関東の重要な生鮮野菜供給産地

因泥 由紀夫さん 通江さん夫妻
関東平野のほぼ中央に位置する茨城県古河市。北側は栃木県、西側は埼玉県に隣接しており、首都圏へは50㎞圏内と近いため生鮮野菜の重要な供給産地となっています。今回は古河市にあるJA茨城むつみ総和地区園芸部会に所属する因泥さんの畑から今が旬のブロッコリーを紹介します。
JA茨城むつみは平成6年に境町、五霞町、旧古河市、旧総和町、旧三和町、旧猿島町の6つのJAが合併し、茨城むつみ農業協同組合として発足しました。
総和地区園芸部会は現在83名の部会員が所属しており、そのうち約20名でブロッコリーを栽培しています。総和地区のブロッコリーは、茨城県より青果物銘柄推進産地の指定を受けており、県内を中心に、年間2.5~3万ケースを、春と秋の年2回出荷しています。
両親から引き継いだ畑を夫婦で協力

因泥さんご夫妻は、結婚後3年目にして由紀夫さんのご両親から畑を引き継ぎました。引き継いだ直後、由紀夫さんは腰をよく痛めていました。「当時はブロッコリーの定植が全部手作業でね、大変だったんだよ。」と笑って話してくれました。12年程前からは、農作業の効率化を図って機械での定植作業を導入しました。通江さんは、お子さんが小さいうちはご自宅での出荷準備などを手伝っていたそうですが、子育てが一段落した現在は、由紀夫さんと一緒に畑に出て農作業をするようになったと話してくれました。
まずは土づくりから

ブロッコリー定植前の8月頃、因泥さんの畑では、トラクターに「サブソイラ」という硬盤層を破砕する機械を取り付け、土中の通気性・排水性を高めるための土づくりを行っています。この作業により過湿に弱いブロッコリーの水分調整を助け、土をやわらかくし、根が伸びやすい畑作りを行うそうです。また、気温が高い年はブロッコリーの茎に空洞ができやすくなるため、土中の窒素量などを調整して対策しています。
9月に入ると定植が始まります。因泥さんは早生種(わせしゅ)の「おはよう」、中生種(なかてしゅ)の「直緑93号(ナオミドリ)」という品種を複数の畑で栽培しており、定植作業が終わると今度は除草に追われます。「ブロッコリー畑は雑草が生えやすくてね、除草しないと土の中の栄養を持って行っちゃうんだ。」と話してくれました。
また、草丈が高く成長するブロッコリーは、強い風が吹くと倒れやすいため、秋の台風には毎年悩まされるそうです。今年は大きな台風が定植後の9月に集中したため、不安の種となっていたそうですが、因泥さんの畑の苗は台風が過ぎると元気に起き上がってくれたので、「それを見て安心した」と話してくれました。
収穫はすべて手作業でカット
11月に入るとご夫妻でブロッコリー収穫が始まります。
収穫シーズンに入った後も気が抜けません。気温が高くなりすぎるとブロッコリーは花蕾の成長が進み収穫が追い付かなくなることもあります。逆に気温が下がりすぎたり、雪が積もると花蕾の表面が紫色に変わってしまいます。
収穫は早生種の「おはよう」から始まり、その後12月に入ると中生種の「直緑93号(ナオミドリ)」と続きます。
収穫方法はすべて手作業で、ブロッコリーの茎をカットして裏返し、周りの葉を落としていきます。その後、花蕾の一番高いところから16cmのところで茎の長さを整える作業を、ご両親と一緒にご自宅でおこないます。そのあと大きさを整えたブロッコリーを箱詰めし、出荷します。

シンプルに
「茹でて食べる」が一番美味しい
おすすめのブロッコリーレシピをお伺いすると「ブロッコリーを4~5分茹でて、マヨネーズをつけて食べるのが一番美味しいよ。」と教えてくれました。その他にもベーコンと合わせてバター炒めにしたり、シチューにいれるのもおすすめだそうです。JA茨城むつみ 総和地区園芸部会の中では、「天ぷらにしても美味しい」という話題も出ていたと教えてくれました。

因泥さんは今後の目標を「今は離れて暮らしている子供と、将来的に一緒に農業をやっていけたらいいなと思うよ。」と話してくれました。部会としても、品質の良いブロッコリーを出荷していけるようサポートしていきたいと考えていらっしゃるそうです。
今が旬のJA茨城むつみ 総和地区園芸部会のブロッコリーを、ぜひ、ご賞味ください。
取材協力
JA茨城むつみ 総和地区営農センター
〒306-0221 茨城県古河市駒羽根969-4
- TEL :
- 0280-92-1820
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- 0280-92-6700