手しおにかける

~第8回和牛甲子園に出場!!【中央農業高校】~

2025年02月17日

和牛の繁殖から肥育までを一貫して実習する県内唯一の農業高校である「富山県立中央農業高校」。

今回は、1月16日(木)、17日(金)に、東京・品川グランドホール、東京都中央卸売市場食肉市場で開催された「第8回和牛甲子園(※)」に出場した生徒たちの様子をご紹介します!

(※)「和牛甲子園」・・・和牛を飼育する全国の農業高校の生徒である「高校牛児」たちが和牛の肉質と日頃の取り組みを競い合う大会。JA全農は、将来の担い手候補である高校生の就農意欲の向上と、同じ志を持つ高校生同士のネットワークを創出し、意欲と技術の向上を図ることを目的に和牛甲子園を開催しています。

第8回となる今大会へは、25道府県から初出場3校を含む40校が出場し、出品牛は過去最多の63頭となり、同校は8年連続で出場しました。

今回甲子園へ出場するのは、3年生の田中さん、2年生の益山さん、1年生の廣田さん。

続々と会場へ集まってくる全国の“高校牛児”たち。
益山さんと廣田さんは初めての和牛甲子園で、緊張と楽しみが両方あるとのこと!


▲フォトスポットでの1枚


▲参加校の寄せ書き ▲イベントスペースの様子


いよいよ、和牛甲子園の開幕です!


▲開会の様子

大会は2日間に渡り開催され、1日目は和牛飼育体験発表会のほか、先輩“高校牛児”による講話、“高校牛児”交流会、2日目は枝肉勉強会や枝肉共励会などがおこなわれます。

開会式で、開会の挨拶や昨年度優勝校の優勝旗返還などがおこなわれた後、さっそく1日目の目玉となる「和牛飼育体験発表会」に。

本大会では、和牛飼育に関する日頃の取り組み内容を競う「取組評価部門」と、育てた和牛の肉質を競う「枝肉評価部門」の2部門で評価し、両部門の合計得点で「総合評価部門」の最優秀賞を選出します。

生徒たちは事前に、今年度の取組内容を7分程度の動画にまとめて大会側へ提出しており、その動画に対する審査結果が発表されます。
(各参加校の体験発表会動画は、和牛甲子園ホームページからご覧いただけます。
和牛甲子園HP【取組評価部門】体験発表会 動画 – 和牛甲子園 (wagyukoushien.com)

昨年度、同校肉用牛舎は、食品安全や労働安全、環境保全などに取り組む農場であることを示す「JGAP(畜産)」認証を北陸の畜産農家で初めて取得。JGAPの重要性を発信し続けながら、和牛成績の向上を図るため、生徒たちは【JGAP認証のその先】と題し、本年度取り組んだ「県民へのJGAP認知度アップ」「繁殖成績の向上」の2つの取り組みについて発表しました。


▲発表動画

JGAP認証をゴールとするのではなく、認証を継続しながら新たに課題を見つけ、取り組む様子や生産性に直結する繁殖成績の向上に関して、空胎期間、離乳時期、飼料の成分確認や給与設計等の各方面からアプローチしていることが伝わる発表内容となっていました。

その後、過去の和牛甲子園優勝校のOB、OGによる先輩“高校牛児”の講話があり、「好きなことを学び続けてほしい。好きを突き詰めていくうちに、自分に向いていることが分かってくる。」「牛と関わった高校3年間が人生の中で濃い時間だった。牛と一緒にキラキラした高校生活を送ってほしい。」と“高校牛児”へエールを送ってくれました。


ここでまさかのスペシャルゲストが!!


全農オフィシャルアンバサダーの “石川 佳純さんが登場し、突然のサプライズに、会場は大盛り上がり!
石川さんは人生最後の日に焼肉を食べたいくらいお肉が好きとのこと!!!で、

高校生時代や現役時代に学んだことなど、自らの経験談を交えながら講演をしていただき、
これまで日々努力を重ねた生徒たちにとって、嬉しいサプライズプレゼントとなりました。

最後に、“高校牛児”の交流会があり、和牛甲子園に向けて頑張ったことや苦労したことなどの意見交換をし、同じ志を持つ全国各地の“高校牛児”と交流を深めていました。


▲“高校牛児”交流会の様子


こうして初日を終え、「明日も頑張ります!」と話してくれた生徒たち。
生徒の皆さん、1日目、お疲れ様でした!


翌日、和牛甲子園2日目。
まずは、東京都中央卸売市場食肉市場にて枝肉勉強会と共励会がおこなわれました。


▲セリ会場で記念撮影


生徒たちは、自分たちの育てた枝肉がどう評価されるかと、期待と不安が混ざった様子。
セリを前に、まずは極寒の冷蔵庫の中に入り、食肉の格付け審査員より自分たちの育てた枝肉の講評を聞きます。

こちらが同校出品牛の枝肉。今回は月齢30か月の去勢牛を出品しました。

▲出品牛 ▲出荷作業の様子


その後、冷蔵庫から移動し、いよいよセリのスタートです。

セリ人が出品番号を読み上げ、出品牛ごとに個体の情報や販売価格がモニターに表示されます。
販売価格が高値となる枝肉は、複数の購買者が競り合い、とまらない数字に大きな盛り上がりを見せる生徒たち。落札された枝肉が次々と目の前を流れていき、会場は熱気に包まれていました。

そして、いよいよ同校の番。

まずは枝肉の評価が表示され、『枝肉重量386kg、歩留等級A、肉質等級5、BMSNo.11』との結果に。
最高ランクの格付けである『A-5』『BMSNo.12』に近い評価を得て、喜びの表情を見せる生徒たち。

続いて、この評価を受けてセリにより販売価格が付けられます。

願いを込め、モニターを見つめます、、、
ここでも、どんどん高くなる販売価格に会場が盛り上がりを見せます。

モニターにくぎ付けになり、息をのむ一同。
気になる販売価格は、、、
1kgあたり3,500円を超える高値となり、大喜びする生徒。

「愛情を込めて育てた牛が良い評価を受けて嬉しい。」と喜びを分かち合っていました。

セリ会場で牛の取引価格が決まる瞬間。これはまさに甲子園という名にふさわしいエキサイティングな場面となったのではないでしょうか。

その後、グランドホールへと移動し、枝肉の評価基準についての勉強会、枝肉評価部門の入賞牛の発表、褒賞式、記念撮影などがおこなわれ、全2日間にわたる和牛甲子園は終了しました。

今回、惜しくも入賞は逃したものの、枝肉の高い評価を受けた生徒たち。
甲子園を終え、話を聞くと、

「JGAPアンバサダー活動を継続して行うとともに、新たな課題である増体に向けた取り組みを行い、来年は入賞できるよう頑張りたい」
「全国の“高校牛児”と交流ができ、楽しかった。他校の発表を聞いて、新しい学びがあった。」
など、各々の想いを聞かせてくれました。

年々、取組み内容がレベルアップしている生徒たち。和牛甲子園が生徒たちの冬の風物詩として定着しているのではないでしょうか。
畜産業の将来を担う生徒の皆さんが、真摯に和牛の肥育と課題に取り組まれていることを大変頼もしく感じました。
身をもって経験した取り組みや今回の甲子園で得た経験は、生徒たちの将来に向けての貴重な体験になったと思います。


生徒の皆さん、先生、本当にお疲れ様でした!




▲全国から集まった“高校牛児”