田植え後からできる高温化対策導入ガイド

1.水管理の徹底

適切な水管理は米の高温障害を防ぐために非常に重要です。具体的な水管理は以下のとおりです。

  • (1)中干し
    適切な茎数が確保されたら中干しを行い、根の伸張を促進するとともに、過剰な分げつの発生を抑制します。
    特に稲わら施用田は、根の健全化を図るため遅れないように中干しを開始しましょう。※重金属の恐れがある地域は、地域の指導に従ってください
  • (2)間断かん水
    中干し後は水田に水をためる「湛水」、水を抜く「落水」を繰り返す間断かん水を行います。通常、2~3日間湛水状態を維持し、2~3日間落水を交互に繰り返します。
  • (3)湛水管理
    出穂後10~20日間の気温が高い場合、胴割粒や白未熟粒の発生が増えるため、以下の方法によりほ場内水温、地温を下げましょう。
    • ①掛け流し灌漑 ※
      気温より低い用水を掛け流すことで、水温と地温を低く保つ方法。
    • ②昼間深水・夜間落水管理 ※
      晴天時の高温時に昼間は深水管理、夜間は落水管理を行う方法。午前9時~10時頃に灌水し、午後4時頃に落水します。
    • ③飽水・保水管理
      湛水せず、土壌を常に湿潤状態に保つ方法。(間断かん水により足跡に水が残る程度の水を保つ)根に酸素を供給し、株元の温度及び地温を下げます。
      ※かんがい用水の十分な確保が可能な地域に限られます

アクアポートの利用
(1)アクアポートを利用すると細かな間断かん漑が可能になります。(2)また、中干し中に地表面より深く穴を掘り、水位センサーを設置することで、飽水状態を実現できることがわかりました。

2.施肥管理の徹底

米の高温障害を防ぐための土壌管理について、具体的な対策は以下の通りです。
※品種や土壌等により効果は異なります。

  • (1)生育診断で適正な穂肥を施用
    出穂期前の葉色や幼穂長を診断し、適切な穂肥を施用することで、登熟期の高温による品質低下を防ぎます。
    また、ケイ酸含量が低い水田では、出穂期40日前から出穂期前までにケイ酸質資材を追肥することで、白未熟粒の軽減が期待されます。
  • (2)省力追肥技術
    一方で、夏場の暑い時期の追肥作業は重労働です。そこで省力追肥が可能技術である「流し込み施肥」と「ドローン追肥」があります。

3.斑点米カメムシの防除

米の等級を低下させる斑点米の原因となる斑点米カメムシの見分け方と防除方法は以下の通りです。

    (1)斑点米カメムシ類と被害米
  • 大型のカメムシ類と小柄なカスミカメ類では被害が異なります。
    大型のカメムシ類は籾のどこからでも吸汁しますが、特にイネカメムシは籾の基部(B)、クモヘリカメムシは頂部(C/左)や鉤合部(C/右)を加害する傾向があります。
    カスミカメ類は籾の隙間などから吸汁するため、頂部(E)を加害する傾向があります。
    また、被害が良く似たくさび米(黒点症状米)があります。

     

  • (2)防除方法
  • 斑点米カメムシの防除では、①耕種的防除と②化学的防除の組み合せが重要です。
    • ①耕種的防除
      斑点米カメムシの多くは、稲が出穂する前には水田付近の畦畔や休耕田などの雑草に生息しており、稲が出穂すると水田内に侵入し吸汁します。そのため稲が出穂する2週間前までに草刈りを完了しましょう。また出穂直前の雑草防除は本田内に斑点米カメムシが移動してしまう恐れがありますので避けましょう。
      近年被害エリアが拡大しているイネカムメシは、周辺の水田と出穂がズレるとその水田にイネカメムシが集中することがあるので、出穂期が近い水田をなるべく近接させるゾーニングなどを行うと効果的です。
    • ②化学的防除
      本田防除による化学的防除は長期残効が期待できないため、散布するタイミングに注意しましょう。防除の適期、薬剤については稲の品種、斑点米カメムシの種類や地域によって異なるため、最寄りの防除所やJAが発表している情報を参考にします。