耕種総合対策

目指すは生産者の手取り最大化。営農関連技術の実証・普及、新たな栽培技術や品種開発など、農業現場の抱える課題の解決に取り組みます。

目指すは生産者の手取り最大化。営農関連技術の実証・普及、新たな栽培技術や品種開発など、農業現場の抱える課題の解決に取り組みます。

営農技術で生産者を総合的にバックアップ

耕種総合対策は、いわば「生産から販売まで一貫した事業のコーディネーター」としての役割を担っています。生産者の手取りを最大化するため、産地に対して新しい品種や生産技術の提案をはじめ、農業経営に関わるさまざまな面でのコスト削減「トータル生産コスト低減」に向けた実証・普及を、各地域のJAと一体となって取り組んでいます。また、生産者のもとに出向く担当職員・TACの活動によって、生産者のさまざまな意見や要望をJAグループの事業に反映させ、地域農業の発展を支援しています。

事業紹介

トータル生産コストの低減

「トータル生産コスト低減」とは、たとえば、肥料や農薬といった生産資材の価格を下げるということだけではありません。それ以外にも、作業時間を減らしたり、作物の収穫量を増やしたりと、さまざまな面で、コスト低減につながる取り組みを行い、農業経営トータルでコストを低減し、農業者の所得向上を目指す考え方です。
全農では2016~2018年度の3年間、この取り組みに賛同した55JAをモデルJAと位置づけ、取り組みを本格化させました。 2019年度以降は各モデルJAで積み重ねた成果を、全国へと水平展開させる段階に移っています。
大玉で収量も多いイチゴ品種への転換、ICT技術を取り入れた農作業の効率化、水田地帯での園芸品目の導入など、産地の要望を踏まえたさまざまな取り組みを展開しています。

トータル生産コスト低減の事例

多圃場(500筆超)管理での水稲・大豆を主とした経営拡大と園芸作物導入(新潟)

ICT活用による圃場管理の見える化

「経験」主体の農業から、500筆超の圃場管理データを見える化し、経営拡大を見据えた社員同士の情報共有とノウハウの承継をすすめ、圃場管理の一元化をはかっています。

水稲・大豆の収量向上

圃場別収量調査の結果から、主力作物の水稲・大豆で低収圃場を特定し、土作りや施肥改善、排水対策等を講じ、収量向上をはかっています。

  • 水稲:2017年522kg/10a→2018年545kg/10a(BMようりん施用圃場)
  • 大豆:2016年185kg/10a→2018年226kg/10a(牛糞堆肥+石灰窒素施用圃場)

水田輪作体系の導入

作業省力化もすすめ、園芸作(タマネギ)を導入しました。FOEAS [PDF:306KB]の実証を機に、大豆-タマネギ-大豆-タマネギ-水稲-水稲の4年6作の輪作体系にチャレンジ。輪作による土地生産性向上をはかっています。

  • FOEAS:圃場内の地下水位制御システム。地下排水や地下灌漑をおこない、湿害や干ばつを回避する。作物の生育に適した土壌水分の調整ができるので、水田から畑、畑から水田への転換が可能。

営農に対する取り組み

営農情報の提供や各種営農技術とその成果の提案・普及、品種の育成・選定、JAグループ職員の技術力向上のための人づくり(講習会・研修会)に取り組んでいます。
TACの活動では、担い手農家を訪問し、意見や要望をうかがいJAグループの業務改善につなげたり、経営に役立つ情報をお届けしています。また、TACのレベルアップや活動の定着に向けた人材育成にも力を入れています。

営農情報の提供

アピネス/アグリインフォやグリーンレポートで営農情報を提供しています。
アピネス/アグリインフォは、生産者の営農やJAの営農指導をバックアップする会員制サービスです。最新の農薬登録情報・残留農薬基準値や営農技術・生産資材などの各種情報に加え、青果物市況情報や1kmメッシュ気象情報を提供しています。
グリーンレポートは本会が発行する月刊誌で、営農・技術情報、生産現場の取組みなどを掲載しています。

各種営農技術の普及

生産者が求める「生産性向上」「省力・低コスト化」など、手取り向上のための各種営農技術の普及をおこなっています。

新品種・新商品の研究・開発

全農トマトランドでは、国内外の種苗メーカーと連携してトマト約30品種を栽培し、実需者や消費者のニーズの視点から優良品種を選定しています。
優良品種については、本会園芸部やJA全農青果センター(株)と連携して取引先に商品提案を行い、産地での生産拡大をすすめています。

