トップメッセージ

未来へ大切なものをつないでいくための挑戦

皆さま方には、日ごろ全農グループの事業につきまして多大なるご協力・ご支援を賜り、誠にありがとうございます。

「農家を元気に、地域を元気に。夢が持てる農業、次代にバトンが渡せる農業へ」
今、地方では過疎化が進み、地域社会の崩壊が懸念されています。日本の食料を守り、安全で安心な農畜産物を国民の皆さまに提供するのがJAグループの使命ですが、それを生産しているのは農家組合員であり、地域があっての農業です。地域に人がいなければ、その地域で育んできた景観、文化等を守っていくこともできません。地域を守ることが国土の保全にもつながります。JAグループ経済事業の全国連組織として、農家・農協の現場の声に応 え、連携して解決策をお示ししていく覚悟です。

全農は2022年度より「食と農を未来へつなぐ」をキャッチフレーズとした新たな中期計画をスタートさせました。いまだ終息の見えないコロナ禍や、国際的な紛争、資源・食料価格の上昇といった未曽有の情勢を踏まえ、2030年の目指す姿を「持続可能な農業と食の提供のために“なくてはならない全農” であり続ける」と定めました。そして、その実現に向けて次の6つの全体戦略を描いています。

1つ目は「生産振興」です。食料安全保障の重要性が増す中で、地域生産基盤の維持が必要です。労働力支援の全国展開や、消費者ニーズを踏まえた生産提案の強化、革新的な技術・商品の普及を行います。
2つ目は「食農バリューチェーンの構築」です。消費者ニーズの多様化に対応し、国産農畜産物の消費拡大を図るため、産地と消費地における物流・加工インフラの整備、グループ会社の総合力を発揮した総合営業の強化、多様な販売チャネルの構築に取り組みます。
3つ目は「海外事業展開」です。国産農畜産物の輸出拡大と輸入原料の安定的な確保のため、マーケットイン・アライアンス・積極的投資を基本戦略とする輸出体制の強化、海外原料の集荷網拡充とサプライチェーンの強化に加え、新たな事業機会の創出にも挑戦します。
4つ目は「地域共生・地域活性化」です。地域のくらしや自然を守り、地域経済の活性化を支援するため、生協等との連携強化による地域住民へのサービス向上や、中山間地域の生活・エネルギーインフラの維持に取り組みます。
5つ目は「環境問題など社会的課題への対応」です。SDGsや「みどりの食料システム戦略」を踏まえ、耕畜連携やGAP活動への支援などによる環境負荷低減や、太陽光発電などによる脱炭素化に貢献します。
6つ目は「JAグループ・全農グループの最適な事業体制の構築」です。事業をとりまく環境変化に対応するため、人材確保や組織再編、DX戦略の構築などに取り組みます。

この中期計画を進める中でも情勢は常に変化していきます。将来予測の困難な時代において、その時々の情勢を冷静に見極め、柔軟性をもって経営のかじ取りを行うとともに、全農グループ役職員一人一人が課題解決に正面から向き合い、すべての皆さまにとって「なくてはならない全農」を実現してまいります。

最後に、全農は今年創立50周年を迎えました。皆さまのおかげをもちまして、世界情勢が目まぐるしく変化したこの50年を、設立当時の使命である「国民への安定的な食料供給」「国際化への対応」「農家組合員の所得と生活の質的向上」のために挑戦し乗り越えることができました。そしてこれからの50年も変わらず挑戦を続けることで「食と農を未来へ つなぐ」を実現してまいります 。

今後とも全農グループの事業運営につきまして、ご理解とご協力を賜りますようよろしくお願いいたします。