地域全体で取り組むすいかづくり
下妻市は茨城県の南西部に位置し、海から50km以上離れているため、やや内陸型の特徴が強い温暖な気候です。果実の出荷額が県内4位であり、茨城県の農業を支えています。なかでも千代川地区は長年にわたってすいか作りが盛んで、地域に根付いたすいか産地です。すいかの栽培は天候の影響を受けやすく難しい点も多くありますが、地域が古くから培ってきた経験と知識を活かし、継続してすいかの栽培に取り組んでいます。
「こだますいか」は、品種改良の中で生まれた新しい品種のひとつです。皮が薄く、糖度が高いために、皮ぎりぎりまでおいしく食べられることができます。また、サイズが小さめで冷蔵庫に入れて保存しやすいなどの利点もあります。
時代に合うすいかの品種を

副部会長 中里さん
JA常総ひかり千代川地区すいか部会は、50年以上前から活動しています。所属部員それぞれが自身の育て方にあった品種を見極めて、ビニールハウスやハウストンネルで育てています。また、核家族化やひとり世帯の増加など、時代の変化とともに消費者が求めるすいかが変わってきたことで、部会でも時代のニーズにあわせ、「大玉すいか」から「こだますいか」へ品種を変えて栽培をする部員も増えてきたと言います。
こだますいかと向き合う日々
中里さんは以前、自動車関係のお仕事をされていました。結婚を機に奥様の実家を継がれ、現在は2代目として、奥様と2人で「こだますいか」を栽培されています。こだますいかの栽培の難しい点は、品種によるクセを見極めることだと中里さんは言います。品種改良の上で、親に大玉すいかの遺伝子がある品種は、育てていく過程で形がまばらになってしまうことがあるそうです。丸くて均一な大きさのすいかを育てるために、日々工夫と経験を重ねて、品種の特徴をつかんでいくことが重要だとおっしゃっていました。
美味しいこだますいかを栽培するために
堆肥を使用することにより、栄養豊富な良い土壌環境を作り、定植の約1か月前から土の温度を管理し地温を上げておくことで、活発に根付き苗が成長しやすくなるよう努めているそうです。親づるから孫づるまで成長を見守りながら、手間暇かけて整枝や摘果がおこなわれ、大きさや形が管理されています。
「今年は昼夜の寒暖差があり順調に育ったため、糖度の高い『こだますいか』が出来上がった。」と話してくれました。「こだますいか」は5月上旬~6月下旬頃、「黒こだま」が6月下旬~8月中旬に出荷され、初夏から暑さがピークに達する頃まで楽しむことができます。
ひたむきに品質を追求
中里さんは今後の目標を「同じ品種での栽培を続けて約4年目になります。まだ自分が目指す完璧な状態ではないのでもっと勉強を続けて、等級が一番高い"秀"のこだますいかをたくさん実らせられるように頑張っていきます。消費者の方においしいこだますいかをお届けしたいです。」と話してくれました。
5月・6月がこだますいかの出荷時期であることが地元でも認知度が低いため、県外だけでなく地元に向けてもよりアピールをおこなっていきたいと教えてくれました。
夏の風物詩を先取り!
最後に、中里さんにおいしいこだますいかを見分ける方法を伺うと「すいかを軽く叩いてみてください。高い音だと未熟で、低く重たい音は熟しすぎています。そして、つるの切り口が新鮮なものがいいです。すいかはメロンのように追熟しないので購入後は、なるべく早く食べてくださいね。この時期にしかとれない5月・6月のこだますいかは皮がうすくて糖度が高く、おいしいですよ。」と中里さんは教えてくれました。
紹介したこだますいかは"旬彩・やちよ"農産物八千代直売所や、やすらぎの里しもつま 農産物千代川直売所でも購入が可能です。
みなさまも夏を先取りして、JA常総ひかり千代川地区すいか部会のこだますいかをぜひご賞味ください。
取材協力
JA常総ひかり 千代川野菜集荷場
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