茨城旭村では温暖な気候と関東ローム層の水はけの良い土地、昼夜間の気温差を活かし高品質なトマトを生産しています。
一花房あたり20~35果と収穫量が多く、ほのかな甘さと爽やかな酸味が魅力です。

安全で美味しいトマトの提供

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JA茨城旭村 トマト部会 坂田正彦さん

JA茨城旭村のトマト部会は、温暖な気候と関東ローム層の水はけの良い土地、昼夜間の気温差を活かし高品質なトマトを生産しています。昭和53年に設立した部会は今年で設立40周年を迎えることができました。主力農産物であったメロンの裏作として1970年代後半に大玉トマトの栽培が始まり、平成元年には県の青果物銘柄産地の指定を受けました。設立当初は大玉トマトのみを栽培していたそうですが、現在では生産量が県内JAで一番の取扱数量を誇るほどミニトマト栽培の割合が高くなっています。今でこそ広く栽培されている春のミニトマトは、20年ほど前に坂田さんが作り始めたのをきっかけに広まりました。

部会では5月下旬から出荷の「春トマト」と、8月中旬から出荷の「夏秋トマト」の二期に分けた栽培を徹底しています。栽培と出荷時期をずらすことで一定の品質を保ったまま、一年を通してトマトを提供することができるからです。また、農薬の使用基準遵守、施肥設計、JA営農指導員による現地講習会といった品質向上のための指導や、大玉トマトについては光センサーによる糖度と着色度の測定、トレーサビリティシステムを活用した生産履歴情報の公開をおこない生産者全員で「安全でおいしいトマトの提供」を目指してきました。

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気候変化に備えたマニュアル作り

部会にはトマト研究会が組織されており、肥料や遮光材(剤)といった資材や栽培技術、品種試験の研究が熱心に取り組まれています。研究結果は生産者大会で部会員に報告され、積極的に技術が導入されていきます。

現在、坂田さんをはじめとする研究会会員は年々変化する気候に対応するために、「キャロルスター」という品種を試験栽培しています。この品種は現在栽培されている品種に比べて生育に日数がかかりますが、色づきや食味食感が良いため、消費者や市場関係者のニーズに応えられることがわかりました。この結果をもとに来年の栽培品種を検討するそうです。常に新技術に対する研究に余念がありません。

ミニトマト農家への転向

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坂田さんは26年ほど前にメロン農家であったご両親から土地を受け継ぎ、農地を増やしながらメロン栽培をおこなっていましたが、安定した収入が期待できる大玉トマトと葉物野菜栽培へと転向、現在はミニトマトの「サンチェリーピュア」を春と抑制の二期に分けて栽培をおこなっています。「サンチェリーピュア」は、一花房あたり20~35果と収穫量が多い品種で、ほのかな甘さと爽やかな酸味が魅力のミニトマトです。寒暖の差があったために今年は例年より甘さが強い実を収穫することができたそうです。

広大な土地の管理と病害を防ぐ工夫

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ビニールハウスは防虫ネットに覆われていて、中は暖かく真っ赤なトマトが鈴なりに実っています。原種トマトを接ぎ木した苗を使用していて一苗幅80cmの二本仕立てで植えているそうです。一本のまま植えてしまうと強すぎる原種の力の影響で葉だけが茂ってしまったり、かえって病気に弱くなってしまう欠点があるそうです。

ミニトマトは4日に一度の受粉処理、10日に一度のわき芽かき、誘引、摘果など栽培に手間のかかる野菜です。特に100棟もビニールハウスがあるので家族のみで対応することは非常に難しいです。そのため、坂田さんご夫妻と息子さん以外に実習生とパートさんを雇い、計13人で作業を分担しておこなっています。今は一人4棟ずつ約1,000本の苗を1日8時間かけて世話をしています。

また、病気を予防するさまざまな工夫を積極的におこなっているそうです。
例えばハウス100棟すべてをフルに使うことはせずに、ほうれん草を作ったら次はトマトを作る、その後は土に麦類を蒔き蓋をして発酵を促し、土壌消毒させて休ませるといったローテーションで使用しています。常に所有圃場の1/3を休ませることによって地力を回復させ、土壌病害の発生を未然に防ぐ効果があるそうです。もともと連作障害が少ない土地柄でしたが、息子さんがこのような土作りを始めてから、実の生りが格段に良くなったそうです。ほかにもハウス全体に防虫ネットをはりめぐらせることで害虫の侵入を未然に防ぎ、消毒の回数を減らせたり、台風で実が落ちてしまうのを防ぐ効果も期待されます。

自然の力を借りて土壌改良

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美味しいトマトを作るためには土づくりが命です。広大な畑の横には坂田さん特製の堆肥の山が積まれています。牛糞と豚糞をブレンドし高温発酵させ、1年後に鶏糞を3~4時間かけて丁寧に混ぜたもので、軽くさらさらと手触りが良く、糞独特のにおいも感じません。坂田さんは「においがしないことが完熟している証拠なんだよ」と仰っていました。畑にすき込むと微生物の活動を活発にするため、土がふかふかと柔らかくなり、栄養がたっぷりつまった美味しいトマトができるそうです。

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毎年堆肥の山を作り、各畑ごとにそれぞれ一山ずつ使っているそうです。肥料代はかかりますが、土づくりに手間をかけることで仕上がりや収穫量がグンとあがるメリットがあります。

長年の栽培から学んだ

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「トマトの見た目も味も自分の思ったとおりの物ができた時が一番嬉しい」と坂田さんは仰います。樹が淡い緑色をしていて、葉が大きく柔らかいものに育つと美味しく育っているのがわかるそうです。ミニトマト栽培で20年の経験から得られた知識です。これからも品質の良いトマトを消費者に届けるためにより一層研究に力を入れていってほしいと思います。

トマトが赤くなると医者は青くなると言われるように、トマトは栄養豊富な自然の健康食品です。ぜひJA茨城旭村の知恵と栄養がたっぷりとつまったミニトマトをご賞味ください。

取材協力

JA茨城旭村 営農情報支援センター

〒311-1415 茨城県鉾田市造谷1377-1

TEL :
0291-37-1661
FAX :
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WEB :
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