茨城県花き銘柄産地指定の
JA水郷つくばのグラジオラス
茨城県のグラジオラス生産量は全国でもトップクラスを誇ります。さらなる産地の活性化を目的にオリジナル品種の育成に力を入れ、透明感のあるピンクと白のぼかしが美しい大輪品種の「常陸はなよめ」などが誕生しました。
かすみがうら市、土浦市ではグラジオラスの栽培が特に盛んにおこなわれており、優れた栽培技術とその品質は県内外から高く評価されています。
豊富なバリエーションで
さまざまなシーンに
土浦市では、50年以上も前からグラジオラスの切り花栽培がおこなわれてきました。JA水郷つくばグラジオラス共選部会は、20代から30代の若手部会員が多く所属し、柔軟なチームワークを活かして50種類以上もの品種を取り扱っています。定期的な検討会や目揃え会に加え、他産地と海外で視察を実施し、部会員全員で技術を高め合って昨年は高品質なグラジオラスを285万本ほど出荷しました。

小松崎さん 田中さん
茨城県青年農業士協議会の理事も務める小松崎さんは親元就農を経て独立就農し、他県から集まった若手7人でグラジオラスとにんじんなどの根菜類を中心に栽培しています。
田中さんは野菜の価格が下落し悩んでいた時に小松崎さんに出会いました。小松崎さんのもとで農業研修をおこない、現在は独立してグラジオラスを栽培しています。
グラジオラスが健全に育つ環境作りを
グラジオラスは2月から8月下旬まで品種や作型を変えて繰り返し作付けをおこないます。土づくりでは緑肥や土壌改良資材を用いてセンチュウの密度を下げ、根を育ちやすくします。また、暑くなる時期には遮光ネットで暑さを和らげ、穂焼けによる品質の低下を防ぎます。「グラジオラスは花だけでなく葉の見た目も商品価値に直結するため、鮮度が高く美しい見た目にするためにいくつもの工夫が必要なのです。」と小松崎さんは話します。
また、連作障害の対策として同じ圃場では連続してグラジオラスを栽培せずに、土壌診断の分析結果をもとにそれぞれの圃場にあった相性の良い野菜を見極めて輪作します。
均一できれいな商品を届けたい
収穫時期を見極め、葉や穂が土で汚れないように気をつけて球根ごと引き抜きます。多いときには1日に約1万から1万5千本を手作業で収穫します。長さを揃えて球根部分はカットし、品質にばらつきがでないように1本ずつ人の目で確認をして穂の開き具合ごとにまとめていきます。グラジオラスは花が開花してしまうと出荷ができないため、成長が進まないように予冷庫で保存後、全国の市場へ出荷されます。
「グラジオラスは播種から収穫、箱詰めまですべて手作業でおこなわれます。背丈が高く、束にするとかなりの重さになるので大変ですが、機械を使わないからこそ若手が新規で始めやすい品目なのです。」とグラジオラスならではの大変さと良さを小松崎さんは話します。
若手が率先して
産地の未来を明るく照らす
今後の目標について小松崎さんは「グラジオラスは昔から冠婚葬祭などに多く利用され、日本文化には欠かせない花の一つです。その文化を絶やさないように私たちが魅力を発信し続けていきたいです。今後も高い品質で全国の市場へ安定的に届けていきますので、ぜひグラジオラスを生活のなかにも取り入れてみてください。」と話してくれました。田中さんは「大変な部分もありますが楽しくグラジオラス栽培をおこなっているので、もっと収穫量を増やしていきたいです。これまでに教えてもらったグラジオラスの魅力を若い世代に伝えより生産者を増やし、地域を盛り上げていけたらと思っています。」とグラジオラスへのひたむきな想いをお二人は語ってくれました。
JA水郷つくばとJA水郷つくばグラジオラス共選部会では、InstagramとFacebookにて産地の様子やおすすめの品種情報 をリアルタイムで発信していますので、ぜひチェックしてみてください。
グラジオラスの切り花はこまめに水を替え、開花しない先端を摘むと上まで花が咲きやすくなります。贈答用としてだけでなく、お家に華やかなグラジオラスを飾って癒されてみてはいかがでしょうか。
取材協力
JA水郷つくば 営農部 販売課
〒300-0048 茨城県土浦市田中1-1-4
- TEL :
- 029-823-7001
- FAX :
- 029-824-5011
- WEB :
- https://ja-sgt.or.jp/