気候に影響を受けやすく作るのが難しいとされるイバラキング。
2010年に品種登録されるまで10年以上の歳月をかけた、まさに茨城県の農業技術の結集といえるメロンです。

挑戦し続ける価値があるメロン

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JAほこた メロン部会 メロン部
研究部 部長 根﨑直喜さん

JAほこた メロン部会で"イバラキング"の栽培が始まったのは約8年前です。最初は2名だった生産者も現在では52名に増え、生産量も全体の12%まで増加しました。

一方、栽培に関するデータが少なく、特にネットの形成が難しいそうです。気候に影響を受けやすく品質が安定しない為に生産者がまだまだ少ないのが現状です。

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メロン部会では、栽培講習会を開き栽培技術の情報を共有する等、部会生産者全員で美味しいメロン作りに取り組んでいます。

根﨑さんに"イバラキング"を栽培する理由を尋ねると「天候の影響を受けやすく、生産の歴史が浅い為に品質の差も出やすく、作るのは難しい。それでも美味しいと言ってくれる人がいる。難しいからこそ挑戦し甲斐がある。」とおっしゃっていました。

また、「茨城でしか生産していないオリジナル性がある。糖度も肉質も良く美味しいと思うから広めたいし残したい。」と、"イバラキング"に対する想いを語ってくれました。

実際に市場からも要望があり「美味しい」と言ってもらえるのだそうです。

難しいからこそ「美味しい」の一言は大きな支えとなっているのでしょう。

茨城県の農業技術の結集"イバラキング"

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茨城県のメロン生産はビニールハウスを利用した無加温栽培であるため、寒さや天候不順の影響を受けやすく、4月下旬から5月収穫の作型は小玉・糖度不足による品質低下が課題でした。その為、4月下旬から5月収穫の作型でも果実肥大性に優れ、糖度・品質が安定した品種開発を目標としたそうです。

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"イバラキング"は、「茨城県農業総合センター 生物工学研究所」が400通り以上の掛け合わせを経て開発しました。さらに「茨城県農業総合センター 園芸研究所」で栽培技術を研究し、2010年に品種登録されるまで10年以上の歳月をかけた、まさに茨城県の農業技術の結集といえるメロンです。アンデスメロンなどの主力品種と同等の糖度があり、4月下旬から5月上旬の早期でも大きな果実を出荷できます。

茨城県農業総合センターホームページより

「茨城の王」を意味する"イバラキング"の名には、茨城県のメロンの顔になってほしいという願いが込められているそうです。

きめ細かくなめらかな肉質で、甘味がしっかりあるのにさっぱりしているのが特徴です。

受け継ぐべきメロン作り

鉾田市のメロン栽培の歴史は約40年です。根﨑さんも、お父様からメロン作りを学んだそうです。「父の知識や経験が頼り。まだまだ知恵を借りながらメロンを作っている」と言い、お父様をはじめ農家の先輩方を尊敬している様子が伝わってきました。

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しかし、JAほこた メロン部会は栽培面積が年々縮小しています。生産者の高齢化などが原因です。

「高齢化により生産を止めてしまっている畑がたくさんある、素晴らしい経験と知識を持っているのにもったいない」と根﨑さんは言い、余ってしまっている農地をうまく活用しながら後継者を育てる環境も整えたいのだそうです。

JAほこた メロン部会は「茨城県銘柄指定産地」の指定を受けています。高品質なメロンを生産し、その信頼性・安全性が市場で高く評価されている証です。また、メロン作りに適した温和な気候と水はけが良く肥沃な大地、培われてきた生産技術があります。

それらは、受け継ぐべき大きな財産と言えるのではないでしょうか。

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