稲敷の土壌を活かしたかぼちゃ作り
稲敷市の土壌は火山灰が堆積した関東ローム層であり、水捌けが良い土壌が特徴です。そのため、雨が降った後でも乾きやすく、排水性の高い土壌を保つことができます。また、年間を通じて適度な降水量でもあるため、この2つの利点を活かし、昭和41年から江戸崎かぼちゃの栽培がはじまりました。
江戸崎かぼちゃの特徴は、畑で完熟するのを待ってから収穫することです。通常のかぼちゃは熟成日数が45日程度であるのに対して、江戸崎かぼちゃは実を着けたままで55日程度熟成させるため、ホクホクとした食感で、甘みのある味になります。一方で、長く畑に置いておくことで、害虫や病気などが発生しやすい側面もあるため、気を配りながら一つひとつ丁寧に栽培されています。
変わらない品質を
出荷期間は5月中旬から8月上旬頃で、茨城県内だけでなく首都圏の市場を中心に流通しております。

部会長を務める池延さんは父からかぼちゃ栽培を継いだ2代目で、高校生の時から農業への道へ踏み込みました。父から受け継いだ知識と独自の試行錯誤で父の代よりも大玉な江戸崎かぼちゃを今年も実らせています。
全ての圃場で江戸崎かぼちゃを完熟に
着果調査では病害虫の発生がないか、生育状況が適切かなどが確認されます。
その後、着果から必ず55日程度たった完熟の時期に収穫がされるように採果調査にて、全圃場のかぼちゃを持ち寄り、試し割りをおこないます。試し割りの結果で出荷日が確定し決められた時期で収穫がおこなわれます。
選ばれた江戸崎かぼちゃの印
収穫後はかぼちゃを水で洗い乾かして、傷や形状、重さなどでA〜C品と規格外へ分けて箱詰めをします。出荷前には専門検査員が部会内すべての江戸崎かぼちゃの品質検査をおこないます。「少しの傷の有無で一段階ランクが下がることもあるぐらい一箱一箱厳しい目で品質検査をしています。専門検査員と役員の第三者の目で二重に検査することで江戸崎かぼちゃのブランドを長年守り続けています。」と池延さんは話します。厳正な品質検査に合格した江戸崎かぼちゃにはきらりと光る認定シールが貼られ出荷されます。規格外品については、加工用としての出荷もあり、形を変えてより多くの消費者に江戸崎かぼちゃの味を届けます。
江戸崎かぼちゃを広めるために
部会では、地域の商業施設との栽培・収穫体験などをおこなっており広報活動にも勢力的に取り組んでいます。部会の今後の目標は、作付面積の維持と新規就農者の獲得です。高齢化による就農者の減少により生産者も減る中で、江戸崎かぼちゃの栽培に新しく取り組もうとする方へ支援を手厚くおこなっています。また、部会内の女性が集まり女性部として昔ながらの調理法だけでなく、かぼちゃのチップスなど新しいレシピを考案し、子供から大人まですべての世代の方にアピールしています。
江戸崎かぼちゃをより美味しく食べる
池延さんにおすすめのレシピを伺うと「女性や子供にはじゃがいもの代わりに江戸崎かぼちゃをいれたクリームシチューもおすすめです。」と教えてくれました。また部会からは「産地で昔から続く調理法である『かぼちゃのほくほく煮』は、少ない調味料で素材の味が最大限に引き出され、栗のようにホクホクした口当たりと江戸崎かぼちゃの甘みが味わえます。」と教えてくれました。昨年には、大手コンビニエンスストアから一部地域限定で「江戸崎かぼちゃのポタージュ」などが販売され、消費者の方々がより手軽に楽しめるようにもなりました。
JA稲敷江戸崎南瓜部会の江戸崎かぼちゃをぜひご賞味ください。
取材協力
JA稲敷 中央支店
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