令和4肥料年度春肥(11~5月)の肥料価格について

JA全農は、令和4肥料年度春肥の肥料価格について以下の内容で決定しました。

1.決定内容
海外肥料原料は、大幅な円安等により原料の調達費が上昇したことから、りん安、加里を値上げとしました。一方、穀物相場の下落や端境期での需給緩和により、国際市況が大きく軟化した尿素は値下げとしました。
国産の尿素や硫安については、原材料の天然ガスやアンモニア価格が上昇していることから、メーカーと値上げで決着しました。また、製造諸経費に関しても一部値上げとしました。
この結果、令和4肥料年度春肥(11~5月)価格は、下記のとおり決定しました。

分 類

品 目

成 分
(%)

前期比
(秋肥対比)

窒素質

尿素(輸入・大粒)

46

9

尿素(国産・細粒)

46

11

硫安(粉)

21

8

りん酸質

過石

17

15

重焼りん

35

16

加里質

塩化加里

60

31

けい酸加里

20

13

複合肥料

高度化成(基準)

15-15-15

10

適用開始:令和4年11月から(地域・作物により異なる場合があります)
1.価格変動率は本会の県JA・経済連向け供給価格ベースであり、JA・農家向け供給価格の変動率とは一致しない
2.複合肥料は価格指標となる基準銘柄であり、流通上の銘柄とは異なる

2.原料情勢
(1)肥料原料
ア.尿素の国際市況は、穀物価格の下落や需要が端境期に入ったことで下落してきましたが、中国政府による輸出制限の継続、インド・ブラジルが今後は需要期に向かうこと、原材料価格の上昇を背景として国際市況は反転し、上昇すると見込まれます。

イ.りん安の国際市況も足元では軟化していますが、中国の輸出制限の一層の厳格化の動きや、中国での電気自動車の普及によりバッテリー向けの工業用りん酸液の需要が増加し、原料となるりん鉱石の価格が高騰していることから、今後も高値圏での推移が見込まれます。

ウ.塩化加里については、ロシアによるウクライナ侵攻が開始されて以降、市況が急騰しました。特に市況上昇が著しい南米向けは、現在では調整され水準を戻しているものの、東南アジアでは高止まりが続いています。依然として、ロシア・ベラルーシからの供給が滞る中、今後、インドやブラジルなどの大消費国が需要期に入ることから、国際市況は高値圏で推移することが見込まれます。

(2)海上運賃
海上運賃市況は、好調な輸送需要やコロナ関係の検疫強化に伴う船舶の稼働率低下から上昇してきましたが、中国の経済減速による荷動き低下から市況は下落に転じています。当面は、世界経済減速の警戒感による船腹需給の緩和により、海運市況は弱含みで推移すると見込まれます。

(3)外国為替相場
外国為替相場は、米国と日本との金融政策の違いによる金利差の拡大から急速に円安が進行し、32年ぶりの151円台の円安水準(10月21日時点)となりました。米国の金融引き締め政策は当面継続される予想から、引き続きドル高円安の基調で推移することが見込まれます。