリカはピーマンと同じナス科トウガラシ属の作物です。
その違いは明確に定義されていませんが、果肉が薄くて細長いものがピーマン、果肉が厚くて大きなベル型のものがパプリカと呼ばれ、果肉の厚さ、形、甘み苦みで区別されています。一般的なピーマンは成熟前に収穫するので緑色ですが、収穫せずに熟させると鮮やかな赤や黄色に変化しカラーピーマンと呼ばれるものになります。一方パプリカは緑色に育った後、赤色品種なら黒色に変わりのちに鮮やかな赤色に、黄色品種なら緑から黄色に色づきます。
特に赤色の要望が多く、それに合わせて部会でも赤色から作付け、出荷を行っています。

二大天敵を防ぐ

部会では、高原など涼しい環境を好むパプリカを他産地と出荷時期をずらすためにあえて夏場に出荷ピークを迎えるように栽培しています。
しかし極端な温度変化が苦手な作物のため、温度管理やハウス内での作業が特に重要だといいます。「部会員の圃場は海から1kmほどの距離にあります。涼しい海風がよく通るので気温が内地より1~2度低いのですが、それでもハウスの中に熱がこもってしまうことが多々あります。そこで遮光ネットを設置し、強い日光で表面に焼け跡や黒い斑点がでてしまうのを防いだり、ハウスの天井に遮光塗料を噴射して気温の急激な上昇を防ぐように気を付けています。」と石崎さん。

また、温度以外にもパプリカのもう一つの天敵、アブラムシやアザミウマという害虫がいます。アザミウマは野菜をかじって汁を吸い表面に傷をつけたり、病気のウイルスを媒介させたりする厄介な虫です。赤い色を嫌がるアザミウマの習性をうまく利用し、ハウスの周りに赤色の専用遮光ネットを張り巡らせるよう対策しています。

栽培にかける情熱

今でこそスーパーで見かけるようになったパプリカですが、栽培をスタートさせた当初は珍しい野菜でした。そのため、栽培方法を知っている人が少なく試行錯誤の連続だったそうです。
経験を積み安定した栽培ができるようになった現在でも、パプリカ栽培に関する書籍やインターネットの情報は欠かさずチェックし、石崎さんご自身の栽培に活かしているそうです。

また、2011年までパプリカの茎を支柱で支えていましたが、資材費低減や省力化を目的にビニール紐に変えるなど、独自の工夫を行っています。
このような勉強熱心さはパプリカの品質の高さに繋がっているとJAの職員さんも太鼓判を押しています。

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国産パプリカを広めたい

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ピーマンのような青臭さがなく甘みが強いパプリカは近年、国内での消費量は増加しています。しかしながら需要は決して多いとはいえず、国内産にとってまだまだ厳しい状況が続いています。
「今後の課題としては、消費者に国産のパプリカをさらに知ってもらえるよう、県を超えて積極的なPRを行っていく必要があります。まずは市場や小売店での試食販売で美味しさを知っていただき、少しずつ「パプ王」を取り扱ってくれる店舗を増やしていきたいですね。」と意欲を語ってくれました。

誰も作ったことがないものに挑戦してみたかったというチャレンジ精神で始まったこのパプリカ栽培。
ぜひ海風と日光をたっぷりと浴びて大きく育ったパプ王をご賞味ください。

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取材協力

JA茨城旭村 営農情報支援センター

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