手しおにかける

2021年度「NEW農チャレンジ事業」最終報告会を開催しました【入善高校】

2022年02月04日

今回は1月21日(金)、入善町民会館コスモホールで開催された
「NEW農チャレンジ事業」最終報告会の様子をお伝えします。

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最終報告会は、入善ジャンボ西瓜の省力化栽培に向けて取り組んできた
入善ジャンボ西瓜研究班の生徒たちが
3年間にわたる研究成果を農業科の生徒や生産者、地域の方々に報告しました。

開会式では、入善高校の川原校長先生より
「生徒の皆さんは研究を通して自分の頭で考え、わかったことを文字にまとめ、
今から聴衆の皆さんに伝えようとしています。
この『考える・書く・伝える』は、とても大事な能力です。
今日は失敗を恐れず、伝えたいという気持ちを込めて発表してみてください。」
と挨拶がありました。


いよいよ、生徒たちの出番!
入善ジャンボ西瓜研究班は7月に開催された日本学校農業クラブ富山県大会で
県代表に選ばれ、8月の北信越大会に出場しました。
今回は北信越大会での発表を披露してくれました。

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生徒たちの発表を一部抜粋してご紹介します。

【はじめに】
2019年1月、入善町から「町の新しい特産品の発掘や研究をしてほしい」と相談がありました。
町と協議を重ねた結果、新しいものよりも現在既存している特産品について研究を進めることになり、
県内でも知名度の高い入善ジャンボ西瓜の研究を進めることにしました。

【研究の目的】
入善ジャンボ西瓜について、何を研究すればよいのか生産者の意見を参考に3つの目的を設定しました。
①肥料削減および接ぎ木栽培導入による生産性の向上
②非破壊糖度測定器導入による出荷数の向上
③ブランド力のさらなる向上

【研究内容・結果・考察】
①肥料削減および接ぎ木栽培導入による生産性の向上
<令和3年度の調査結果>
・2年間の研究結果をもとに令和3年度の試験区は
 ①慣行区
 ②基肥・追肥2割削減区
 ③基肥5割削減・追肥慣行区
 ④接ぎ木区(基肥・追肥は2割削減)とした。
・基肥5割削減・追肥慣行区が大きさ、重量ともに良い結果となった。
・接ぎ木栽培については糖度は高いものの、空洞果が多く、
 皮の肥大速度と中身の成熟するバランスが悪かったのではと考えられ、
 着果の位置や肥料の量を見直す必要があると考えられる。

<3年間の調査結果>
・基肥・追肥を2割程度削減しても大きさ、糖度には影響がないと考えられる。
・接ぎ木区では2年間連作したものの、つる割れ等の病気は発生しなかった。
・大きさ、重量は通常より大きいものができると考えられるが、
 空洞果が多いため、施肥量の見直しと着果位置を上位節にすることで
 皮の肥大と成熟度合いを調整することが必要だと考えられる。

<肥料の経費削減効果>
・2割削減区では約25,000円、5割削減区では約60,000円の削減に
 なることがわかった。

②非破壊糖度測定器導入による出荷数の向上
・非破壊糖度測定器でジャンボ西瓜の糖度を測定するには
 大量のサンプルを調査することで検量線を作成しなくてはならない。
・生産農家に約60玉のサンプルを提供していただき、収集した糖度のデータをもとに
 全国で初めてジャンボ西瓜の検量線を作成。
・実際の糖度と照射のデータを分析していただいた結果、
 糖度の誤差は1度以内で測定できると判断された。
・この結果、収穫期を迎える前に圃場で糖度の目安がわかるため、試し割りをせずに
 収穫適宜の判断ができることを実証できた。

③ブランド力のさらなる向上
<県立美術館内レストラン「ビビビとジュルリ」とイベントを共同企画>
・「入善ジャンボ西瓜DAY」と題して、小学生とその家族を対象とした企画を実施。
・当日は研究実績を紹介したあとに、自分たちで考えた入善ジャンボ西瓜に関する
 クイズ大会や糖度当て、重量当てをして楽しみながら入善ジャンボ西瓜について
 知ってもらうことができた。

<入善高校公式Instagramを開設>
・若い世代にも入善ジャンボ西瓜を知ってもらえるよう自分たちの活動状況を発信。

【まとめ】
<本研究の成果>
①肥料削減および接ぎ木栽培導入による生産性の向上を実証することができた。
②非破壊糖度測定器を入善ジャンボ西瓜で実用化することができた。
③様々な活動を通してブランド力のさらなる向上に寄与することができた。

私たちが取り組む「NEW農チャレンジ」は
入善ジャンボ西瓜生産者の利益向上、労力の軽減、
さらに、入善ジャンボ西瓜を全国の方々に知ってもらい、食べていただけるよう
これからも継続研究していきたいと思います。

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3年間の研究の集大成としてふさわしい堂々とした発表でした。


発表後、入善町ジャンボ西瓜生産組合の高見組合長や入善町の笹島町長より
「生徒の皆さんが町の特産品を大事にしてくれていること、
研究に真摯に取り組んでくれていることを生産組合の一人として嬉しく思います。
これからも研究をお願いします。」

「先輩方から研究を受け継ぎながら素晴らしい成果を出してくれました。
入善町の貴重な特産品ですので、これからも研究を続けてほしいと思います。」
と激励の言葉をいただきました。


発表を終えた生徒たちにお話を伺いました。
「毎朝のわき芽とりが一番大変でしたが、それ以上に収穫できたときは嬉しかったです」
「北信越大会に出場できたことはとてもいい経験になりました」
「このメンバーで協力しながらいい結果を出せてよかったです」
と2年間を振り返り、充実した表情で話してくれた3年生。

2年生は
「先輩方から教えていただいたことを受け継いで、これからも研究を頑張りたいです」
「もっとジャンボ西瓜を知ってもらい、食べてもらえるよう交流の機会を増やしたいです」
とすでに次を見据えていました。頼もしいですね。


最終報告会の最後には、来年度から入善ジャンボ西瓜に加え、
新たに、チューリップの研究に取り組むことが発表されました。

生産者の意見から課題を見つけ、その解決策を生徒たちが研究することは
町の農業や伝統ある特産品の入善ジャンボ西瓜、チューリップを盛り上げる大きな力となっています。

これからも、さらなる研究の発展に向けて取り組んでほしいと思います。

生徒の皆さん、お疲れ様でした!