トップメッセージ

持続可能な農業と食の提供のために“なくてはならない全農” であり続ける

皆さま方には、日ごろ全農グループの事業につきまして多大なるご協力・ご支援を賜り、誠にありがとうございます。

はじめに、能登半島地震や秋田・山形の豪雨など、自然災害が相次いで発生しております。犠牲になられた皆さまに哀悼の意を表しますとともに、被災された皆さまに心よりお見舞い申し上げます。全農は被災者の皆さまに寄り添い、復旧・復興に向けた支援を行ってまいります。

現在、世界人口の増加や国際情勢の不安定さを背景に、原料や食料の調達競争が激しさを増しており、同時に、頻繁に発生する異常気象による農畜産物生産などへの影響が拡大しています。国内の生産現場では、慢性的な労働力不足に加え、依然として高水準の生産コストが農家経営を圧迫しており、離農の加速が懸念されています。日本の食料を守り、安全で新鮮な国産農畜産物を国民の皆さまに提供するのがJAグループの使命です。全農は生産から加工、流通、消費までの「食農バリューチェーン」をより強化し、環境問題などの社会課題にも配慮しながら事業をさらに発展させてまいります。

私たちは2030年の全農グループの目指す姿を「持続可能な農業と食の提供のために“なくてはならない全農” であり続ける」と定め、「食と農を未来へつなぐ」をキャッチフレーズとして、中期事業計画をスタートさせました。2024年度はこの中期事業計画の総仕上げの年となります。次の6つの全体戦略の達成に向け、具体策を着実に進めています。

1つ目は「生産振興」です。高止まりする生産コストの低減に資する肥料の取り扱い拡大、生産性向上に資するデジタル技術の普及を進めるとともに、全農の実証農場のノウハウを活かした農畜産物の生産支援、農業経営の安定化に資する畜舎賃貸事業の拡大、多収品種などの種子確保をはかります。

2つ目は「食農バリューチェーンの構築」です。2024年物流問題に対応するため、鉄道・船舶の活用や中継物流によるドライバーの輸送時間短縮、パレチゼーションの普及など、消費者への物流体制・インフラを整備するとともに、グループ会社と連携した総合営業体制をさらに強化し、国産農畜産物の価値を訴求した商品の販売を拡大していきます。また、生産コスト等を考慮した適正な価格形成への理解醸成の取り組みも進めていきます。

3つ目は「海外事業展開」です。国際情勢の緊迫度が増し、肥料や飼料原料の調達はますます重要になっています。海外原料サプライチェーン強化、中長期の視点に立った最適な海外事業体制の構築により、資材原料を安定的に調達します。また、海外実需者ニーズや輸入国の規制などに対応した輸出産地づくりを支援し、海外市場も視野に入れた日本産農畜産物の販売拡大をはかります。

4つ目は「地域共生・地域活性化」です。農業の生産基盤である地域のくらしを守り、魅力的で住みやすい地域社会を実現するため、農畜産物直売所を併設した店舗を通じた地産地消の推進、IT技術を活用した地域ネットワークづくりに取り組みます。

5つ目は「環境問題など社会的課題への対応」です。異常気象による農畜産物への被害が頻発する中、脱炭素化の推進など環境問題への対応が求められています。全農が策定した「グリーンメニュー」の実践、回収りんなどの国内肥料資源の活用、地域循環型農業に向けた取り組み強化などにより、持続可能な社会を目指します。

6つ目は「JAグループ・全農グループの最適な事業体制の構築」です。将来にわたってJAグループが果たすべき役割を担い続けるため、DX戦略の実践を通じた事業効率化などによるJAへの支援強化に取り組みます。

この中期計画を進める中でも情勢は常に変化していきます。将来予測の困難な時代において、時々の情勢を冷静に見極め、柔軟性をもって経営のかじ取りを行うとともに、グループの相乗効果を十二分に引き出し課題解決に正面から向き合い、全ての皆さまにとって「なくてはならない全農」を実現してまいります。

今後とも全農グループの事業運営につきまして、ご理解とご協力を賜りますようよろしくお願いします。

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