手しおにかける

入善高校生徒の新たな挑戦!「チューリップ」の栽培研究に取り組んでいます!【入善高校】

2024年01月18日

JA全農とやまでは、富山県内の頑張る農業高校生の姿をブログにて紹介しています。
今回は、富山県立入善高等学校農業科チューリップ研究班の生徒たちに密着します!

同校では、入善町やJAみな穂、ジャンボ西瓜生産組合などと連携し、5年前から「NEW農チャレンジ事業」と称し、町の特産品である「入善ジャンボ西瓜」の栽培研究に取り組んでおり、令和4年度より西瓜に加え、新たに“チューリップの水耕栽培”に関する本格的な研究を開始しました。

今年、チューリップ班では2年生5人・3年生2人の計7人が活動しており、生徒たちは11月に、「レッドラベル」「ホワイトマーベル」「パープルフラッグ」「ストロング・ゴールド」の4品種を定植。

▲11月におこなわれた定植作業の様子

「NEW農チャレンジ事業」では毎年、生徒たちは研究テーマを設定し、その検証結果を町の生産者などに向け報告しています。

今年、生徒たちが設定したテーマは、「チューリップの水耕栽培における『栽植密度』と『肥料濃度』による生育度合の違い」について。

“チューリップの大産地“である入善町では、これまで育苗ハウスを利用した土壌栽培による切り花生産が盛んにおこなわれてきましたが、土壌を消毒しても病害を回避しにくい、面積拡大が難しく生産量を上げにくいといった課題がありました。そこで、令和2年度より町内の生産者がオランダ式の水耕栽培へ切り替えを図ったところ、病害を避けられるうえ、ピントレイと呼ばれる栽培用のトレイを使用することによりハウスの回転率を上げることができ、生産量の増加へと繋がったため、同校チューリップ班でも、水耕栽培の研究を開始することに。

生産者から、「ピントレイのピン全てに球根を植え付けると、密集し、病気にかかりやすい」といった声が聞かれたことから、最適な栽植密度を調べるため、今年度はトレーへの栽植密度を慣行区、2割増区、2割減区の3区画用意しました。



▲栽植密度を変えて定植した様子
(左)2割減区 (中央)慣行区 (右)2割増区


さらに肥料コストの削減についても調査するため、この3区画の肥料濃度を 慣行区、4割減区の2パターンで作成し、計6区画で検証していきます。



そして、試験栽培を続け、迎えた12月のおわり、収穫の日。

同校の上田農場でおこなわれたこの日の授業では、まずは2年生の生徒たちが、収穫適期を迎えた「レッドラベル」を収穫し、出荷準備をしていきます。


▲今回収穫する鮮やかな赤色が特徴の「レッドラベル」

チューリップの茎の根元をもち、慎重にハサミをいれ1本ずつ丁寧に収穫していく生徒たち。


真剣な表情で作業を進めていきます。

その後、収穫した1本1本のチューリップの茎と花の長さを計測し、記録用紙に記入していきます。

▲茎と花の長さを計測、記録

収穫した切り花の根元をカットして長さを調整し、透明なフィルムで包装。

全てのチューリップに対し、この作業を繰り返し、出荷準備の完了です。

▲出荷準備完了!


生徒に話を聞いたところ、
「栽培中は、球根から出た茎の長さを定期的に測る作業などがあり、球根の数が多く大変だったけど、こうしてきれいに咲いて嬉しい。一生懸命育てた花が全部売れると嬉しい。」と話してくれました。


そして、気になる今回の研究テーマの検証結果については、、、



結果はこのとおり。

(左奥) 栽植密度慣行・肥料4割減 (右奥) 栽植密度2割増・肥料4割減
(左手前)栽植密度慣行・肥料 慣行 (右手前)栽植密度2割増・肥料 慣行

写真からもはっきりと分かるように栽植密度慣行・肥料4割減区で、一番チューリップの生育が良いという結果になりました。
また、今回栽植密度を2割減らしたものは、他品種においても生育の遅れが見られ、収穫日当日はまだ出荷規格を満たしていなかったとのこと。



チューリップ班を担当している先生に話を聞いたところ、
「Мサイズとして出荷できる草丈30cm以上のものが栽植密度慣行・肥料4割減区で1番多かったが、茎の太さは肥料濃度慣行区に比べ、少々細くなった。栽植密度2割減区で生育が遅れたのは、養分を確保しようとする周りとの競争がおこらないためかと現時点では考察している」とのこと。

生産者から声があった「栽植密度と病害」の関係については、しっかりとピントレイの消毒をおこなったためか、今回は大きな影響は見られないといった結果となりました。


なお、今回の研究結果の詳細については、1月19日(金)に入善コスモホールにて開催される「NEW農チャレンジ報告会」にて生徒たちが町民、生産者へ向け発表します。
次回は、その「NEW農チャレンジ報告会」で生徒たちが頑張る様子をお届けします!


また、生徒たちが育てた切り花は、今回収穫したレッドラベルやその他の品種も含めJAみな穂の農産物直売所にて随時販売していく予定です。
皆さん、ぜひ生徒たちが手しおにかけた 色鮮やかなチューリップをお楽しみくださいね!


JA全農とやまでは、引き続き、がんばる生徒たちを応援していきます。