TAC(タック)の活動

TAC(Team for Agricultural Coordination)とは地域農業を担う「担い手農家」を訪問し、担い手農家の意見や要望をJAグループの事業に反映させ、地域農業の発展を支援していく活動です。全国で約1,800名のTACが7万7千戸の担い手を日々訪問しています。
TACの活動は、農業生産振興および担い手の経営改善に資する資材や技術提案、農産物の販路拡大といった取り組みから、労働力支援、事業承継支援等、地域農業の維持発展に向けた活動にまで拡大しています。
全農は日々奮闘するTACの活動を全力で支援していきます。

概況・データ

安全な農産物づくり

生産者に対しては、より一層安全な農産物づくりのために、また消費者に対しては、国産農産物への信頼をさらに高めていただくために、1990年から残留農薬検査に取り組み、安定した信頼と実績を積み重ねています。

残留農薬検査実績の推移

JAグループの「人づくり」

営農・技術センターにおいて、JAグループの職員を対象に、営農、肥料、農薬、資材、農機、施設、生活、燃料などに関する技術講習会を開催し、JAグループの「人づくり」をおこなっています。
また、2015年度からは、産地づくりのための人材育成プランにもとづくTV会議システムを活用した野菜栽培概論講習会など4つの栽培技術講習会を新設し、営農指導員・TACなどJAの産地づくりを実践している担当者を支援しています。

講習会受講者の推移

取り組み

労働力支援の取り組み

労働力人口の減少、農業就業者の高齢化・減少に伴う農業労働力の不足が大きな問題となっており、全農では労働力支援の取り組みをおこなっています。
全農では各県本部が地元の企業と連携した、キャベツの定植・選果等の作業を受託する取り組みや、農作業をしてみたい地域住民らと人手が足りない生産者とのマッチングによる労働力不足を解消する取り組み、新規就農者の育成等を進めています。大分、福岡、佐賀などをはじめとして、各地で取り組みの範囲が拡大しつつあります。
障がい者の方々に農業の現場で働いてもらう「農福連携」にも取り組み、多様な労働力支援を進めていきます。

労働力支援の概略(大分県本部の事例)

事業承継支援の取り組み

左:「事業継承ブック 親子版」(2017年1月発行)
右:「事業継承ブック 集落営農版」(2018年4月発行)

高齢化が進んでいる農業では、現在の経営者から次世代に経営をつなぐ「事業承継」が重要な課題です。
全農ではTACが担い手の事業承継を支援するツールとして、事業承継に関するノウハウをまとめた「事業承継ブック」を作成しています(2017年に親子版、2018年に集落営農版を発行)。全農ホームページで閲覧可能です。

スマート農業への対応

農業の生産規模の拡大に伴い、圃場管理や労働力確保等が課題となっています。全農は、省力化や作業、経営の「効率化」に役立つ革新的技術の導入に取り組んでいます。
2017年には、農薬散布などに用いる農業用ドローンの開発・販売を行う(株)ナイルワークスに出資。中山間地域等これまで農作業に多くの労力を必要とした地域での省力化と生産コスト低減を目指します。
2018年に運用を開始したクラウド型営農管理システム「Z-GIS」は、電子地図上で圃場ごとに品種や生産履歴、農作業等の情報を入力でき、地理情報と栽培データを一括管理できる画期的なシステムです。2019年4月には、JAグループ向け会員制営農情報サービス「アピネス/アグリインフォ」で利用している1kmメッシュ気象情報の一部をZ-GISでも利用できるようになりました。

GAPの取り組み

GAP(Good Agricultural Practice, 農業生産工程管理)とは、農業において、食品安全、環境保全、労働安全等の持続可能性を確保するための生産工程管理の取り組みです。2020年東京オリンピック・パラリンピックへの食料調達基準に第三者の認証によるGAP取得が要件化されたことを契機に、全国各地でGAPへの取り組みが活発化しています。
JAグループはGAPの取り組み方針を2017年5月に決定し、そのなかで第三者認証を必要とするGAPの団体認証取得を目指す産地に対しては、JA全中、JA全農、JA共済連、農林中央金庫で取り組む「JAグループGAP第三者認証取得支援事業」により、現地アドバイスを行い、GAP認証取得に向けて支援を実施しています。

「JAグループGAP第三者認証取得支援事業」によるGAP認証取得の事例

岩手県JAいわて平泉ブランド米部会がASIAGAP団体認証を取得(2018年10月)

青森県JA十和田おいらせ管内のゴボウ生産者4名がグローバルGAP団体認証を取得(2019年2月)