手しおにかける

「入善ジャンボ西瓜」の栽培研究、5年目の新たな挑戦!【入善高校①】

2023年06月07日

JA全農とやまでは、富山県内の頑張る農業高校生の姿をブログにて紹介しています。
今回は、『富山県立入善高等学校 農業科 入善ジャンボ西瓜班』の生徒たちに密着します!

同校では、5年前から「NEW農チャレンジ事業」と称し、入善町の特産品である「入善ジャンボ西瓜」の栽培研究に取り組んでいます。
昨年も西瓜の研究をしていた3年生4人に、新たに2年生3人が加わり、計7名の生徒が先生や生産者の指導のもと、「入善ジャンボ西瓜班」として活動しています。

 
5月のとある日、3年生の授業にお邪魔しました。

この日の授業内容は、入善ジャンボ西瓜の「定植作業」。
今回の研究では、自根苗20株、接ぎ木苗20株の計40株の苗を定植していきます。

通常、入善ジャンボ西瓜では他の西瓜のような接ぎ木栽培はおこなわず、自根栽培をしていますが、同校では接ぎ木による生産性の向上等を調査するため、接ぎ木栽培の研究を実施しています。

「自根苗」とは、自分の根から養分を吸収して生育する苗のことで、「接ぎ木苗」とは、花や実のなる植物の茎(穂木)と根となる植物の茎(台木)をつなぎ合わせてできた苗のことです。病気に強い品種を台木として接ぎ木することにより、丈夫な苗を作ることができ、また自根苗のみの栽培を続ける場合に比べ、同じ作物を栽培し続けることにより発生する「連作障害」も防ぐことができるそうです。


▲まずこちらが、ジャンボ西瓜の「自根苗」。


▲そしてこちらが「接ぎ木苗」。

今年度の研究では、土壌病害全般に耐性が強いと言われているかぼちゃの「新土佐(しんとさ)」を台木に選び、写真のようにジャンボ西瓜の苗とクリップで繋ぎ合わせたものを使用します。


苗の準備が出来ると、定植作業に移ります。
苗を圃場へと運び、、



まずは、畝に被せたマルチにカッターで1m間隔に切り込みを入れ、苗を配置していきます。




そして、その切込みに手作業で苗を植えていきます。



生徒たちは一株一株、優しく丁寧に植えていました。

この日は、入善ジャンボ西瓜組合の高見組合長が現場にかけつけ、定植の指導をしてくださいました。

定植のポイントを伺ったところ、苗の下部にある「子葉」という葉の向きをすべての苗で揃えて、土を固めすぎないように植えること。「子葉」の向きを揃えることで、今後伸びてくる“つる”の方向を一定にそろえることができるそうです。






定植作業を終えると、生徒たちは、「これが立派な西瓜になると思うと嬉しい」「愛情を込め、管理をしっかりして甘く美味しい西瓜になって欲しい」と話してくれました。


今年で5年目となる同校の“NEW農チャレンジ事業”。

今年度の研究では、
「慣行区」と「接ぎ木区(基肥・追肥2割削減)」の2試験区に分け、西瓜の生育度合を研究します。
それに加え、今年度初の取り組みとして、生徒たちは「四角い入善ジャンボ西瓜」の栽培にチャレンジします!

「四角い西瓜」を作ろうと思った理由について生徒たちに話をきいたところ、
「“四角い西瓜”といった注目されるものを作り
地域の特産品である入善ジャンボ西瓜をもっとたくさんの人に知って欲しいと思った」
と、今回の研究テーマに込めた思いを聞かせてくれました。

西瓜組合の高見組合長によると、
四角い西瓜を作る方法は、「西瓜がある程度生育した段階で長方形のケースに入れ、生育させる」
そして、成功のカギは、「ジャンボ西瓜の完成時の体積を計算し、それを見込んだ箱を作ること」とのこと。

過去に入善ジャンボ西瓜で同様の試みを実施されたことがあったそうですが、箱の板の厚みや硬さが、西瓜の生育に負け失敗してしまったとのことで、今回の挑戦が成功すれば世界初の、“四角い入善ジャンボ西瓜”の誕生となります!

今回の生徒たちの挑戦に対しては、
「高校生が地元の特産品に興味をもち、こういった挑戦をすることは、私たち生産者にとっても嬉しいし、心強く励みにもなる」と話してくださいました。


今年も、生徒や先生をはじめ、町や農家の方々まで、みんなの期待を背負った入善ジャンボ西瓜。

夏には素敵な西瓜ができることを楽しみにしています!




引き続き、本ブログでは生徒たちの頑張る様子をお届けしていきます!