小川いちご部会では「とちおとめ」「いばらキッス」「やよいひめ」の3品種に力を入れ
有機肥料を中心に減農薬での栽培に取り組み、エコファーマー認定農家の指定を受けています。
井川さんは平成30年「茨城いちごグランプリ(いばらキッスの部)」で大賞を受賞しました。 産地だより

井川さんのいちご

小川いちご部会では「とちおとめ」「いばらキッス」「やよいひめ」の3品種に力を入れ 有機肥料を中心に減農薬での栽培に取り組み、エコファーマー認定農家の指定を受けています。 井川さんは平成30年「茨城いちごグランプリ(いばらキッスの部)」で大賞を受賞しました。

エコファーマー認定農家

JA新ひたち野小川いちご部会  副部会長 井川 肇さん
JA新ひたち野小川いちご部会
副部会長 井川 肇さん

小美玉市は茨城県のほぼ中央部に位置し、関東ローム層からなる赤土に覆われており起伏も少なくほぼ平坦な地形となっているため、畑作に適しているといわれています。小美玉市のJA新ひたち野小川いちご部会は「とちおとめ」「いばらキッス」「やよいひめ」の3品種に力を入れ有機肥料を中心に減農薬での栽培に取り組み、エコファーマー認定農家の指定を受けています。今回は副部会長を務める井川さんのいちご畑から風味が濃くて甘いいちごを紹介します。

茨城いちごグランプリ

井川さんの畑では、「とちおとめ」と「いばらキッス」という2品種を育てており、平成30年「茨城いちごグランプリ(いばらキッスの部)」で大賞を受賞しました。井川さんが就農した当初はメロンを栽培していましたが、30年程前からいちごに絞って栽培と研究を重ねてきました。茨城県産の品種「いばらキッス」が誕生してからは、いちごの味と香りが濃厚な「いばらキッス」の栽培に力をいれるようになったと話します。

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本当に必要なものだけを見極める

いちご農家歴がベテランの井川さんですが、ここに至るまでにたくさんの苦労があったと話します。就農当初は土づくりに堆肥を使用していましたが、井川さんが納得できるいちごの根の張り方ではなかったため、土づくりを改良するため周囲やJAの担当者と相談して土壌診断をおこない、本当に必要な栄養だけを含んだ有機肥料へ変更することでいちごの根の張り方が良くなったと教えてくれました。

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美味しさは厳選した親苗から

梅雨が明けて本格的な夏の暑さが到来する7月、いちごの育苗が始まります。いちごは種をまくのではなく、前年育てた優良な親苗から子苗を育てて定植します。「良い親苗を選ぶことがとても大切。苗は買うこともできるけど、なるべく自分で育てた親苗から良いものをしっかり選んで子苗を育てるようにしているんだよ。」と教えてくれました。
井川さんの畑では、まず畝を作って保管していた子苗を定植し、苗の様子を観察しながら黒いマルチを被せます。すぐにマルチを被せない理由は、定植をする時期はまだ暑さの残る秋口のため、いちごの根が暑さで弱ってしまわないよう、涼しい気温になるまで待ってからマルチを被せるそうです。

授粉を手伝うのはミツバチ

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井川さんのハウス内には数匹のミツバチが飛んでいました。実はこのミツバチはとても重要な役割を担っています。いちご栽培にあたって「授粉」は欠かすことのできない工程です。定植後の10月初旬頃、いちごは白い花を咲かせて授粉の準備を始めます。いちごにきれいな形の実をつけさせるには、めしべにまんべんなく授粉させることが必要となるため、ミツバチが花粉を集めるときに、めしべとおしべがある部分をくるくると回りながら花粉を集める習慣を利用して、いちごの授粉をおこないます。このミツバチを利用した方法は自然に近い形でいちごの授粉作業をおこなうことができるため、いちご農家では昔から広く採用されていると話します。

徹底した温度管理と水分調整

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収穫が近づくころには秋も深まり、外気は氷点下にまで下がる日もあります。土の中が冷えてしまうと、いちごの根は成長を遅らせてしまうため、暖房をつけてハウス内の室温を8度以上に保ちます。ハウス内が暖かくなりすぎてもよくないので換気をおこないますが、直風をいちごに当ててしまうと、いちごが乾燥してしまうので、葉や実の状態を確認しながら水分調整もしっかりおこなう必要があると教えてくれました。

収穫には細心の注意を

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11月に入るといよいよいちごの実は赤く染まり、収穫が始まります。井川さんの畑では奥さんと2人の農業研修生と協力して、手押し車を押しながら手作業で一つひとつキズをつけないよう丁寧に収穫していきます。JA新ひたち野小川いちご部会ではいちごの品質を安定させるために、ひと月に一度目揃え会をおこない、カラーチャートに従って収穫するいちごの基準を決めています。いちごは季節によって追熟度が異なりますが、部会で定めたカラーチャートに従っていちごを収穫することで季節に合わせた美味しい状態を、安定して市場に届けることができると井川さんは話します。

パック詰めにも妥協なし

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収穫したいちごは一度自宅の作業場に持ち帰りサイズごとに選別して、手早くパックに詰めていきます。1パックに入れるいちごの重さは決まっているため、その中で色や形のバランスをとりながら詰めていかなければなりません。詰め終わったいちごのパックを見せてもらうと、上下左右どこから見てもツヤツヤの美しいいちごがきれいに並べられていました。この作業を手早くおこなうには長年の経験や技術が必要だと話します。

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パックに詰め終わったいちごは、JAへ持ち込み、職員による品質の検査を受けて県内外の市場へ出荷します。井川さんは「いちご農家は年々減ってきているけど、品質と収穫量をもっと安定させて、売り上げを伸ばして盛り上げたい。これからも愛情をかけていちごを栽培して、消費者にも喜ばれるものを出荷したい。」と今後の意気込みを話してくれました。

いちごの甘みと香りをギュっと濃縮

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井川さんに、おすすめのいちごレシピをお伺いすると「いちごは生で食べてもらうのが一番美味しいと思うけど、いちごとザラメとレモン果汁で作るジャムも美味しいよ。手作りジャムはミキサーにかける人もいるけれど、ミキサーにかけないで果実本来の食感を残すともっと風味がでて美味しいよ。」と教えてくださいました。そのまま食べても美味しいいちごをジャムにして濃縮させることで、より一層いちごの深い風味を楽しむことができるそうです。
また、いちごを選ぶときは艶のあるものを選ぶと良いそうです。「元気ないちごはツヤツヤしていて美味しいよ。」と教えてくれました。JA新ひたち野小川いちご部会のいちごは、小川営農経済センターでも購入可能です。

今が旬の味の濃いいちごを、ぜひご賞味ください。

取材協力

JA新ひたち野 小川営農経済センター

〒311-3412 茨城県小美玉市川戸1450-6

TEL :
0299-58-4139
FAX :
0299-58-0828
WEB :
http://www.shin-hitachino.com/

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