いちごに魅せられた四半世紀

瀬端さん
JA北つくば いちご部会の部会長を務める瀬端さんは、今年でいちご作りを始めて24年になります。
ご先祖は鬼怒川で江戸へ人と炭や米などの荷物を運ぶ廻船問屋を営んでおられたそうでその鬼怒川沿いの土地を利用して農業を始められたのが3代前のお祖父様。瀬端さんはその4代目に当たるそうです。麦と米の二毛作がメインだった土地で、当時露地野菜だけでは生活が厳しく、いちごの収益性に目をつけた瀬端さんは、そこから猛勉強を始めました。
もともと瀬端さんは東京農大で稲の研究をされていましたが、いちごに関しては素人でした。
そこで地元JAの部会に入会し様々な方から、いちご作りのノウハウや情報を教わり、いちご作りに取り組んできました。そして部会長になった現在では、今までお世話になった恩返しも含め部会のために、より良いいちご作りが部会全体で出来るようにと努力・貢献しておられます。
様々な工夫
いちごのハウスの中は様々な工夫が施されています。
天井を見上げればウォーターカーテンと呼ばれる二重天井が施され、夜になると地下から汲み上げた水が霧状にハウスを被います。このように自然の力を借りて、冬の外気からいちごを守る温度管理を行なっています。
また光合成を促進するための炭酸ガス発生装置を導入したり、受粉にはかかせないミツバチを利用したり、電灯を夜間のみ3時間点けて冬場の日照時間のコントロールもしています。こうした様々な工夫の積み重ねによって、美味しいいちごが出来るのです。
今年の作柄
今季は夏の暑さが厳しく秋がほとんど感じられないまま冬が来た印象で、いちごにとっては厳しい生育環境だそうです。それでも品質の良いいちごの出荷に向けて懸命に取り組んでおられます。
良いいちごは色艶が良く、ヘタがしっかりとしたもので形は関係ないそうです。赤く種が実にめり込むように付いているものが良いとされています。
二人三脚のいちご作り
瀬端さんは「奥さんの力添えなくしては、いちご作りは出来なかった」と振り返り、今日でも奥様と二人三脚でいちご作りに取り組んでおられます。そのため『奥さんには感謝の念が絶えないんだよ』とおっしゃっていました。瀬端家は奥様と二人の娘さんの4人家族。後継者の質問には苦笑いで「それが一番の悩み。正月に帰ってきたら、農業の良さをもう一度話してみようと思うんだ」とおっしゃっていました。
お正月が終わった今、いちご農家の瀬端家でどんな会話が繰り広げられたのか興味は尽きませんが、美味しいいちごが食べられるよう瀬端さんを始めいちご農家の方々に今年も期待したいものです。
取材協力
JA北つくば 営農経済センター
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