都心から50km圏内の茨城県南部に位置する牛久市は、古くから河童にまつわる伝説が語り継がれている牛久沼に接し、昭和61年から大根の栽培がおこなわれています。
牛久市で栽培される大根は「河童のキューちゃん」をトレードマークに「うしく河童大根」として出荷されています。生食に適し、瑞々しくシャキシャキとした食感と柔らかな肉質が特徴です。
今回は山越さんの肌つやのある白い「うしく河童大根」をご紹介します。

山越さんは祖父母が農家だったため、幼い頃から身近に農業に接していました。大学を卒業し就農後、農家さんの手伝いをおこなっていた際にうしく河童大根の栽培を勧められた事がきっかけで、大根の栽培を始めました。現在は、ご両親・奥様のご家族とともに大根の栽培をおこなっています。

JA水郷つくば 大根生産部会は34名ほどの部会員が所属し、4月～6月上旬と10月～12月上旬に規格が統一された「うしく河童大根」を出荷しています。平成19年には部会員全員がエコファーマー認定を受け、令和元年に茨城県の青果物銘柄産地にも指定されました。
部会には若い世代が多く所属しており、目揃え会や講習会、研修会などを月に1回程度のこまめな頻度で実施し、さらなる品質向上に努めています。山越さんは「部会の活動だけでなく、フットワークが軽いのでよく圃場に集まって生産者同士で情報交換をしています。」と話します。

部会員は部会で作成した独自の栽培基準や防除基準に基づいて栽培をおこなっています。収穫時にも定められた時間帯で収穫をおこない、余分な葉を切り、泥付きのまま収穫の当日にJA水郷つくば 大根洗浄選別施設へと届けます。「大根は収穫後の保存状態が悪いと黄ばんでしまうなど品質に大きく影響するため、日光になるべく当てないように気を付けています。」と山越さんは話します。

JA水郷つくば 大根洗浄選別施設は平成24年から稼働し、大根の洗浄・選別・梱包をおこなっています。令和2年には、より多くの大根を出荷するために施設が増設されました。
施設が稼働する以前は、洗浄・選別・梱包を各生産者がおこなっていましたが、場所の確保や作業の手間が生産者の負担となっていました。施設がその役割を担う事で、ほかの品目を栽培していた生産者や新規の生産者が参入しやすくなり、高齢化で減少傾向にあった部会員数が倍の数まで増加しました。さらに、施設のスタッフが収穫後から出荷までの作業を一元的におこなうため、規格や品質がより均一になり市場からも高い評価を得ています。

山越さんは今後の目標について、「自分の子供に『将来、農業をやってみたい』と言わせたいです。農業は大変な事も多いですが、苦労している姿だけじゃなく楽しんでいる姿も見せていきたいです。そのために、JA水郷つくば 大根生産部会でさらに一致団結して栽培に取り組み、安定した大きな産地を目指していきます。」と話してくれました。また、宮下さんからは「県外では『うしく河童大根』の知名度がまだ低いため、これからさらに産地を拡大させ、皆さんに知ってもらえるようにしたいです。」と話してくれました。

山越さんは「生でサラダがおいしいです。また、煮崩れしにくく味が染みやすいので、煮物やおでんにもおすすめです。」とおすすめの調理方法を教えてくれました。また、「旬の時期には手ごろな価格で出回りますので、おいしい『うしく河童大根』をいっぱい食べてください。」と話してくれました。JA水郷つくば 大根生産部会のうしく河童大根はJA水郷つくば 下根直売所のほか、関東と沖縄のさまざまな量販店などでお買い求めできます。「河童のキューちゃん」を目印に、風味と食感が良い河童大根を是非ご賞味ください。