JA全農は、令和7肥料年度春肥の肥料価格について以下の内容で決定しました。
1.決定内容
肥料原料の海外市況は、尿素、リン安、塩化加里のいずれも、インド、米国、ブラジルなどの需要が旺盛なことから大きく上昇した後、足元では下がり始めた品目もあるものの、前期の価格決定時よりも依然として高い水準で推移しており、海外原料を使用する単肥、複合肥料の多くは値上げで決着しました。
国産尿素は、原材料のLNG(液化天然ガス)市況の下落を背景にメーカーとの交渉は値下げで決着しました。
リン酸質肥料の原料であるリン鉱石は、高い水準ではあるものの海外市況が落ち着いているため、国産のリン酸単肥は据え置きから若干の値下げで決着しました。
この結果、主要な品目の令和7肥料年度春肥価格は、下記のとおり決定しました。
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分 類 |
品 目 |
成 分 |
前期比 |
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単 肥 |
窒素質 |
尿素(輸入・大粒) |
46 |
3.6% |
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尿素(国産・細粒) |
46 |
▲4.1% |
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硫安(粉) |
21 |
▲2.3% |
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石灰窒素 |
21 |
0.0% |
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りん酸質 |
過石 |
17 |
0.0% |
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重焼りん |
35 |
▲0.4% |
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加里質 |
塩化加里 |
60 |
8.6% |
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硫酸加里 |
50 |
4.8% |
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複合肥料 |
高度化成(基準) |
15-15-15 |
4.3% |
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適用開始:令和7年11月から(地域・作物により異なる場合があります)
注1.価格変動率は本会の県JA・経済連向け供給価格ベースであり、
JA・農家向け供給価格の変動率とは一致しない
注2. 複合肥料は価格指標となる基準銘柄の変動率であり、流通上の銘柄とは異なる
2.情 勢
(1)海外肥料原料
ア. 尿素は、6月のイスラエルとイランの軍事衝突を受け、イランおよびエジプトでの尿素生産が停止したことから国際市況が上昇しました。その後、停戦合意を受けて生産は再開されたものの、インドやブラジル等での需給は引き締まっており、更に国際市況は上昇しました。足元では、インドの需要が一段落したことから市況は下落し始めていますが、依然として前期の価格決定時よりも高い水準で推移しています。
イ.リン安は、インドが6月の需要期を前に積極的な買い付けを進めたことや、東南アジア、米国、ブラジル等での需要も旺盛なことから国際市況は高騰しました。輸出規制を行っている中国は6月から輸出を再開したものの、昨年に比べて輸出期間が短く設定され、輸出数量も減少するとの見通しが広がり、需給は緩和されず市況は大幅に上昇しました。足元では東南アジアや米国の需要が落ち着いたことから市況は下落し始めていますが、依然として前期の価格決定時よりも高い水準で推移しています。
ウ.塩化加里は、インドや東南アジアの旺盛な需要を受けて、一部山元では9月末まで全量成約済みと発表する等、需給は引き締まった状況が続いており、国際市況は上昇しています。
(2)外国為替相場
ア.日米金利差、相互関税と各国との交渉状況の影響により、7~8月にかけては140円台前半~150円台と乱高下しました。
イ.今後も日本の経済政策や米国の景気動向等の影響を受けて変動すると思われることから、見通しは不透明な状況です。
