猪瀬さんが就農したきっかけは結婚でした。元々農家にとって必要不可欠な資材（マルチシートや肥料といった栽培に必要な物品のこと）を販売する会社に勤務していましたが、仕事をする中で農家との縁が深まり、今の奥さんと出会い結婚したことで、奥さんの実家である農家を手伝うことになりました。今でも現役農家の義父にたくさんのことを教わりながら、日々とうもろこし栽培に奮闘中だと話します。猪瀬さんはとうもろこし栽培のほかに、県の銘柄産地指定を受けているメロンや白菜、キャベツ、加工トマトなどの栽培にも取り組んでおり、1年を通して農作業と向き合うことで、たくさんの経験と知識を得られていると話してくれました。

猪瀬さんの畑では、とうもろこし1株に対して一番果（一番最初に収穫を迎える実）のみ出荷をおこないます。露地で栽培されるとうもろこしの旬は長くはありません。短い旬の中で最も甘くて美味しい一番果のとうもろこしだけを届けたいという猪瀬さんのこだわりだと話します。収穫を迎えると朝4時頃から畑に向かい、家族で収穫をおこなったあと、午前中の間にJAへ出荷し予冷庫へ保管します。鮮度が命のとうもろこしを収穫したその日のうちに市場へ届けるために、収穫後の作業はスピードが大切なんだと教えてくれました。

猪瀬さんが栽培するとうもろこしの品種"恵味(めぐみ)"は粒が大きく鮮度が下がりにくい特徴があります。しかし、「とうもろこしはなるべく早く食べないといけないよ、とうもろこしは時間が経てば経つほど甘みが落ちてしまうんだ。」と猪瀬さんはいいます。おすすめのとうもろこしレシピを伺うと「王道だけれど茹でたり焼いたりするのが美味しいよ。恵味は生でも食べられるから瑞々しいとうもろこしが水分補給にもなるんだ。」と教えてくれました。猪瀬さんの畑で一緒に働いている実習生達も農作業の合間に水分補給のため生のまま食べるそうです。