枝物の生産を通して地域を活気づけているJA常陸奥久慈枝物部会では
11月上旬から12月下旬までクリスマスやお正月を金色や銀色で彩る染め枝の出荷をおこなっています。
市場からの声に応え、多品目を扱うだけでなく、品質にこだわり栽培・加工をしています。 産地だより

JA常陸奥久慈枝物部会の染め枝

枝物の生産を通して地域を活気づけているJA常陸奥久慈枝物部会では 11月上旬から12月下旬までクリスマスやお正月を金色や銀色で彩る染め枝の出荷をおこなっています。 市場からの声に応え、多品目を扱うだけでなく、品質にこだわり栽培・加工をしています。

枝物の産地、常陸大宮地区

JA常陸奥久慈枝物部会 染枝部長 長山さん
JA常陸奥久慈枝物部会
染枝部長 長山さん

JA常陸の大宮地区は奥久慈なすや、奥久慈ねぎなどの農作物栽培に加え、枝物の栽培にも力を入れています。JA常陸奥久慈枝物部会での枝物栽培は多品目にこだわって約250品目以上を取り扱っており、なかでも雲竜柳の栽培者が共同で染め枝を加工する県内有数の部会です。
今回はクリスマスやお正月の生け花などに使用される金色・銀色で華やかに染まったJA常陸奥久慈枝物部会の染め雲竜柳をご紹介します。

ニーズに応え地域農業を活気づける

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JA常陸奥久慈枝物部会は耕作放棄地の活用と新規参入のしやすい枝物に着目し、平成17年当初部会員8名で発足された部会は、現在112名となるほど枝物の栽培で地域農業を活気づけています。
それぞれの部会員は市場からのニーズに応えるため年間を通して多品目を栽培し、流行などにも対応できるように要望のある新しい品目にも挑戦しています。市場からは豊富な品目と少量からでも対応できる産地として信頼を得て年々出荷量は多くなり、部会では枝物栽培の若い担い手も増えてきたといいます。

ロスを減らし均一に染まった枝物に

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11月上旬、お正月やクリスマスの生け花などに使用される金色や銀色に染めた枝物の加工が始まります。JA常陸奥久慈枝物部会染枝部に所属する18名の部会員で、雲竜柳・行李柳・石化柳・ドラゴン柳を中心に市場から注文を受け12月下旬まで加工・出荷をしています。ピーク時期は1日で、束になった枝枝を約300束加工するなど、昨年は16万本を出荷しました。

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同部会の染枝部は栽培者個人で加工するのではなく、共同で加工することで、色の違いや塗りムラのない品質のそろった染め枝を生産することができます。

部会ならではの金色

柳類の表皮は水分を弾く性質を持っているため剪定後3〜4日間乾かし水分などを飛ばします。「しっかり乾かしていないと塗料が定着しにくくなって色むらが出てしまうし、特に金色の塗料は染まりにくいので柳をしっかり乾かしておくことが重要です。なので雨の日には作業はできません。」と長山さんはいいます。

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栽培者から届けられた規格ごとの本数やサイズにまとめられた様々な品種の柳などをコンテナに入った金色と銀色の塗料で色むらが出ないように桶を使いまんべんなくかけます。

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塗料は金色の配合が特に難しく他の産地での配合レシピは教えてもらえないほどで、部会での染め枝の加工が始まった当初はうまくいかない年もあり試行錯誤を重ね、今の金色になったのだと長山さんは話してくれました。

いつでも出荷をできるように

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塗料をかけた後、針金で吊るす事で根元から全体に塗料が広がり仕上がりが美しくなるだけでなく、余分に付いた塗料が落ちるのでもう一度コンテナに戻し塗料の無駄を少なくしています。

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乾燥は金色が3日〜4日間、銀は1週間ほどハウス内で乾かし、乾燥後は倉庫へと運び出荷を待ちます。

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「お客様には注文分だけではなく時期に合わせてこれから必要になりそうな色の分を余分に出荷します。さらに加工の量も急な注文が入った際にも対応できるように最低でも注文分の5倍を生産しておいています。その時もやみくもに生産するのではなく時期に合わせてクリスマス前では銀色を、お正月前では金色を多くするなど時期によって各色の生産量を変えています。」と教えてくれました。

市場からの声に応える

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染枝部ではお客さんからの要望で松ぼっくりなどの柳以外の品目や銀や金色以外に赤色などの違う色、規格以外のサイズにも挑戦しています。長山さんは「昨年は宮城県、今年は大阪府と出荷先が増え現在15か所の市場へ出荷をしていますが、より沢山の要望に応えられるよう色や品目をこれからもっと増やしていきたいです。そして生産量を増やし、沢山のお客様に喜んでもらえる物を届けていきます。」と今後の目標を教えてくれました。

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ぜひJA常陸奥久慈枝物部会染枝部が丁寧に染めた煌びやかな染め柳を飾ってみてはいかがでしょうか。

取材協力

JA常陸 大宮営農経済センター

〒319-2256 茨城県常陸大宮市田子内町3091-6

TEL :
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