5月20日頃から田んぼに苗を植え、収穫を始めるのは翌年の4月20日前後から。収穫はわずか1週間の間に行われます。端午の節句のために、1年をかけて育てられます。

伝統を守る数少ない伝道師たち

JAなめがた しょうぶ部会 部会長 河野 文隆さん
JAなめがた しょうぶ部会
部会長 河野 文隆さん

霞ヶ浦・北浦にほど近いJAなめがた しょうぶ部会 部会長の河野さんを訪ね、葉ショウブ作りの魅力と生産に対する想いについて伺いました。

元々は、30年ほど前から自然に自生していた葉ショウブを収穫・選別し、販売していたものを、専用の田んぼで、計画的に栽培することを始めたそうです。5月20日頃から田んぼに苗を植え、収穫を始めるのは翌年の4月20日前後から。収穫はわずか1週間の間に行われます。端午の節句のために、1年をかけて育てられます。

収穫は1日におよそ6,000本。葉ショウブは、根の元から刈り取らないと根本から芯が抜けてしまい売り物にならなくなるため、作業を機械化することができません。収穫には、熟練した技術が必要とされ、全て手作業で行われます。

端午の節句には欠かせないもの

端午の節句は奈良時代から続く伝統的行事で、当時は邪気を払い魔物を祓う薬草とされていた「菖蒲」を湯に入れて菖蒲湯として入浴されていたのが始まりと言われています。時代が武家社会に移るにつれ、「菖蒲」と「尚武」をかけた武士を尊ぶ尚武の節句へと移っていきました。

現代でも「強い香気による厄払い」という意味の込められた「菖蒲湯」は日本の伝統文化です。河野さんの自宅では、現在も節句になると葉ショウブを束にし、自宅の屋根に飾っているそうです。

後世に伝えること

現在では部会員が8名と、葉ショウブの作付面積は年々減少をしています。部会の存続にも危機感を感じ、年々減少する葉ショウブ作りに苦悩しながらも、河野さんは、古き良き日本の伝統を守ろうと、現在も良い葉ショウブ作りを続けています。

日本文化を継承し、次世代に繋げていくために、子供の頃に入っていた菖蒲湯を今年はもう一度、自分たちの子供達にその由来を話しながら、親子で菖蒲湯に浸かり、端午の節句をお祝いしてみてはいかがでしょうか。
文化を継承することにより、産地にとっても次世代への継承に繋がります。
ぜひJAなめがたの葉ショウブで5月5日は菖蒲湯でゆったりとリフレッシュしてください。

取材協力

JAなめがたしおさい 北浦営農経済センター

〒311-1704 茨城県行方市山田3289

TEL :
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※文中のJA名および部会名等は取材当初の名称が使用されています。