茨城の農業を支える旭村

部会長 佐山さん
茨城県の鹿行地域に位置する鉾田市旭村地区は、火山灰が堆積した関東ローム層による土壌の水はけの良さと昼夜の気温差が大きいことから、ビニールハウスでの園芸農業が盛んな地域です。昭和52年より春メロンの後作として大玉トマトが栽培されはじめ、茨城県青果物銘柄産地指定を受けています。
今回はJA茨城旭村トマト部会の部会長を務める佐山さんのハウスで育った真っ赤な大玉トマトをご紹介します。
暑さと戦いながら育てる大変さ
佐山さんは29歳の時に就農され、ご両親のハウスを継いで2代目となります。
現在は、ご家族やスタッフを含む5名で栽培をおこなっています。「父が大玉トマトの栽培をはじめて約45年ほど経ちます。本格的に農業をはじめる前からよく両親の仕事を手伝っていたのですが、就農しはじめの頃は上手くいかないことも多くありました。色々な失敗や成功を重ねて、高品質な大玉トマトが育つように日々気を配りながら丁寧に栽培しています。」と佐山さんは話します。
佐山さんが栽培の際に一番気を付けていることは、ハウス内の温度管理と病気を予防する環境づくりです。本来トマトはハウス栽培では暑い時期に栽培しにくい野菜ですが、暑さに強い品種を使用し、ハウス内の温度が上がりすぎないよう遮光ネットの活用とこまめな換気で温度管理を徹底しています。
大玉トマトは、春メロンの収穫が終わる6月から7月上旬にかけて定植され、9月上旬から10月上旬に収穫のピークを迎えます。多い時には1日1,600kgの大玉トマトを収穫し、選果・出荷をおこなうJA茨城旭村青果物管理センターへと運びます。
佐山さんは、「今年は昨年より作付面積を増やして、より多くのトマトを収穫できるようになりました。トマト栽培に適さない猛暑のなかでも、工夫を重ねておいしいトマトを栽培しているのでたくさんの方に味わってほしいです。」と話してくれました。
地域全体で取り組むトマトづくり
JA茨城旭村トマト部会は、217名の部会員が所属しています。部会全体の作付面積は、92ヘクタールで、東京ドーム約20個分ほどにもなります。部会のトマトはミニトマト・中玉トマトも含め、5月中旬から11月中旬頃に市場に出回り、昨年は約3,400トンが出荷されました。
部会では定期的に研究会をおこない、連作障害や病気に耐えられる品種の研究や意見交換会を実施し、今後もよりおいしいトマトを生産できるように部会員同士が協力してトマトづくりに励んでいます。
また、地域全体で病気に強い作物を作るという取組みのもと、特に健全な土づくりに力を入れ、春メロンの収穫後には土壌検査を実施しています。土壌検査の結果に基づきトマトの栽培に必要な栄養素が含まれるよう、適切な施肥をおこなって土壌改良に務めています。
今後も部会全体で栽培管理を徹底し、安全でおいしいトマトの安定的な生産を目指していくことが部会の目標です。
たくさんの消費者のもとへ
今年は新型コロナウイルスの関係で中止していますが、例年は出荷のピーク時期には、生産者やJAの職員などが市場や量販店に直接出向いて試食宣伝をしたり、テレビ番組に出演したりなど、大玉トマトのPR活動にも積極的に取り組んでいます。JA茨城旭村特産物直売所「サングリーン旭」では、生産者が直接持ち込んだ新鮮なトマトをお買い求めいただけます。
食卓に彩り豊かな大玉トマトを
佐山さんにおすすめのレシピを伺ったところ、「大玉トマトは生で食べるのが一番おいしいです。トマトとモッツァレラチーズを交互に挟み、バジルを盛り付けたカプレーゼが見た目も色鮮やかで人気です。」と答えてくれました。
ほかにも、アボカドとトマトのサラダもおすすめだそうです。
店頭でトマトを購入するときは、トマトのおしり部分にある「スターマーク」と呼ばれるおいしさのしるしを確認してみてください。放射線状にのびた白い筋が大きいほど甘くておいしいトマトになります。甘みと酸味のバランスに優れた味が特徴のJA茨城旭村トマト部会の大玉トマトをぜひご賞味ください。
取材協力
JA茨城旭村 営農情報支援センター
〒311-1415 茨城県鉾田市造谷1377-1
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