手しおにかける

~和牛を育てる高校生に密着!!【中央農業高校】①~

2023年09月08日

和牛の繁殖から肥育までを一貫して実習する県内唯一の農業高校である「富山県立中央農業高校」。

今年度より、JA全農とやまの新たな取り組みとして、同校生徒たちのスキルアップや畜産農家の後継者育成を図ることを目的に、県内の高い肉牛生産技術を有する生産者の協力のもと、生育ステージに合わせた生産技術講習を継続的に実施します。
本ブログでは、生徒たちがその講習に取り組む様子に密着していきます!



7月のおわり、本取り組みのキックオフとして、中新川郡立山町にある株式会社カシワファームにて、第一回目の講習会が開催されました。
この日のテーマは、「繁殖牛の管理・種付け」。


牛は、子牛を産んで繁殖させるために育てられる「繁殖牛」と、肉質の向上を重視して食肉用として育てられる「肥育牛」に分けられ、それぞれの牛を育てる農家を「繁殖農家」「肥育農家」と呼びます。
カシワファームは、子牛の出荷を中心におこなう繁殖農家で、約200頭ほどの繁殖牛を飼育しています。


この日、生徒たちはバスで同農場を訪れ、2年生7人、3年生1人の計8人の生徒が講習に参加しました。

▲生徒たちが到着


生徒たちは、牛舎を前に、講師を務める同農場の柏 篤代表取締役へ「よろしくお願いします!」と元気に挨拶。




挨拶を終えると、一同は牛舎の中へと移動。
実際の牛を見ながら、柏代表より「牛の種付け適期」や「発情牛の見分け方」について説明を受けました。

牛の最初の種付けは、これまで「生後14か月以上、体高約115cm、体重が300kgを超える」状態で適期とされていましたが、近年は牛の発育が良く、生後12か月ほどの牛でもその発育基準をクリアしているため、種付けを行っているとのこと。



その“適期”を迎えた牛の中から、さらに「発情」している牛を見分ける方法は、トイレの回数が増える、動き回って落ち着きが無くなるなどいくつかある中、大きな特徴として、牛同士が乗っかったり乗られたりする「乗駕」と呼ばれる行動が見られるとのこと。実際に、取材中もこの行動をしている牛が見受けられました。



乗られた牛は、背中にひづめの足跡が付き、その足跡によっても見分けることが出来るそうですが、発情は約18~23日の周期で訪れ、1回の発情は10~24時間程度しか持続しないため、同農場では、発情を発見したらしっかりと記録を取り、通常はその日のうちに、迅速に種付け作業を実施しているそうです。


また、種付け後の牛はストレスを軽減させるため、放しておくのが良いとのことで、広場では種付け後の牛がゆったりと放されていました。



その後、生徒たちは、実際の畜産農家に直接話を聞ける機会を生かし、柏代表への質問タイムへ。

経営するうえで大変な点や、同農場での飼育状況についてなど、自校の牛の管理に役立てようと、メモを取りながら熱心に話を聞いていました。



講習会を終え、生徒に感想を聞いたところ、
「これまで、授業の中では、発情している牛の特徴などは聞いたことがあったが、実際に牛を間近で見ながら教えていただいたことで理解が深まり、とても良かった」との声を聞かせてくれました。

今回、実際に経営をされている生産者の現場を間近で見て、話を聞けたことで、生徒たちそれぞれに、気付き・学びがあった有意義な時間となったのではないでしょうか。

生徒の皆さん、お疲れ様でした!
次回は、同校生徒が実際の農場で就業体験に取り組む模様をお届けします!