気鋭のブランド"那珂かぼちゃ"

小田部 幸行さん
JA常陸の管内にある那珂地区南瓜部会
小田部幸行さんを取材しました。
茨城県は、かぼちゃの出荷量は全国3位で県内でも様々なかぼちゃがあります。
その中でも注目株なのがこの'那珂かぼちゃ'です。
那珂市は、那珂川と久慈川の二つの川に挟まれ地力に恵まれ多くの農作物が栽培されています。その恵まれた土地と那珂かぼちゃとしての独自の栽培方法で生育された那珂かぼちゃの特徴は、栗のようなホクホクとした食感と完熟された甘味です。
那珂かぼちゃの歴史は古いものの、旬にこだわっている事と広く流通していないため知る人ぞ知る存在でした。しかし、近年では行政や取引先と提携しながら試食宣伝活動を行いファンを年々増やしています。 また、中身だけではなく生産者は見た目の美しさにも気を遣っていて、最近では贈答用としても広く認知されるようになってきました。
一蔓一果、完熟採り
気候風土がよく様々な農作物が栽培されている那珂地区で那珂かぼちゃの栽培が始まったのは約30年以上前。この地域で特産品と呼べるものを作ろうと茨城県・市役所・農協・市場が協議し、かぼちゃ栽培に乗り出しました。
当時はかぼちゃ栽培の知識がなく、苦労したこともありましたが関係者の技術指導の下、栗のようなホクホクとした食感と完熟された甘味を持ったかぼちゃを栽培できるようにまでになり、那珂市の那珂をとった'那珂かぼちゃ'と呼ばれるようになりました。現在、小田部さんを含め20名以上の部会員が品質・味の良い那珂かぼちゃを生産しています。那珂かぼちゃの特徴として「一蔓一果」と完熟採りが挙げられます。
また、旬の時期にこだわり5月下旬のハウス栽培から6月中旬から7月下旬まで露地栽培の那珂かぼちゃが出荷されます。 かぼちゃは風によるスリ傷がつきやすく、非常に繊細です。その点ではハウス栽培のかぼちゃは傷がつきにくいですが出荷期間が短く、出荷量も少ないため「幻のかぼちゃ」とも呼ばれています。
大きく、きれいに育てる
那珂かぼちゃは食味だけではなく色艶など見た目の良さにもこだわっています。また、傷がつかないように一個のかぼちゃに労力をかけ栽培しています。 小田部さんは「手間暇かければかける程良いものができる」とおっしゃっていました。現在、スーパーなど量販店ではカット販売が主流です。そのため2L~3Lといった大きなかぼちゃが市場から求められています。
那珂かぼちゃの品種は元々、大きい玉が出来る品種ではありませんでしたが、こだわった堆肥づくりなど、生産者の技術によって、大きいサイズの那珂かぼちゃが作られています。小田部さんも大きなかぼちゃを作ることを心がけホクホクとした食感を残すため、土壌の水分管理にもこだわっています。 那珂かぼちゃは早いものは12月頃から土壌づくりを行います。栽培には病害虫の問題や温度管理などの問題があり、慎重な管理が求められます。しかし、小田部さんは「手入れしてきたものが大きく立派になって収穫できることが一番の作り甲斐」と語っていました。
贈りたい、自慢出来る味。
JAでは収穫後、検査委員により全品検査を経て出荷されています。検査担当者は「組合員さんが手塩にかけて作った那珂かぼちゃに等級をつけるのはとても難しいことです」と話していました。
また、積極的に販促イベントを行うなど宣伝活動にも力を入れています。味ではもちろん、近年では見た目の美しさから贈答品として利用されることが多いそうです。
贈答品としての需要が伸びているのは、那珂かぼちゃの品質と味の良さを知っているからこそではないでしょうか。そして、那珂かぼちゃを大切な人に食べてもらいたいという消費者がたくさんいるということが、那珂かぼちゃの味と品質の良さを証明しているのではないでしょうか。
那珂かぼちゃの今後の課題としては、後継者の育成と面積の確保・拡大が挙げられています。生産者を中心にJAと市役所、市場と連携しながら取り組んでいきます。
那珂かぼちゃは通年収穫できるわけではありません。旬の時期にしか味わえない那珂かぼちゃ。この味を是非!ご賞味あれ!JA常陸の直売所などでお買い求めできます!
取材協力
JA常陸農業協同組合 那珂営農経済センター
〒311-0134 茨城県那珂市飯田1991
- TEL :
- 029-353-2220
- FAX :
- 029-295-7662