手しおにかける

令和6年度「NEW農チャレンジ研究報告会」で研究成果を発表!【入善高校2024⑥】

2025年02月28日

JA全農とやまでは、富山県内の頑張る農業高校生の姿をブログにて紹介しています。
今回は、1月下旬に入善町民会館コスモホールで開催された、令和6年度「NEW農チャレンジ研究報告会」で生徒たちが頑張る様子をお伝えします!

この報告会では、今年度取材をさせていただいた富山県立入善高等学校 農業科の「入善ジャンボ西瓜班」、「チューリップ班」の生徒が、これまでの研究成果を生産者や地域の方々に報告しました。

まずは、「入善ジャンボ西瓜班」の発表から!


今年、生徒たちが取り組んできたのは、「美味しい四角い入善ジャンボ西瓜作り」。昨年は、四角い入善ジャンボ西瓜を枠から取り外すことができず、悔しい思いをしたので再チャレンジです。
その他にも、入善ジャンボ西瓜の「自根苗」と、土壌病害全般に耐性が強いと言われている、かぼちゃの新土佐(しんとさ)を台木とした「接ぎ木苗」の2種類を栽培し、食味の違いについて研究してきました。

この課題研究に取り組んだ理由として、「入善町の特産品である入善ジャンボ西瓜は日本一大きいとメディアで取り上げられているが、地元の人でも入善ジャンボ西瓜を食べたことがある人は少ないため、活動を通してもっと知名度を上げたいと思った。」と説明。

続いて、研究結果について報告しました。


生徒たちの発表を一部抜粋してご紹介します!


〇美味しい四角いジャンボ西瓜づくりについて

昨年は、西瓜の肥大に耐えられず枠が破損したり、枠から西瓜を取り外せなかったりと課題が残ったため、今年は、6面すべてを取り外せる四角枠に変更。

7月23日の西瓜お披露目会では、無事に西瓜を枠から取り外すことができ、「四角いジャンボ西瓜」が完成しました。


試食したところ、酸味が強く美味しく食べることができませんでした。
美味しくならなかった原因は、枠内の温度が高くなり、熱がこもったからではないかと考察しています。
通気性の見直しが必要だと感じました。




〇「自根苗」「接ぎ木苗」の食味の違いについて

入善ジャンボ西瓜の自根苗と、かぼちゃの新土佐(しんとさ)を台木とした接ぎ木苗の食味について比較するため、「入善ふるさと七夕まつり」の来場者に向けて試食アンケートを実施しました。調査項目は「甘さ・シャリ感・好み」の3項目です。シールを貼ってもらい比較しました。

甘さ・好みは自根苗、シャリ感は接ぎ木苗の票が多いという結果になりました。



〇今後の取り組みについて

入善ジャンボ西瓜を使った加工食品の開発や、甘くて美味しい四角い西瓜を作る研究、SNSなどを活用した入善ジャンボ西瓜の知名度UPに向けた取り組みを進めていきたいです。



発表後、入善町ジャンボ西瓜生産組合 森下組合長からは、
「今年は無事、四角い西瓜ができて大変喜ばしかったです。皆さんの活動が入善ジャンボ西瓜の知名度を上げてくれていると感じています。これからも一緒に頑張っていきましょう。」
と激励の言葉が贈られました。


続いて、「チューリップ班」の発表です!


今年、生徒たちが取り組んできたのは、「白色系品種のチューリップの水耕栽培」。過去の研究で生育不良の多かった白色系品種を綺麗に咲かせるべく、新しく「タイツブーツ」「ホワイトダイナスティ」の2品種を栽培してきました。
平行して、「バイオ灰」を使用した水耕栽培に挑戦し、液肥だけで育てる「慣行区」と、バイオ炭と液肥で育てる「調査区」の生育差についても調査してきました。


この課題研究に取り組んだ理由として、「入善町は、チューリップの栽培が盛んです。現在、入善町のチューリップの切り花生産は、連作障害の抑制や作業の効率化のため、水耕栽培に取り組んでいます。しかし、水耕栽培に向かない品種があることや、栽培方法が確立されていないという課題があるため、入善町のチューリップ生産をより活気づけようと研究を始めました。」と説明。

続いて、研究結果について報告しました。


生徒たちの発表を一部抜粋してご紹介します!


〇バイオ炭について

バイオ炭とは、土耕栽培で根の活着や良好な生育が見られ、近年注目を集めている改良材です。水耕栽培に使用すると、有機質肥料の利用効率が向上し、通常よりも化学肥料を減らした栽培が可能になると言われています。

今回使用したバイオ炭は「宙炭」で、植物の炭等に有機質肥料を混ぜた高機能バイオ炭です。これまで水稲や野菜、草花栽培に活用され、収量や生育の向上が見られています。


〇「タイツブーツ」「ホワイトダイナスティ」に共通する結果

「草丈・花長・出荷数」ともに、バイオ炭を使用した「調査区」の方がやや生育が良いという結果になりました。よって、バイオ炭はチューリップの水耕栽培に有効であることが分かりました。

▲タイツブーツ結果 ▲ホワイトダイナスティ結果


【タイツブーツの気づき】
出荷できたものの中には、花首が長く、市場での出荷基準でいうと「劣」に分類されるものも混ざっていた。


【ホワイトダイナスティの気づき】
同日に定植したタイツブーツと比較し、開花が2週間ほど遅れたため、生育が遅く年内出荷用の品種としては適切でないことが分かった。
生育期間が長かった分、曲がりがなく、しっかりとした茎になった。


〇今後の課題について


茎や枝が必要以上に伸びてしまう徒長を防ぐために、日光が良く当たる場所で栽培し、こまめに換気をおこない、品種に合わせた肥料濃度で栽培する。
高温・乾燥が続くことによって、花芽(蕾)が落ちてしまう「花飛び」を改善するために、霧吹きで水をかける。
球根の根張りについて調査する。


発表後、県 新川農林振興センター 花き担当者からは、
「非常に面白い研究をされているという印象を持ちましたし、前回の反省を生かして研究に取り組まれているところにも感銘を受けました。根張りのほかにも、根っこの色を見るとチューリップの状態を知るのに役立つと思います。」
とアドバイスを受けました。



どちらの班も、研究の集大成としてふさわしい堂々とした発表でした。
生産者の意見から課題を見つけ、その解決策を生徒たちが研究することは、町の農業や伝統ある特産品の入善ジャンボ西瓜、チューリップを盛り上げる大きな力となっています。


これからも、さらなる研究の発展に向けて取り組んでほしいと思います。


生徒の皆さん、先生、関係者の皆さん、本当にお疲れ様でした!