手しおにかける

令和7年度「NEW農チャレンジ研究報告会」で研究成果を発表!~富富富班~【入善高校2025Vol.11】

2026年03月03日

 JA全農とやまでは、富山県内の頑張る農業高校生の姿をブログにて紹介しています。
1月下旬に入善町民会館コスモホールで開催された、令和7年度「NEW農チャレンジ研究報告会」で生徒たちが頑張る様子をお伝えします!

 この報告会では、富山県立入善高等学校農業科の「入善ジャンボ西瓜班」、「チューリップ班」「富富富班」の生徒が、これまでの研究成果を生産者や地域の方々に報告しました。

 この1年間、密着してきた生徒たちの栽培・研究に関する発表内容をご紹介します!
これまで入善ジャンボ西瓜班とチューリップ班の発表内容を紹介してきました。

令和7年度「NEW農チャレンジ研究報告会」で研究成果を発表!~入善ジャンボ西瓜班~【入善高校2025Vol.9】 | 手しおにかける(とやまの農業をレポートするブログ) | JA全農とやま
令和7年度「NEW農チャレンジ研究報告会」で研究成果を発表!~チューリップ班~【入善高校2025Vol.10】 | 手しおにかける(とやまの農業をレポートするブログ) | JA全農とやま


 今回は最終回!富富富班の発表をご紹介!

 今年、富富富班が取り組む研究テーマは、「密苗と普通苗の生育の違いについて」です。

 密苗とは通常100150gで播くところを、乾籾250300gで播くことで大幅な省力化・低コスト化・労力軽減などの実現が期待される技術です。生徒たちは密苗では普通苗より苗を田植機に補充する回数が減るため、生育状況に影響を及ぼさず、作業時間のみを削減することができるのではないかと仮説を立てました。

▲発表の様子

 生徒たちは4月に播種をおこない、普通苗約320枚とJAから取り寄せた密苗を準備し、5月に自動操舵機能が備わった新型の田植え機を使用し、普通苗と密苗で合計約370枚の田植えをおこないました。

 6月には溝きりを行い、定期的に草丈を計測して生育調査をしながらお米を育てました。
溝きりとは、田んぼに10~15cmほどの溝を掘り、排水・中干しがスムーズにおこなれるようにする作業で、土中の有害ガスを抜くことにもつながる重要な水管理作業のひとつです。
作業には溝きり機を使用しますが、夏場の作業で足場も悪いことから、かなり辛い作業だったようです。

▲お米づくりの過程を紹介する生徒たち

 その後、9月にはヒエやクサネムといった除草作業をおこない、収穫期を迎えて今年度も立派に富富富を育てることができました。

▲立派に育てあげた富富富の穂

 今回の研究テーマであった普通苗と密苗の生育状況を比較したところ、令和6年度には普通苗と密苗の生育状況に差はほとんど見られませんでしたが、今年度は収穫直前の時期になって普通苗より密苗が20cmほど短くなるという結果になりました。
これらの要因として、春の気温が例年よりも低く、稲の生育速度が遅かったために完全に水に浸かる期間が長くなったことや、夏休み中に十分な生育調査がおこなえなかったこと、生育調査方法が均一でなかったことで十分な計測が行えず適格な平均値を割り出すことができなかったことが挙げられました。

 また、収量を計算したところ、1号田では437.8g/㎡、2号田では517.6g/㎡という結果になり、JAみな穂の定める目標値540g/㎡に達することはできませんでした。
※精籾数の計算式
 1㎡の精籾数=1㎡の穂数×1穂の籾数×登熟歩合×精籾の1粒重

 それぞれの田んぼの広さも加味すると、1号田(36.1ha)では約1.6t、2号田(39.02ha)では約2tのお米が育てられたと考えられます。

▲計算式を基に理論収量を割り出しました

 また、昨年度に引き続き富富富の知名度向上のため、お米甲子園で入賞することを目標に栽培に取り組んできました。お米甲子園は機械による測定と味見による審査で美味しいお米を決める国内最大級のお米コンクールで、入善高校は昨年度のお米甲子園で特別優秀賞を獲得しています。

 今年度は昨年度以上の結果を目指してと取り組んできましたが、残念ながら上位にノミネートすることはできませんでした。しかし、水分や脂肪酸、食味スコアといった評価項目では昨年の結果を上回るなど一定の成果を得ることができました。

▲昨年のお米との比較
※整粒値  ・・・一般的なお米と比べて色や形、粒の大きさを評価したもの。
         値が高いほど高評価。
※水分   ・・・14~15%が適切とされている。 
          一方で消費者からの評価では14%より低い方が美味しいという感想が
         多い。
※アミロース・・・値が高いほどパサつきを感じる触感になり、低いほどもっちりとした触感を
         表す。19%程度が適切とされる。
※脂肪酸  ・・・酸化の度合いを示す数値。低いほど新鮮なお米と評価される。

 今年度のお米甲子園で高評価を得られなかった原因として、今年度のお米栽培では春の寒さによる影響で苗が浸水し、生育不良を起こしたのではないかと分析しました。

 1年間、富富富栽培の様々な場面を取材させていただきましたが、富富富班の皆さんの「お米甲子園で入賞する!」という大きく明確な目標をもって熱心に取り組む姿がとても印象的でした。気候条件などにより、今年度は悔しい結果となってしまいましたが、この結果から新たな気づきを得て、来年度以降の後輩たちへ熱意や技術が受け継がれることを期待しています。

▲発表会の様子

 今回のNew農チャレンジ報告会の最後には、入善高校の岡田教頭先生から全体への講評があり、「皆さんの研究が何につながるのか、目標や夢がとても良く伝わってくる発表でした。『地元の農業の力になりたい』『そのために高校生の自分たちには何ができるか』を考え、挑戦したいという熱い気持ちが伝わってきました。地域の要望や素朴な疑問を研究テーマに変えて、熱心に取り組んで農業の夢や可能性につながる道筋を見ることができ、とても良い研究・発表だったと思います。」と生徒たちの頑張りを評価しました。

 この1年間、入善高校農業科に密着する中で生徒たちの課題発見力や発想力に驚かされることが多くありました。生徒たちの地元農業や特産品への思いや挑戦の精神は今回発表を聞いていた2年生の後輩たちへ受け継がれていきます。
入善高校農業科の皆さんが、来年度どんな挑戦をするのか、とても楽しみです!

 生徒の皆さん、先生、関係者の皆さん、本当にお疲れ様でした!