JA常総ひかりねぎ部会下妻支部は栽培講習会と目揃え会を開催して部会員をサポートしています。土壌本来の栄養分を活かして、減農薬に努め安全安心なねぎを出荷するため、増田さんはこれまで培ってきた栽培知識を活かして今年2年目のねぎ栽培にチャレンジします。 産地だより

増田さんのねぎ

JA常総ひかりねぎ部会下妻支部は栽培講習会と目揃え会を開催して部会員をサポートしています。土壌本来の栄養分を活かして、減農薬に努め安全安心なねぎを出荷するため、増田さんはこれまで培ってきた栽培知識を活かして今年2年目のねぎ栽培にチャレンジします。

水と大地に恵まれた温暖な気候

JA常総ひかり ねぎ部会下妻支部 増田 和司さん
JA常総ひかり ねぎ部会下妻支部
増田 和司さん

茨城県の南西部に位置するJA常総ひかりの下妻地区は、年間平均気温が13~14度と温暖な気候で、一年を通して降水量も少なく、特に梨は有名で茨城県青果物銘柄産地の指定を受けています。また県内有数の米どころでもありブランド米「ミルキークイーン」は下妻を代表する品種となっています。今回はJA常総ひかりねぎ部会下妻支部から、減農薬のねぎ栽培にチャレンジする増田さんのねぎを紹介します。

JA常総ひかりねぎ部会下妻支部は平成6年に発足し、現在44名の部会員が所属しており、春先に栽培講習会、夏と秋口には部会全体の品質を安定させるための目揃え会を開催して部会員のサポートをしています。

両親から継いだ「責任と誇り」

増田さんが就農したのは今から7年前の30歳のときでした。当時、サラリーマンだった増田さんは、会社勤めの傍らで両親を手伝っていましたが、父親が体調を崩したことをきっかけに、両親から畑を引き継ぎ就農することとなりました。それまで「両親の手伝い」として農作業に関わってきた自分が、家業を継いで就農することで、それまでは気づかなかった農家としての責任を感じたと話します。最初は母にアドバイスをもらいながら独学で品目や品種を選び、栽培に必要な機材は自分の目で見て納得できるものを探したそうです。増田さん自身で始めたなすは、土壌が本来持っている栄養分を活かして無農薬に努めて栽培してきたこだわりがあり、「農家として芯のある栽培をしたい」と話す増田さんの表情には、田畑と共に受け継いだ農家としての強い誇りを伺うことができました。

選んだ品目は「ねぎ」

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増田さんがねぎの栽培を始めたのは昨年の春でした。両親から受け継いだ米も続けながら、減農薬が難しいとされるねぎにチャレンジしたいと思ったのは、周りの農家やJAの担当者の後押しもあったと話します。「栽培期間の長い作物は初めてのチャレンジだったから不安もあったけれど、ねぎ部会の集まりなどで部会員に相談すると、良いアドバイスをもらうことができた。同じ品目を栽培する農家の集まりだからやっぱり相談しやすかった。」と増田さんは話します。

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隣接するハウスで、今年の春に種まきをおこなったねぎの苗を見せていただきました。増田さんの畑では家族経営による小規模栽培にこだわっているため、少人数で農作業ができるよう種まきを1か月ずつずらしています。種まきの時期をずらすことでねぎの出荷ピークでも少人数で収穫・出荷をおこなうことができると教えてくれました。

春先の土づくり

下妻市はお米作りが盛んなこともあり、昔から田んぼが多く、水分を含んだ柔らかい赤土が特徴です。こうした土は踏み固められると粘土層ができやすいため、増田さんはまず土の改良から取り組んだと話します。水分を含んで固くなってしまった土中深部を掘り起こすように土壌をすき込み、土に酸素を含ませて柔らかくして排水性を高めます。こうすることで、ねぎの根が深く張ることができ、土中の養分をしっかりと吸収してくれるそうです。ねぎ栽培については今年2年目の増田さんですが、これまで培ってきたなす栽培での土づくりや知識をねぎ栽培でも活用できたと話します。

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4月に入ると、増田さんの畑では畝立てと、ねぎの定植が始まります。定植が終わってしばらくすると梅雨に入り、雑草の処理に追われます。この頃まだ小さいねぎの苗は雑草に土中の養分を奪われ、簡単に下から生えてきた雑草に押し上げられてしまうため、ねぎの畑全面に広がる草を手作業で除くために、11月の収穫まで毎月1回、1週間ずつ時間をかけて草取りをおこないます。

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また、去年は秋口に台風が多かったため、増田さんは「ソルゴー」という背の高い緑肥で畑全体を囲い、ねぎが強風に倒れてしまわないよう風除けに植えて対策したそうです。それでも10月の大型台風が直撃したときは不安で仕方なかったと話してくれました。増田さんの畑のねぎはその大型台風の風で一度は倒れてしまったものの、1本1本手作業で丁寧に起こして畝で支えると元気に復活してくれたと話します。

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11月の収穫シーズンが到来し、出荷がピークを迎えると翌年の1月下旬まで休みなくねぎの収穫が続きます。増田さんは冷え込んで霜が降りやすい午前中の収穫を避け、陽の昇った午後に収穫を開始します。収穫したねぎは翌日の午前中に皮をむき、品質を安定させるため目揃え会での規格に合わせて箱詰めしていきます。箱詰めしたものは正午ごろJA常総ひかり下妻野菜集出荷所に持ち込みJA担当者のチェックを受けて市場へ出荷します。

自然と共存する農業を

増田さんに今後の目標をお伺いすると、「自然が大好きだから自然と共存できる範囲で、小規模でも効率良く出荷できる農家が増えてくれるといいな、と考えているよ。」「今は僕と、母とパートさんの3人でねぎの栽培をしているけれど、いつか妻とも協力してやっていけたら嬉しいかな。」と照れくさそうに話してくれました。また、増田さんに増田家ご自慢のおすすめねぎレシピをお伺いすると「ゴマ油で焼いたぶつ切りのねぎをお醤油で食べると本当に美味しいよ。間違いないのは定番のお鍋の具材だよね。」と奥さんが作ってくれるねぎレシピを教えてくれました。

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JA常総ひかりねぎ部会下妻支部の美味しいねぎをどうぞご家庭でもご賞味ください。

取材協力

JA常総ひかり 下妻支店

〒304-0061 茨城県下妻市下妻丙630-1

TEL :
0296-43-1311
WEB :
http://www.shin-hitachino.com/

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