干いもづくりでは原料のさつまいもから栽培し、丁寧な皮むきと乾燥を心がけています。
また、部会では年2回の勉強会や生産指導で品質向上に努め、
100年以上前から始まった干いもづくりを部会全体で盛り上げてきました。 産地だより

柴田さんの干いも

干いもづくりでは原料のさつまいもから栽培し、丁寧な皮むきと乾燥を心がけています。 また、部会では年2回の勉強会や生産指導で品質向上に努め、 100年以上前から始まった干いもづくりを部会全体で盛り上げてきました。

全国シェア9割の干いも大産地

JA常陸 干いも契約栽培部会 部会長 柴田 晃さん
JA常陸 干いも契約栽培部会
部会長 柴田 晃さん

自然の甘みが濃縮されたスイーツ「干いも」は明治時代から日本国内で広がりました。昨今では子どもから大人まで世代を問わず冬の味覚として親しまれています。茨城県は干いも全国シェア9割の生産量を誇っています。今回は茨城県北東の沿岸に位置するひたちなか市のJA常陸 干いも契約栽培部会で部会長を務める 柴田さんの干いも加工場にお伺いしました。

「大産地」に甘えない品質

image2.jpg

JA常陸 干いも契約栽培部会は部員60名で構成されており20代から90代の干いも生産者が所属しています。
また、この地域には「ほしいも協議会」があり、三ツ星生産者の認証制度を設け、生産履歴の記帳・衛生加工の実践・適正品質表示の3項目を満たした生産者を認定して、消費者に信頼される干いも産地を目指す取り組みがおこなわれています。さらに年1回の品評会をおこない、知名度アップや生産者の技術や品質の向上を目的に、干いもの大産地としての一層の発展を図っています。

100年以上続く伝統

ひたちなか市では100年以上前から干いもの製造が始まりました。当時は麦などの畑作の合間におこなう副業として始めたのがきっかけでしたが、現在はさつまいもから栽培して、本格的に干いもづくりに取り組んでいる農家が大半を占めています。沿岸から届く潮風と、冬の時期に晴天が多く干いもづくりに適していたことが、転換の後押しとなったと言われています。
柴田さんは18歳のときに祖父から干いもづくりを継いで就農しました。当初は多品種に渡る干いもの加工にチャレンジしたそうですが、今では「ほしこがね」と、「紅はるか」の2つの品種に絞っています。「ほしこがね」を原料にした干いもは、あっさりとした甘みと上品なさつまいもの風味を楽しむことができ、「紅はるか」を原料にした干いもは、強い甘みと鮮やかな黄金色でしっとりやわらかいのが特徴です。

干いもづくりは栽培から

image3.jpg

柴田さんは干いもの原料になるさつまいもを自ら栽培しています。さつまいもを育てる畑では土壌検査をおこない、減農薬に努めながら、JAの担当者と相談してその年に使用する肥料などを選定します。しっかり土づくりをおこなったうえで、春先、優良な種芋から作った苗を植えます。10月初旬になると収穫が始まり、収穫したさつまいもはひと月以上をかけて貯蔵熟成をおこないます。晩秋から厳寒期にかけて貯蔵熟成させることによって、ゆっくりと糖化させ糖度を高めることができると教えてくれました。

丁寧な皮むきが仕上がりを左右する

image4.jpg

貯蔵熟成をおこない糖度の増したさつまいもは、大きさごとに仕分けをして1時間~1時間半ほどかけてゆっくりと蒸し上げます。蒸し機からでてきたさつまいもは、冷めるのを待たずに皮を剥いていきます。さつまいもは皮に近い部分は黒くなる特徴があるため、目には見えない内側の皮まできれいに除いてあげる必要があります。

image5.jpg

「ここにうっすら白い膜が見えるでしょう?実はこれも皮の一部なの。時間が経つと味に変わりはないけれど黒くなってしまうから取り除いておくの。熱いうちに皮を剥くことできれいに仕上げることができるんだよ。」と教えてくれました。この皮むきによって干いもの仕上がりを左右し、美しい黄金色を際立たせることができるそうです。

皮をむいたさつまいもは、薄くスライスした代表的な形の「平干し」と、小ぶりのものをそのまま干す「丸干し」があり、それぞれ網に並べて乾燥します。

低温でじっくりと

image6.jpg

柴田さんは、天日干しと機械乾燥を用いた乾燥の両方を採用しています。天日干しは天候にも左右されることがあるため、作業の効率化を図り26年前に機械乾燥の設備の導入を決めたそうです。天日干しは潮風と太陽の陽によって乾かしますが、機械乾燥では季節によって繊細な温度管理が必要とされます。柴田さんはマニュアルに捉われず、送風の温度を下げて通常の時間より長めに乾燥させています。「温度が高すぎるとさつまいものでんぷんが痛んでしまうことがあるから、低めの温度でじっくり乾燥させているんだよ。」と教えてくれました。乾燥させた干いもは、丁寧にチェックしながらひとつひとつ手作業で梱包して市場へ出荷します。

長く楽しく続けていきたい

image7.jpg

柴田さんの今後の目標をお伺いすると「体に気をつけながら、長く続けていきたいね。干いもの生産者が楽しくやっていけるようになっていくといいかな。」と話してくれました。また部会としても「年2回の勉強会や、生産方法についての指導をこれからも続けて、部会全体の品質向上と出荷量の安定に努めていきたい。」と意気込みを語ってくれました。

image8.jpg

柴田さんに、干いものおすすめの食べ方をお伺いすると「もちろんそのまま食べてもらうのが一番だけど、温めると柔らかくなって美味しいからやってみて。火で炙ると香ばしさも楽しめるよ。」と教えてくれました。

みなさまも茨城特産の干いもをぜひご賞味ください。

取材協力

JA常陸 ひたちなか営農経済センター

〒312-0023 茨城県ひたちなか市大平1-20-1

TEL :
029-276-1221
FAX :
029-229-1137
WEB :
http://www.ja-hitachi.jp/

大きな地図で見る

JA常陸 長砂直売所

〒312-0004 茨城県ひたちなか市長砂34-4

TEL :
029-285-0202
FAX :
029-285-0281
WEB :
http://www.ja-hitachi.jp/contents/shop/hitachinaka10.html

大きな地図で見る