JA全農は、令和2肥料年度春肥の単肥価格について以下の内容で決定しました。
1.決定内容
令和2肥料年度春肥の単肥価格は、塩化加里が7%を超える値下げ、尿素、硫安、石灰窒素、けい酸加里は0.1~1.9%の値下げ、りん酸質である過石・重焼りんは据置きで決定しました。主要単肥の価格変動は以下の表のとおりです。
肥料原料の国際市況は、りん安およびりん鉱石は4月以降横ばいで推移していますが、尿素や加里は前期比で値下がりしています。為替相場は、前期価格決定時から小幅な変動で推移しています。
製造諸経費は、工場老朽化に伴う修繕費の増加を理由に値上げ要求がありましたが、最終的に据置きで決定しました。窒素質肥料の基準となる国産尿素は、値上げ要求がありましたが、内外価格差縮小を求め、値下げで決着しました。
分 類 |
品 目 |
成 分 (%) |
前期比(%) (秋肥対比) |
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単 肥 |
窒素質 |
尿素(輸入) |
46 |
▲1.9 |
尿素(国産) |
46 |
▲1.7 |
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硫安(粉) |
21 |
▲0.9 |
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石灰窒素 |
21 |
▲0.1 |
||
りん酸質 |
過石 |
17 |
0.0 |
|
重焼りん |
35 |
0.0 |
||
加里質 |
塩化加里 |
60 |
▲7.3 |
|
けい酸加里 |
20 |
▲1.9 |
注.価格変動率は本会の県JA・経済連向け供給価格ベースであり、JA・農家向け供給価格の変動率とは一致しません。
適用開始:令和2年11月から(地域・作物により異なる場合があります)
2.今次価格交渉をめぐる情勢
(1)海外原料市況
尿素の国際市況は、原油価格の下落にともなうバイオエタノール需要の減少により、米国におけるトウモロコシの作付けが減少したことから値下がりしました。現在は、世界最大の需要国であるインドの買付が再開し、回復傾向にあります。
りん安の国際市況は、尿素と同様に米国における需要が減少したものの、好天によりインドの需要が旺盛なことから4月以降は横ばいで推移しています。今後は、好調な大豆輸出を背景としたブラジルでの需要増が予想され、市況の上昇が見込まれます。
塩化加里の国際市況は、パーム油価格の値下がりによる東南アジアでのパームヤシ需要が低調であったことや、サプライヤーと中国・インドとの価格交渉が大幅な値下げで決着したことなどから下落しています。
(2)海上運賃
新型コロナウイルス感染拡大による輸送需要の減少や原油市況下落にともなう燃料油の値下げにより軟化しました。その後、中国向けに鉄鉱石などの荷動きが回復したことから、大型船を中心に海上運賃が上昇していますが、肥料を輸送する小型船は前期同水準で推移しています。
(3)外国為替
米国政府の経済対策発表等を受け4月以降1ドル108~110円で推移してきましたが、新型コロナウイルス感染拡大第2波への警戒感からドルが売られ、現在は円高で推移しています。