農作物の栽培から流通までのさまざまな場面で利用する園芸資材、包装資材を調達し、安定供給しています。
栽培から流通に必要な資材の供給を担います
栽培から集出荷までに必要な各種資材を取り扱う資材事業は、園芸資材と包装資材に区分されます。
園芸資材はパイプハウスやマルチ、育苗箱など、生産者が作物の栽培で用いる資材を指します。微生物により分解される生分解性マルチの普及推進など、低コスト・省力化・環境に配慮した取り組みも進めています。
包装資材とは、段ボール箱やトレー、フレキシブルコンテナなど農産物を生産地から消費地まで届けるための資材です。また、段ボール箱の原料となる段ボール原紙の取り扱いも行っています。
農家が生産した農産物を消費地に届けるのに必要な様々な包装資材を取扱っています。
具体的には次の品目です。
青果物用包装資材 | 段ボール箱、プラスチック容器、クラフト袋、パック、フィルム、トレー等 |
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米麦用包装資材 | 米麦用クラフト紙袋、樹脂袋等 |
物流合理化資材 | フレキシブルコンテナ、シートパレット等 |
上記資材の原料 | 段ボール原紙、クラフト紙、重袋用樹脂等 |
各地のJAを通じて包装資材の注文をとりまとめ、注文量を大きくしてバイイングパワーを高めることで、有利な価格で資材メーカーから仕入れ、生産者に供給しています。
過剰な包装をさけ、できるだけコスト低減がおこなえるような適正包装をすすめています。段ボール箱の茶色箱化や低コスト段ボール原紙の利用など、コストが低い資材の開発・普及を促進しています。
全農が取り扱う段ボール、米麦用紙袋などについて独自に基準を定め、品質管理を行っています。また、食品を包装する資材では、使用原料の安全性の確認もおこなっています。
園芸資材は、園芸用栽培ハウスを中心とした鋼材・被覆資材・関連装置資材と育苗施設・関連資材です。
具体的には次の品目です。
被覆資材 | 農ビフィルム、農POフィルム、農ポリ・マルチ、生分解性マルチ等 |
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園芸施設 | パイプハウス、鉄骨プラスチックハウス、ガラス温室、暖房機等 |
園芸用資材 | 育苗ポット、育苗箱、ネット類、シート類、支柱類、マット類、潅水資材等 |
農業用ポリオレフィンフィルム。塩化ビニールと異なり、塩素を含まない炭素と水素からなる重合体を原料としています。
施設園芸生産者が安心して施設栽培を継続できることを目的として、全農が供給するパイプハウスについて、引き渡し後3年間の補償を行うサービスです。
微生物により分解される生分解性プラスチックや紙を原料としたマルチで、使用後は畑にすき込むことにより使用済プラスチックを排出させないとともに、フィルムを回収・廃棄する労力を省けます。
全農は業界、関係機関と連携し、使用済プラスチックの適正な回収、再生の促進、排出量抑制の推進に取り組んでいます。農ビは建材などのマテリアルリサイクルに、農PO・農ポリはセメント工場などの助燃剤等としてサーマルリサイクルへ再利用する方法をすすめています。
施主がハウスを建設する際に農協連が施主の立場で支援する。農協連が施主の委任を受け、導入指導から設計・施工管理、さらに完成後のアフターサービスまで対応する「施主代行方式」によって組織が一体となって優れた施設の建設をすすめている。
軽量・高強度で長期間展張できる農POフィルムの取扱を広げています。
各地のJAの営農指導部署、行政、普及センター等と連携して、生分解性マルチをはじめとした環境に配慮した資材の普及促進と、使用済プラスチックの適正処理を推進しています。
近年の青果物生産は、農家の高齢化と人手不足、輸入農産物の増加などにより減少傾向で、段ボール箱の取扱数量もそれを反映したものになっています。
全農段ボール箱取扱実績
系統パイプハウス補償制度の契約金額と件数
近年、国内外でプラスチック資源循環のあり方に注目が集まっています。農業分野では農業用ハウスやトンネルの被覆資材、マルチなどが使用済プラスチック(廃プラ)として挙げられ、全農では業界、関係機関と連携し、廃プラの適正な回収、再生の促進、排出量抑制の推進に取り組んでいます。
全農が海外から原料を輸入している系統銘柄「きえ太郎Z」をメインに、生分解性マルチを取り扱っています。生分解性マルチは、使用後に圃場に鋤き込むことで自然に分解していくため廃プラを排出せず、大規模経営においては農産物収穫後のマルチ回収作業にかかる労力低減にも貢献しています。
エダマメでの展張風景
サトイモでの展張風景
うぃずOne設置例
「うぃずOne」は、発泡スチロール箱の栽培槽と潅水装置等をパッケージした持ち運びも簡単な養液栽培システムで、全農が開発しました。たとえば、稲の苗を育てるためのビニールハウスは、稲を田んぼに植えるために持ち出した後は、何にも使われてないケースがあります。そうしたビニールハウスの中にうぃずOneを並べれば、トマト栽培を行うなどが可能です。こうした取り組みを広げ、生産者の所得の向上に貢献しています。2013年度の導入開始後、稲作が盛んな東北地方を中心に利用が増加しており2019年1月末現在で163件、約11haで栽培されています。
地域や農作物の違いによって、さまざまな規格が存在する段ボール箱ですが、全農はその規格の集約をすすめています。一つの規格に注文と生産を集中させて、コストを抑えるためです。
タマネギ・サトイモ・ピーマンの3品目を詰める段ボール箱では、全国標準規格への集約をすすめています。2019年1月末で約83万ケースを切り替え、規格の数を14%減らしました。2018年度からはニンジン・ジャガイモの段ボール箱でも同様の取り組みを始めています。
集約する規格は、段ボール箱を一度にいくつも載せて運ぶことができるパレットと呼ばれる台のサイズを意識したものにしています。段ボール箱を個々に運ぶのではなく、パレットに積み上げて、フォークリフトで一気に運ぶなど、輸送コストの低減をすすめるためです。
パレットサイズに合致した標準規格段ボール箱