手しおにかける

~日本学校農業クラブ富山県大会 プロジェクト発表会で研究成果を発表!【中央農業高校】~

2024年08月08日


和牛の繁殖から肥育までを一貫して実習する県内唯一の農業高校である「富山県立中央農業高校」。

JA全農とやまでは、昨年に同校へ繁殖用和牛素牛を寄贈したほか、県内肉牛生産者と連携した生産技術講習を実施するなど、同校生徒のスキルアップや畜産農家の後継者育成を図ることを目的とした取り組みをおこなっています。

今回は、7月25日(木)に、富山県立南砺福野高等学校で開催された「日本学校農業クラブ富山県大会」で、生徒たちが奮闘する様子をお伝えします。

「農業クラブ」は、農業科に属するすべての生徒が加入しており、校内大会を勝ち抜くと県大会、北信越大会、最終的には全国大会への道が開けます。

生徒たちは、プロジェクト発表会の「分野I類 農業生産・農業経営」に出場し、『JGAP認証のその先』について発表しました。

▲発表会頑張るぞー!!!

発表を一部抜粋してご紹介します!


◎研究目的
昨年11月、同校は北陸初の畜産JGAP認証農場となりました。JGAPとは、食品安全や労働安全、環境保全などに取り組む農場であることを示すものであり、JGAP認証農場であることはSDGsに取り組んでいる農場であることの証明になります。しかし、アンケート調査で県民のGAPに対する認知度が低いことが分かり、JGAP認証農場であることを消費者の購買条件に繋げようとGAPアンバサダー活動を計画し、認知度向上を目指すことにしました。
また、GAP認証を継続するために飼養管理の見直しをおこなった結果、同校の繁殖牛の繁殖成績が芳しくない状況にあることが分かりました。そのため、繁殖牛群の平均空胎期間を短縮し、将来的には1年1産を実現するための飼料設計や飼育方法の改善を実施しました。

北陸の畜産農場初の快挙!!富山県立中央農業高校牛舎が畜産JGAP認証を取得!
北陸の畜産農場初の快挙!!富山県立中央農業高校牛舎が畜産JGAP認証を取得! | トピックス一覧 | JA全農とやま (zennoh.or.jp)

◎研究内容
GAP認知度向上に向けた取り組み:
県内に同校圃場以外のJGAP認証農場を増やすことが重要であると考え、富山県東部家畜保健衛生所、富山県西部家畜保健衛生所、富山県農林水産部広域普及指導センターなどに相談し、県内の畜産農家を対象としたGAPアンバサダー活動を実施しました。また、地元のスーパーやデパートでJGAP認証農場のシールを張り付けた中央農業高校産の和牛肉の対面販売にあわせて、JGAPのチラシを配布することで消費者へのアンバサダー活動を実施でき、その様子はテレビや新聞に取り上げられました。

▲県内でおこなったGAP認知度アンケートの結果 ▲JGAP認証農場シールを貼り付けたお肉の販売

空胎期間の短縮:
空胎期間を短縮するため、JA全農とやまに協力を依頼・相談し、和牛繁殖を営む上野様とバーンミーティングを実施しました。配合飼料にはエネルギーとカルシウムがバランス良く含まれているため、発情回帰と胎児の成長が期待できることから、上野様からのアドバイスをもとに飼料設計を見直し、サイレージのみだった給餌体制をサイレージに加えて配合飼料を給与することにしました。また、以前までは分娩後約3か月の親付けを行っていたことで必然的に空胎期間が90日を超えていたため、分娩後2か月で離乳できる体制づくりをしています。また、分娩後の発情発見率向上のため、新たに作成した繁殖台帳を活用することで的確なタイミングで人工授精がおこなえるようにしました。

▲県内肉牛生産者の上野さんとのバーンミーティング ▲繁殖牛の飼料設計の見直し

◎研究成果・今後の課題
地道なアンバサダー活動が実を結び、小矢部市にある稲葉山牧場からJGAP認証のための構築支援会議のオファーを受けました。今後は同牧場が北陸でのJGAP(畜産)認証農場第2号となるように支援会議の実施や資料を共有し、認証までのサポートをおこなっていきます。また、中学校への出前授業を実施し、GAPの普及と農業のイメージ改変をします。
飼料を見直した結果、繁殖牛群の半数以上で発情兆候が見られるようになりました。今後は空胎期間を短縮するために、適切な飼養管理と発情兆候の確認を徹底しておこない、早期離乳の実現と繁殖サイクルの効率化を目指していきます。

発表後、生徒に感想を聞いたところ、
「練習の成果を100%出すことができた。無事、発表が終わりホッとした」とのこと。

いよいよ成績発表…
生徒と先生がドキドキしながら結果を待ちます。

結果は…
プロジェクト発表会の「分野I類 農業生産・農業経営」で最優秀賞!!!

▲表彰式の様子

昨年9月から取り組んできたことの発表。
とても熱意がこもっていて、たくさんの時間と労力をかけて発表会に臨んだことが伝わりました。スライドの文字の大きさ、図や写真の使い方が工夫されていて、大変見やすく、見る人の立場に立った内容でした。「相手に分かりやすく伝える」ための資料や発表原稿作成など、大変なことも多かったのではないかと思います。

生徒の皆さん、先生方、お疲れ様でした!
そして!最優秀賞、おめでとうございます!!!


▲最優秀賞取ったぞー!