水稲新品種「ZR1」について

全国農業協同組合連合会(代表理事理事長:野口 栄、以下、JA全農)と国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(理事長:久間 和生、以下、農研機構)は、東北以南向けに、いもち病に強く、縞葉枯病抵抗性を持つ、早生の業務用多収品種「ZR1」を共同で育成しました。

1.育成の背景
JA全農では、生産者の営農の安定・所得の拡大に加え、拡大する業務用需要に対応するため、実需者からのニーズに応じた契約栽培など、生産提案型事業を進めています。
契約栽培の取り組みを進めていく中で、実需者からは「良食味で加工適性の高い米を使用したい」、また生産者からは「作期分散が可能で栽培しやすい早生品種を提案してほしい」などの要望が多く出されました。
このため、JA全農は農研機構と共同で新品種の開発に着手し、耐倒伏性があり、病害に強く、多収で良食味の早生品種の育成を進めてきました。

2.新品種の特徴
「ZR1」は育成地(農研機構東北農業研究センター、秋田県大仙市)において「あきたこまち」、「ゆみあずさ」と同程度の熟期で、収量は標肥移植栽培※1では663kg/10a、多肥移植栽培※2では767kg/10aで、東北地域で広く栽培されている「あきたこまち」より約2割多収です。現地試験では最大で823/10aの収量が得られました。葉いもち・穂いもちのいずれに対しても抵抗性はかなり強で、縞葉枯病抵抗性があるため、関東以西を含む幅広い地域での栽培が期待できます。
また、食味は「あきたこまち」と同程度の良食味です。玄米千粒重は「あきたこまち」より2g程度大きく、現地試験では最大で26g程度と大粒の品種です。
※1 標肥(窒素施肥量が基肥5kg/10a、追肥2kg/10a)での移植栽培
※2 多肥(窒素施肥量が基肥7kg/10a、追肥3kg/10a+2kg/10a)での移植栽培

3.品種名の由来
今後の日本を担う若い世代(Z世代)をはじめとした生産者・消費者に広く浸透して欲しい、JA全農(ZEN-NOH)が開発した、究極のお米(Rice)の第1号として命名しました。

4.今後について
JA全農では、中食や外食を中心とした業務用実需者に対して本品種の提案を進めており、令和8年産までに東北・北陸~関東地域を中心に250ha、令和10年産までに1,000ha以上の作付けを目指していきます。

「ZR1」の株標本
左:ZR1、中:あきたこまち、右:ゆみあずさ
(撮影:農研機構)

「ZR1」の籾および玄米(秋田県大仙市、令和4年産)
左:ZR1、中:あきたこまち、右:ゆみあずさ
(撮影:農研機構)