JAなめがたしおさい 販売担当 宮本 浩行さん
部会員226名からなるピーマン農家の生産性を向上させるため 
平成30年8月より、日量80tの処理能力を可能とする新選果場が稼働をしました。 産地だより

波崎青販部会選果場施設

JAなめがたしおさい 販売担当 宮本 浩行さん 部会員226名からなるピーマン農家の生産性を向上させるため 平成30年8月より、日量80tの処理能力を可能とする新選果場が稼働をしました。

太平洋と利根川の
利に恵まれた砂質の大地

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茨城県の東南端に位置し、東京から100㎞圏内、成田空港からは約30㎞圏内と良好なアクセスに恵まれています。年間を通して温暖な気候と、水はけの良いサラサラとした砂質土が連作に強い特性をもっており、ピーマンの全国シェア率25%、ピーマン作付面積日本一を誇る名産地となりました。波崎地区は春・秋ピーマン、温室ピーマンと三作を季節ごとに植替えをおこない、1年を通して首都圏を中心に全国各地の市場へピーマンを出荷しています。

波崎のピーマンの認知を拡大していこうと、昨年春からは、ピーマン流通部会のキャラクター「ドラP」と一緒に、部会一丸となって全国にPRをしています。

農業の人手不足を効率化で打破したい

昭和24年に始まったJAなめがたしおさい波崎青販部会のピーマン栽培は、全国のピーマン消費を支える要の産地ともいえる立ち位置に成長しました。波崎地区ではピーマン最盛期の毎年5月から6月にかけて出荷がピークになり、日中はハウスにて収穫作業やハウスの温度管理、夜は選果や選別の作業など寝る間を惜しんで作業にあたってきました。

「今よりもっと農家が栽培管理作業に時間をかけることができれば、波崎のピーマンの品質や生産性は更に向上する。」と、ピーマンの出荷に関わる業務を部会で一元化して担うため、この「JAなめがたしおさい 波崎青販部会選果場施設」が、昨年の夏に稼働を開始しました。

統一された品質で
新鮮なピーマンを届けたい

実際にどのように出荷業務を担っているのか、販売担当の宮本さんに聞きました。「これまでピーマンの農家が収穫後に自宅でおこなってきた選果・選別、箱詰め作業など、何時間もかけておこなってきた作業を、15分ほどでおこなうことができます。ピーマン栽培のプロといえど選果・選別のスピードには限界があります。作業を一元化することによる品質の統一と、出荷までのスピードを早めることによって、より新鮮で美味しいピーマンを市場へ届けることが可能になりました。」と宮本さんは話します。

最盛期でも農家が
栽培に集中できる仕組みを

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専用のコンテナに積み込んでトラックで運び込まれてきたピーマンは、まずは受付をおこないます。受付の床には重量計が設置されており、農家がトラックに乗ったまま受付を済ませることができ、受付を済ませている間にトラックごとピーマンを計測します。

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その後トラックは搬入口へ移動します。受付で渡されるQRコードのついたシールをコンテナに張り付けて、コンテナを乗せたオレンジ色の板(パレット)ごとピーマンを施設内に運びます。

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トラックはピーマンのコンテナを降ろしたあと、出口にある重量計の上を通り、最終的に納品した総重量を計測します。

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施設の稼働前は何時間もかけておこなっていた農家の出荷作業は、受付をしてから10分ほどで完了しました。これにより出荷準備に割かれていた時間を栽培管理作業そのものに費やすことができるようになり、栽培規模の拡張などに意欲的な農家が増えたと宮本さんは話します。

新鮮さを届けるための15分の勝負

それでは搬入されたピーマンは、どのように仕分けられていくのか見ていきます。

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先ほど搬入されたピーマンのコンテナはデパレタイザーという設備に乗せ、ピーマンの選果機に1コンテナずつ自動で投入されます。

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その後、ベテランの選果場従業員によって、変形果や小さなキズ、変色のあるピーマンを選果基準表に沿って見分けます。ここに立つ選果場従業員は部会全体で60名程おり、部会の開催する目揃会で規格に合ったピーマンを見分ける指導を受けていると、宮本さんは話します。

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うしろからその様子を見学させてもらいましたが、すでに農家で選別されていることもあり、「こんなにきれいなピーマンなのに選別が必要なの?」と思うほどツヤツヤで新鮮なピーマンばかりが流れてきます。ですがプロの選果場従業員は小さな傷も見逃さず、一瞬でピーマンを仕分けていきます。安全安心な品質を提供するには、人の口に入るものだから、徹底的にチェックするのだと教えてくれました。

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選別エリアで厳しいチェックをクリアした良質のピーマンは、重量計測コーナーで1果ずつ計量され、その重量によって別々のパッケージングエリアに運ばれていきます。大きなピーマンはダンボール箱にバラ詰めにして4㎏単位で市場に出荷されます。

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ピーマンの箱は蓋をしたあと金属検知機を通り、安全を確認したあと市場へ出荷されます。施設内はこれだけの大規模なシステムが広がっているので、万が一、ビスなどの部品がピーマンに混ざることがないよう、金属検知機が反応した時点で、施設内のすべてのレーンがストップする仕組みになっていると教えてくれました。

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重量計測器で計量されたMサイズのピーマンは150gずつ個別に包装するため、Mサイズピーマン専用のパッケージングエリアへ移動します。ピーマン一つひとつ再度重量を測り、150gに近い組み合わせでパッケージングされるよう機械で計算されているそうです。

地域農家すべてが
参加できる施設でありたい

すべての選果・選別、パッケージングが完了するまで15分。人力で出荷作業をおこなっていたころとは比べ物にならないほど、労力・時間の削減が可能になったと宮本さんは話します。今後は市内の部会以外の農業団体や個人にもJAなめがたしおさい 波崎青販部会選果場施設への参加を呼びかけ、地域全体の農業の発展と出荷量の向上に貢献できればと目標を話してくれました。地域のたくさんの農家を受け入れるために、どんな豊作の年でも流通をしっかりサポートしていける施設でありたいので、これからも模索し挑戦していきたいと考えています。」と宮本さんは意気込みを話してくれました。

これからが旬のJAなめがたしおさい波崎青販部会の春ピーマンを、ぜひご家庭でお召し上がりください。

取材協力

JAなめがたしおさい 波崎青販部会選果場施設

〒314-0254 神栖市太田1888-53

TEL :
0479-21-7711
FAX :
0479-21-7710
WEB :
https://ja-ns.or.jp/

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