種ごと食べられる
こだますいか"ピノ・ガール"
茨城県西地域ではこだますいかの栽培が盛んで、生産量は全国1位を誇ります。JA常総ひかりの管内である下妻市では古くからスイカの栽培がおこなわれており、近年では核家族化に伴ったニーズに応えるためこだますいかの栽培に力をいれています。
JA常総ひかりは市場からの要望で2020年から"ピノ・ガール"という品種を導入しました。ピノ・ガールは種の大きさが従来品種のおよそ4分の1ととても小さく、種ごと食べられるこだますいかです。食べる際に種が邪魔になることなどが一因で全国のスイカの作付面積も減少傾向にあるなか「種を気にせず思いっきり頬張ることができる」という、これまでのスイカの概念を大きく変える品種として注目されています。(ナント種苗株式会社 ピノ・ガール、旬の食材百科より引用)
要望に合わせて柔軟に
JA常総ひかり千代川地区すいか部会は20人が所属し、うち11人がピノ・ガールの栽培をおこなっています。はじめは3人の部会員が300本のピノ・ガールを試験導入しましたが、市場からの評判が高く、数年でピノ・ガールがこだますいかの主要品種となりました。
羽賀さんもピノ・ガールを栽培する生産者のひとりです。祖父の代から3代続くスイカの栽培をおこない、ピーク時期には1日に1,500玉ものこだますいかを出荷しています。「父の代では大玉すいかが主流でしたが、私の代ではこだますいかだけを栽培しています。早めに栽培技術を習得できるように就農し、父からスイカ栽培のノウハウを受け継ぎました。ピノ・ガールは新しい品種のため、JAと種苗メーカーでの講習会を頻繁におこない栽培技術を高めています。」
品質を重視し1番果だけを出荷
ピノ・ガールは、ほかの品種に比べて草勢が強い性質があります。葉や蔓ばかりが伸びて花や実付きが悪くなる「つるぼけ」を防ぐために、肥料を抑えて草勢をコントロールすることが大切だと羽賀さんは話します。「草勢が強い品種だからこそ減肥し、肥料も化学肥料に頼らず鶏糞などの堆肥を使って栽培しています。」
収穫時期になるとJA職員と立ち会いで試し割りをおこない、11度以上であることを確認してから収穫をおこないます。一つひとつタオルで丁寧に磨き、規格ごとに箱詰めて出荷されます。
部会では品質の高いこだますいかを出荷したいという想いから、2番果のこだますいかは出荷せず、収穫後は苗を植え直して栽培しています。
たくさんの人に"ピノ・ガール"を
羽賀さんは「最近はピノ・ガールを知っている方が増えてきたので、これからも品質を落とさず安定出荷に努めていきます。小さなお子様にも食べやすい品種なので、たくさんの方に届けていきたいです。」と今後の目標について話してくれました。
JA常総ひかり千代川地区すいか部会のピノ・ガールは、やすらぎの里しもつま 農産物千代川直売所などでもお買い求めいただけます。
種が気にならないだけでなく甘いシャリ感のある肉質が魅力のピノ・ガールを、ぜひご賞味ください。
取材協力
JA常総ひかり 千代川野菜集荷場
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