麦類農産事業

豆腐や味噌になる大豆、麺に加工される麦、いも類からとれるでんぷん――。全農は、こうした日本の食生活に欠かせない食品の原料を集荷、販売しています。

豆腐や味噌になる大豆、麺に加工される麦、いも類からとれるでんぷん――。全農は、こうした日本の食生活に欠かせない食品の原料を集荷、販売しています。

麦、大豆、でんぷん... 日常に欠かせない産品を安定してお届け

麦類農産事業では全国的に作られている麦、大豆の集荷・販売をはじめ、北海道や九州を中心に地域的に重要な作物となっているでんぷん、乾椎茸等の地域特産品目を取り扱っています。

事業紹介

大豆事業

日本の大豆の年間需要量は約300万トンで、うち、搾油用が約200万トン、食品用が約100万トンを占めています。国産の大豆は風味や品質の良さが評価され、主に食品向けに使用されています。海外からの大豆の輸入が自由化されており、国産のシェアは低いのが現状ですが、近年、納豆や豆腐、豆乳などの原料として安全・安心な食品を求める消費者のみなさまの声を背景に、国産大豆の需要は高まっています。
北海道や東北、北陸、九州北部などでの生産が多いですが、消費量が減少している米の代わりに水田で生産する作物として、全国各地でさまざまな品種が作られています。こうした国産大豆の需要の拡大、安定した供給に向け、全農は産地からの集荷や、食品加工メーカーなど実需者、問屋への販売に取り組んでいます。
また、国産大豆を求める消費者のみなさまの声に応えるため、産地と連携して収量の多い品種の導入など安定生産の取り組みを進めている他、大豆ミートなど需要が伸びている製品について、原料を輸入大豆から国産大豆に切り替える取り組みにも力を入れています。

全農が取り扱う大豆の主な流通経路

麦類事業

小麦は、パンや麺、菓子や醤油といった多くの用途に使用され、主食である米に次ぐ消費量となっています。大麦、はだか麦も、麦ご飯に使用される押麦や味噌、麦茶や焼酎といった様々な用途に使用されています。近年は、国産志向の高まりや学校給食をはじめとした地産地消の取り組みが進み、国産麦を使った商品が増えています。
全農は国産麦をお求めになる消費者のみなさま、麦類の生産者のみなさまのために、安定した生産や需要の拡大に向けた取り組みを進めています。市場の動向を見極め、求められる作物を供給するという「マーケットイン」の考え方にもとづき、実需者(製粉会社・精麦会社・ビール会社等)のとのコミュニケーションや、実需者の要望の産地へのフィードバック、産地での集荷、実需者への販売推進等に取り組んでいます。

国産麦(民間流通麦・ビール大麦)の流通イメージ

でん粉事業

全農では北海道産のジャガイモを原料とする「馬鈴しょでん粉」、鹿児島県産および宮崎県産サツマイモを原料とする「甘しょでん粉」を全国に販売しています。でん粉の使用用途は食品向けを中心に多岐にわたっており、多くの食品メーカーが原料として使用しています。生産地と実需者の交流会などを実施し、安定した需要を確保するとともに、生産振興にも取り組んでいます。

全農のでん粉事業の拠点

国産でん粉の流通経路

乾椎茸事業

原木で育てた椎茸を乾燥させて、うまみや栄養価を凝縮させた乾椎茸。全農は椎茸事業所が中心となって、乾椎茸の集荷販売、生産者へのきのこ菌種の供給、品評会の開催など生産振興、販売PRに取り組んでいます。

椎茸種菌・乾椎茸の生産・流通の流れ

乾椎茸入札会日程表 [PDF:2.2MB] 全農乾椎茸規格表 [PDF:670kB]

全農が扱う椎茸の種菌など

種菌の販売

椎茸種菌の販売
業務提携先の(一財)日本きのこセンターが推奨し、菌興椎茸協同組合が製造する「菌興菌」を全国のJAグループを通じて販売しています。

品評会で農林水産大臣賞を受けた乾椎茸

椎茸品評会の開催

全農では生産者の方々が技術を高め合う場として、毎年、椎茸の品評会を開いています。品評会では、全国各地の生産者・団体から出品された乾椎茸を評価、表彰。品評会後には出品された椎茸の入札会も開き、贈答用や海外への輸出用として、高値で取り引きされます。

