JA茨城旭村でパプリカ栽培が始まってから10年。この土地に合う品種を厳選し、栽培技術も向上したことで市場から品質を認められるようになりました。2009年に商標登録した、「パプ王」が各地で「大変おいしい」と好評を得て出荷数を伸ばしています。

話題の国産パプリカ

image01.jpg
JA茨城旭村 蔬菜部会 副部会長
パプリカ部 部長 石﨑斉さん

JA茨城旭村では2005年に、4名の生産者がパプリカ生産に着手し、パプリカ部を発足させました。その一年後、石﨑さんもパプリカ生産をスタートさせ、パプリカ生産の基礎を築いてきたそうです。

現在、市場のパプリカの約2割が国産で、農林水産省統計によると、茨城県は全国2位の生産量となっています。
JA茨城旭村のパプリカは、実が大きく果肉も厚く、甘みが強いパプリカは「パプ王」というブランド名で売り出されています。各地での試食販売イベントに力を入れるなど、生産だけでなく認知度を高める努力も続けてきました。

国産志向の高まりやパプリカの高い栄養素が知られるようになり、最近ではテレビなどのメディアで取り上げられ、さらに注目されています。
しかし、量販店では外国産のパプリカが多く、国産は置いていないことも多いのが現状です。

image02.jpg

海の潮風が強い味方

JA茨城旭村でパプリカ栽培が始まった背景を伺うと、「メロン生産と並行して栽培できるもので、気候風土に合っているから」とおっしゃっていました。パプリカはとても繊細で、外気が18度以上30度以内でなければ栽培できないのだそうです。海風によって夏涼しく冬も暖かい鉾田市の気候と、メロンやその他の多くの作物を生産してきた技術が土台となっているのでしょう。

「パプ王」は、輸入のパプリカよりも一回り大きく、重量も200gを超えるものが多いそうです。
収穫すると一つ一つ手作業で重量を図り、袋詰めされます。生産者の顔が見える商品として、袋には生産者名を表記しています。
しかし、パプリカ栽培は難しく夏場の暑さ対策は簡単ではありません。今年は特に夏の暑さで出荷量も減り、大変厳しい状況だったそうです。

image03.jpg image04.jpg

誰もが認めるブランドを目指して

これまでの10年で、この土地に合う品種を厳選し、栽培技術も向上したことで市場から品質を認められるようになりました。2009年に商標登録し、「パプ王」が正式にブランド名となり、各地での試食販売会でも「大変おいしい」と好評を得て出荷数を伸ばしています。
石﨑さんも自ら出荷先を確保するために奔走した時期があったそうです。大変厳しい状況でパプリカ栽培を諦めようと思ったこともあったそうです。
部会では月に一度の圃場巡回や定例会・栽培指導もおこなっています。また、各部会員が話し合いで決めた順番で出荷をし、安定した出荷量を保つ努力をしているそうです。計画栽培と安定出荷体制はJAという組織だからできることです。

image05.jpg

消費者も生産者も喜ぶパプリカ

栽培のノウハウと安定した出荷の体制が整い、市場からの要望もある今こそ生産者を増やしたいそうです。
収穫まで長い期間を要し、さらに夏の暑さ対策は温暖化により一層厳しく出荷量が減ってしまうリスクもあります。石﨑さん自身もその難しさは身をもって知っていますが、「一番喜びを感じるのはやっぱり収穫の時。平均で10aあたり3.5トンを出荷しているが、5トン出荷を目標にやっていきたい」と、さらに前向きな姿勢を見せてくださいました。

ビタミンCやカロチンなどの栄養素も豊富で、品質の良さに加えて安全性も重視した消費者に喜ばれるパプリカです。「国産を多くの人に食べてもらいたい。体にも良いし味も良く、スムージーや焼きそばに入れてもとても美味しい」と話す石﨑さんからは「パプ王」というブランドへの愛着と自信が感じられました。

image06.jpg image07.jpg

取材協力

JA茨城旭村 営農情報支援センター

〒311-1415 茨城県鉾田市造谷1377-1

TEL :
0291-37-1661
FAX :
0291-37-1663
WEB :
http://www.ja-ibarakiasahi.or.jp/

大きな地図で見る