県内でも有数の玉ねぎ産地である、筑西市下館地区の館玉ねぎは、直径10cm以上の大ぶりで肉厚な玉ねぎです。特に早生は、えぐみが少ないうえにみずみずしく、ほんのりとした甘さが感じられます。 産地だより

百木田さんの館(やかた)玉ねぎ

県内でも有数の玉ねぎ産地である、筑西市下館地区の館玉ねぎは、直径10cm以上の大ぶりで肉厚な玉ねぎです。特に早生は、えぐみが少ないうえにみずみずしく、ほんのりとした甘さが感じられます。

裏作から始まった玉ねぎ栽培

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JA北つくば 下館玉葱部会部会長
百木田(からきた) 隆雄さん

玉ねぎは料理を引き立てる食材として、和・洋・中とさまざまな料理で欠かせません。
筑波山西側に位置し、県内有数の玉ねぎ産地である筑西市下館地区では、直径10cm以上の大ぶりで肉厚な「館(やかた)玉ねぎ」が栽培されています。
今から30年以上前、栃木県より広まった苺の裏作として玉ねぎの栽培が始まりました。 地区を流れる小貝川や鬼怒川が育んだ柔らかな砂質の土壌は、地温を確保しやすく水分を多く吸収しているため、玉ねぎの栽培に大変適しています。

JA北つくば下館玉葱部会では、現在58名の部会員が館玉ねぎ栽培に取り組んでいます。早生のアドバンス、七宝、中生の甘70ネオアース、晩生のもみじなどこれまでは食用として市場に出荷する玉ねぎのみを栽培していましたが、2013年より外食・中食で使用する加工用玉ねぎの出荷が始まりました。加工用は年々需要が高まり、今では部会内で栽培面積を大幅に増やす方もいます。近年では館玉ねぎの市場取引価格も高く、経営が安定していることから、新規就農者が栽培を始めやすい環境が整っています。今年も数名の新規部会員が入会しました。
また、部会では近隣の畜産農家が販売している牛糞たい肥など有機質の土をふんだんに使い、環境にやさしい農業に積極的に取り組んでいます。現在は、館玉ねぎでの茨城県銘柄産地指定やエコファーマーの取得を目指し、消費者にさらなる安心安全をPRするために部会一丸となって活動しています。

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みずみずしく大きな玉ねぎができるまで

下館地区玉葱部会の部会長を務める百木田(からきた)さんは、20歳の頃から約半世紀玉ねぎ栽培をおこなってきた農業一筋の職人です。米や麦の農家であった百木田家は、父親の代から水田を活用した玉ねぎ栽培がはじまりました。父親の後を継いだ当初は、玉ねぎが大きく育たずに苦労をしたこともありました。父の手腕を見ながら手探りで技を極め、今では米、麦とともに早生、中生、晩生の玉ねぎを一町一反(約1,1ha)栽培するまでになりました。

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9月下旬に種をまき、11月に畑に植え付けます。5月下旬、皮が赤茶に色づき圃場全体の約80%の葉が倒れたら収穫の目安です。倒れてから約10日後に収穫が始まります。今年は5月21日から早生の収穫・出荷が始まりました。

栽培期間が短い早生玉ねぎは、みずみずしく肉厚でえぐみが少なく、ほんのりと甘さを感じられ、生食としてサラダに適しています。6月や7月から出荷が始まる玉ねぎは身が引き締まり、貯蔵性に優れています。辛みがしっかりしていますが、加熱すると甘味が出て様々な料理に活用できる万能野菜です。
栽培で一番気を付けていることは、成長を妨げる病気への感染を防ぐことです。また、花芽がついて実が固くなる「とうだち」を防ぐことも重要です。病害虫の防除と追肥の時期を良く見極めないと、病気にかかりやすい柔らかい茎になってしまうため、常に気にかける必要があります。ごろごろとした大きな玉がたくさん収穫できた時が、一番うれしいと百木田さんは言います。収穫後は各農家で根を切り、1週間ほど乾かした後、磨きの工程を経て規格ごとに選別しJAに出荷します。JAの出荷所で腐りが混じっていないかを確認し、東京や東北、関西に向けて出荷しています。

困ったときはお互い様。
部会の仲間と助け合う

部会長として心掛けていることは「人と人とが顔を合わせた付き合いをする。」ことです。個人で購入した種播き用の機械を、部会員に無償で貸し出ししたり、皆で交流会を開催したりと直接顔を合わせて話をする機会を積極的に設けるようにしています。
国内最大の玉ねぎ産地の北海道では機械で収穫をしますが、こちらはすべて手作業で行います。
広大な土地で米や麦を忙しい百木田さんに代わり、シルバーさんや百木田さんのご兄弟、部会の仲間が手伝ってくれます。
「植えるのも手、収穫するのも人の手だからね。大変だよ。手伝ってくれてありがたい。人間だから、合う合わない人がいるだろうけれど、やはり直接顔を合わせた付き合いが大切ですね。」と百木田さんは言います。

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今年の玉ねぎは年明けから雨が少なく生育停滞気味でしたが、3月下旬からは適度に降雨があり、現在は例年通りの大きさに育っています。

「精魂込めて作った玉ねぎですので、皆さんたくさん召し上がってください。5月下旬より出荷が始まる新玉ねぎは、スライスしたものを水でさっと洗い、ポン酢やお醤油をかけて食べると、みずみずしさとシャキシャキとした歯ごたえ、そしてほんのり甘さが感じられます。お酒のおつまみとしてもおすすめですよ。」旬の季節を迎える館玉ねぎをどうぞよろしくお願いします。

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取材協力

JA北つくば 下館支店

〒308-0051 茨城県筑西市岡芹2222

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