JA全農は、令和1肥料年度秋肥の単肥価格について以下の内容で決定しました。
決定内容
分 類 |
品 目 |
成 分 (%) |
前期比(%) (春肥対比) |
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単 肥 |
窒素質 |
尿素(輸入) |
46 |
▲1.7 |
尿素(国産) |
46 |
▲1.1 |
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硫安(粉) |
21 |
0.0 |
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石灰窒素 |
21 |
6.8 |
||
りん酸質 |
過石 |
17 |
0.0 |
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重焼りん |
35 |
▲0.3 |
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加里質 |
塩化加里 |
60 |
3.9 |
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けい酸加里 |
20 |
1.4 |
注.価格変動率は本会の県JA・経済連向け供給価格ベースであり、JA・農家向け供給価格の変動率とは一致しません。
適用開始:令和元年6月から(地域・作物により異なる場合があります)
令和1肥料年度秋肥の単肥価格は、窒素質のうち尿素・硫安、りん酸質である過石・重焼りんは据置ないし値下げ、加里質および石灰窒素は値上げで決定しました。主要単肥の価格変動は以下の表のとおりです。
肥料原料の国際市況は、窒素、りん酸は需給緩和により軟調に推移していますが、加里は好調な需要により上昇しています。国際市況は今後、いずれの原料も旺盛な需要が見込まれ、堅調に推移すると見られますが、直近の市況水準で見通しました。
製造諸経費については、運賃の大幅値上げや人手不足を背景とした労務費の値上がりに加えて、包装資材や電力料金なども値上がりしている状況にありますが、メーカーの合理化努力、コスト削減を求め、値上げ幅を圧縮しました。
今次価格交渉をめぐる情勢
(1)海外原料市況
尿素の国際市況は国際的な需給の引き締まりを反映し、上昇を続けていました。その後2018年11月にはブラジルが不需要期に入ったことや、インドの入札結果によって市況は軟化しています。
りん安の国際市況は、インドやブラジルなどの旺盛な需要により堅調に推移していました。その後、ブラジルが不需要期に入ったことや、中国国内における春肥需要が低調であることなどから国際市況は弱含んでいます。
加里の国際市況は、2018年10月以降高止まりで推移してきましたが、今後も、世界的な需要の増加が見込まれており、加里の国際市況は引き続き堅調に推移すると見られます。
海上運賃は、肥料を輸送する小型船の船腹供給が限られていることや、国際的に硫黄酸化物(SOx)の排出規制が強化され、脱硫設備の設置等船舶コストの上昇が見込まれることから、堅調に推移すると見られます。
(2)外国為替
外国為替相場は、好調な米国経済や長期金利の上昇などから、夏以降1ドル111円から115円で推移してきました。その後、米中貿易摩擦による中国をはじめとした世界景気の減速懸念から年明けにかけて一時円高となったものの、現在は109~112円で推移しています。
(3)国内物流費
国内物流は、深刻なドライバー・船員の不足や高齢化に加え、船舶修繕費等の上昇、オリンピック需要などを背景とした運賃改定の動きが拡大しています。トラック運賃の指標となる全日本トラック協会の成約運賃指数はこの2年間で約15%上昇しており、JR貨物も昨年10月から運賃を10%引き上げています。