消費拡大へPR展開

原木乾椎茸の消費拡大に向けて、全農椎茸事業所や椎茸の専門農協などでつくる「日本産・原木乾しいたけをすすめる会」でPR活動を展開しています。活動のひとつが、国産原木乾椎茸のシンボルマークの策定。店頭に並ぶ椎茸の小袋に貼られ、消費者が国産の乾椎茸を安心して購入できるようにしています。また、七夕の「星」と乾椎茸の「乾し」をかけて7月7日を「乾しいたけの日」と制定し、各地でPRイベントを開催しています。

概況・データ

国内の食用大豆の需要量と自給率の推移

食用大豆の需要量は近年増加傾向です。背景には、大豆の持つ機能性成分や植物性タンパクが注目され、納豆、豆乳、および新たな需要として大豆ミートなどの消費量が伸びていることなどがあります。

出典:農林水産省公表資料より

全農の国産大豆の生産動向

国産大豆を求める消費者のみなさまの声に応えるため、全農は生産者の支援を行いながら大豆の集荷量を着実に増やし、安定供給することを目指しています。

全農の国産大豆の面積・集荷量の推移

国産麦の生産動向

米の消費量が減少を背景に、水田では米に代わる作物の生産が必要となっており、麦類や大豆が各地で生産されています。米や大豆は、春から秋にかけて生産しますが、麦は冬から夏にかけて生産する作物で、水田を有効活用できる作物です。国内の麦類(小麦、大麦、はだか麦)の生産量は、天候によって増減はしますが、作付面積はほぼ横ばいです。

農林水産省の公表資料から作成

国産でん粉の用途別需要

ジャガイモを原料とする「馬鈴しょでん粉」、サツマイモを原料とする「甘しょでん粉」ともさまざまな用途に使われています。

取り組み

農研機構と連携した麦・大豆の新品種の育成

国産の麦や大豆を求める実需者の声が高まっていますが、より生産量が安定し、実需者のニーズに沿った品質を持つ品種の開発が必要となります。
小麦は用途ごとに求められる品質が異なりますが、汎用性が高く、広域で生産できる新品種が求められています。また、大豆は、年次による生産量の変動が大きく、海外品種に比べ単収も低いため、安定した収量が確保できる極多収系統の品種化が喫緊の課題となっています。
このため、全農は、農研機構と連携し、実需者が望む麦の品種開発や農研機構が育種した極多収系統大豆の実需者評価のフィードバックなどを通じ、将来的に有望な新品種の普及を目指しています。

日清製粉グループ本社との資本業務提携を通じた国内産小麦の安定生産、需要拡大に向けた取り組み

 全農は、国産志向の高まりや水田の有効活用の観点から国産麦の生産拡大に取組んでいます。
そうした中、国産小麦の約3割を購入する日清製粉株式会社を傘下にもつ株式会社日清製粉グループ本社と2020年11月に業務提携契約を締結し、国産小麦の安定生産、需要拡大に向けた取り組みを強化しました。
今後、業務提携を契機に、日清製粉グループ本社との連携を深めることで、国産小麦以外の国産農畜産物の需要拡大にも取り組んでいきます。

DAIZ(ダイズ)社との業務提携

 世界的にも注目を集めるプラントベースフード(PBF)は、国内でも需要拡大が期待されます。
全農はPBFのメーカーであり大豆を発芽させる独自技術を有するDAIZ株式会社と業務提携し、同社の大豆の発芽技術と国産大豆を組み合わせたPBF商品の開発に取り組み、国産大豆の生産振興を進めてまいります。
また、商品開発にあたっては、全農が国産大豆の原料供給を行い、PBF 100%商品の他、国産食肉とPBFを組み合わせ、美味しさを追求した商品を目指し、JAグループの食品製造インフラを活用した惣菜等を開発することで、持続可能な国内農畜産業の確立にむけても取り組んでまいります。