トップメッセージ

未来へ大切なものをつないでいくための挑戦

皆さま方には、日ごろ全農グループの事業につきまして多大なるご協力・ご支援を賜り、誠にありがとうございます。

「国産を食べるよろこびをこれからも。」

国内の生産現場では、慢性的な労働力不足に加え、資源高や円安などにより生産資材の価格が高止まりするなど農家経営は厳しさを増しており、離農の加速が懸念されています。日本の食料を守り、安全で新鮮な国産農畜産物を国民の皆さまに提供するのがJAグループの使命です。国産農畜産物は、私たちの食生活に欠くことができません。この「当たり前」を次世代のあらゆる人々にもつないでいくため、全農では生産から加工、流通、消費までの「食農バリューチェーン」を環境問題などの社会課題にも配慮しながら事業をさらに発展させてまいります。

さて、全農にとって2023年度は中期事業計画の2年目にあたります。昨年度から、「持続可能な農業と食の提供のために“なくてはならない全農”であり続ける」を2030年の目指す姿と位置づけ、「食と農を未来へつなぐ」をキャッチフレーズとして、中期事業計画をスタートさせました。その実現のために、次の6つの全体戦略の達成に向けた事業戦略を着実に進めています。

1つ目は「生産振興」です。食料安全保障の重要性が増す中で、地域生産基盤の維持が必要です。労働力支援の全国展開や、消費者ニーズを踏まえた生産提案の強化、革新的な技術・商品の普及を行います。

2つ目は「食農バリューチェーンの構築」です。消費者ニーズの多様化に対応し、国産農畜産物の消費拡大をはかるため、産地と消費地における物流・加工インフラの整備、グループ会社の総合力を発揮した総合営業の強化、多様な販売チャネルの構築に取り組みます。また、生産コスト等を考慮した適正な価格形成への理解醸成の取り組みもすすめていきます。

3つ目は「海外事業展開」です。国産農畜産物の輸出拡大と輸入原料の安定的な確保のため、マーケットイン・アライアンス・積極的投資を基本戦略とする輸出体制の強化、海外原料の集荷網拡充とサプライチェーンの強化に加え、新たな事業機会の創出にも挑戦します。

4つ目は「地域共生・地域活性化」です。地域のくらしや自然を守り、地域経済の活性化を支援するため、生協等との連携強化による地域住民へのサービス向上や、中山間地域の生活・エネルギーインフラの維持に取り組みます。さらに、ITネットワークを活用した「スマートアグリコミュニティ」の実証にも取り組みます。

5つ目は「環境問題など社会的課題への対応」です。SDGsや「みどりの食料システム戦略」を踏まえ、耕畜連携やGAP活動への支援などによる環境負荷低減や、太陽光発電などによる脱炭素化に貢献します。

6つ目は「JAグループ・全農グループの最適な事業体制の構築」です。事業を取りまく環境変化に対応するため、人材確保や組織再編、DX戦略の構築などに取り組みます。

この中期事業計画を進める中でも情勢は常に変化していきます。将来予測の困難な時代において、時々の情勢を冷静に見極め、柔軟性をもって経営のかじ取りを行うとともに、グループの相乗効果を十二分に引き出し課題解決に正面から向き合い、全ての皆さまにとって「なくてはならない全農」を実現してまいります。

今後とも全農グループの事業運営につきまして、ご理解とご協力を賜りますようよろしくお願いします。