おすすめする省力低コスト・生産性向上メニュー

全農がトータルコスト低減に向けて普及を進める省力・低コストに資する技術・資材の概要を紹介します。

1.共通省力低コスト技術

土壌診断等によってりん酸やカリが十分含まれていると判断されたほ場では、それらの含有量を低めに抑えた低成分肥料を使うことで収量・品質を保ちながら肥料費を低減することができます。なお、低成分肥料を用いたほ場では、数年に一度は土壌養分状態を確認し、必要に応じて土づくり肥料等で土壌養分を維持することが望まれます。
土壌診断は全農でも行っていますので、詳しくは土壌診断なるほどガイド [PDF:4.6MB]を参照ください。

堆肥には、窒素、りん酸、カリなどの養分が豊富に含まれています。その堆肥中の養分をうまく活用することで、養分状態を維持しながら施肥量を抑えて、施肥の低コスト化を図ることができます。なお、堆肥の種類により養分の量や肥効が異なりますので、堆肥ごとの特徴を活かしながら施肥に反映することがポイントです。

2.水稲向け省力低コスト技術

水稲直播技術とは、水田に苗を植える従来の方法(移植栽培)に対し、水田に直接種子を播く方法です。経営面積が大きくなるほど育苗や田植作業の負担が重くなる傾向にあることから、これらの作業を省くことで作業の分散が可能となり、規模拡大と低コスト化が期待できます。
全農では鉄粉と焼石膏をコーティングした種子を、代かきした水田の表面に播種する技術を推奨しています。この技術は従来の技術に比べて種子の保存性や鳥害防止などの点でより安定した栽培ができる技術として注目されています。鉄コーティング湛水直播栽培を試してみたい方は鉄コーティング直播栽培~現場で使える!!~推進ハンドブック [PDF:1,790KB]鉄コーティング水稲直播スタートガイド [PDF:760KB]を参照ください。

この技術は被膜をコーティングした専用の窒素質肥料(苗箱まかせ)を播種と同時に予め育苗箱に施用することで、本田での施肥を省略できる施肥法です。肥料と根が接触しているため、肥料の利用効率が高く、施肥量を抑えられます。なお、この施肥法では、他の養分が含まれていませんので、土壌養分状態を確認しながら別に施用することが必要となります。
水稲育苗箱全量施肥法を試してみたい方は水稲育苗箱全量施肥法スタートガイド [PDF:859KB]を参照ください。

流し込み施肥(流入施肥)とは、固体肥料または液体肥料をかんがい水と一緒に流し込む追肥法です。暑い季節に水田に入ったり、重い動力散布機を背負ったりする必要がなく、通常の追肥に比べて非常に楽に施肥作業を行うことが可能となります。
流し込み肥料は窒素成分の脱窒があるため従来は追肥に利用されていましたが、硝酸化成抑制材を入れることで、基肥として利用できる尿素液肥を片倉コープアグリ(株)と共同で開発しました。流し込み一貫施肥体系については新商品「おてがるくんスーパー」 [PDF:1,276KB]をご紹介します。

飼料用米の栽培では、主食用の品種を用いる場合と、飼料向けの専用品種を用いる場合があります。特に専用品種を用いて多収を目指す場合、目標収量に応じて施肥量を加減しつつ、土壌養分を適正に保つ必要があります。また、ホールクロップサイレージ(WCS)栽培のように、ワラを含めてすべてほ場から持ち出す場合では、ケイ酸など土壌養分の持ち出し量が特に多くなるため、土壌診断を適切に行い、土壌養分を適切に保つ必要があります。

(5)側条施肥技術 水稲の側条施肥法 [PDF:299KB]

田植と同時に肥料を苗の側方に施肥することで、肥料効率の向上や初期生育の向上を図ることが可能となります。施肥量の低減や作業の省力化につながる技術です。

水稲栽培では、収量・品質の確保や倒伏を防ぐため、生育に応じて適切な時期に適量の施肥を行う必要があります。その生育を判断するため、水稲の葉色に応じて施肥量を加減することで安定生産を図ることが可能となります。

育苗箱処理剤の中には、播種時に処理することが可能なものがあります。田植時期に箱処理剤を散布する必要がないため、省力化につながります。また、均一な散布が可能で、いもち病などへの効果が安定します。

(8)農薬の田植同時処理 (水稲田植同時防除技術) [PDF:336KB]

水稲除草剤、育苗箱処理剤のなかには、専用の処理装置を用いて田植と同時に処理することが可能なものもあります。いずれも省力的に均一散布が可能になる防除技術です。

水稲の平置き育苗向けに開発されたベタ掛けアルミ蒸着フィルムです。 遮熱・保温性、微光透過性といったシートの特性によって、ハウスの換気が不要で、苗焼けしない丈夫な苗を育てることができます。

水田の畦畔や法面に敷設することで、除草作業を省力化することができる資材です。ネットの下で雑草が繁茂し根を張ることで、畦畔等が崩れる心配がほぼなくなり、除草作業が基本不要になります。

水稲の育苗の際に使う床土の代わりとなるロックウール製の成型培地です。土に比べて軽いので作業性に優れ、水分の吸収性・保水性が良く水やりの回数を減らすことができるといった特長があります。材質の主成分はケイ酸カルシウムで、健苗を育てる可溶性ケイ酸分が40%以上含まれています。

3.園芸向け省力低コスト技術

(1)養液栽培システム「うぃずOne」 [PDF:601KB]

JA全農式トロ箱養液栽培システム「うぃずOne」は、隔離床栽培で、潅水同時施肥を行う栽培システムです。設置に大掛かりな電気工事などを必要とせず、栽培終了後には一時撤去も可能な点が大きな特徴です。培土を使用することから土づくりも不要です。

露地野菜・施設野菜は「基肥+多数回の分施」の施肥体系が一般的ですが、野菜の全量基肥施肥法・基肥重点施肥法は、緩効性肥料、特に被覆肥料を活用して追肥を除き、「基肥のみ」または「基肥と1回程度の追肥」で栽培する手法です。追肥の労力を省くことが可能で、肥料の効率が上がり、慣行施肥と同様の収量や品質が期待できます。

緩効性肥料を利用して2作分の施肥を1回で行う施肥法です。マルチを外さないで次作の定植または播種ができるので、比較的短期間に複数の作物を栽培する葉菜類で効果を発揮します。すでに現場で普及しており、最近では3作1回施肥なども試みられています。

従来の施肥が肥料を圃場全面に散布するのに対して、機械でうね立て時にうねの全面や、局所だけ施用する方法です。作物の根に近い部分だけに施肥するため肥料の利用効率が高く、施肥量を削減でき、露地野菜で注目されています。

ポット育苗やセル育苗時に初期の溶出を抑えた専用の肥料を混合することで、本圃への施肥を省略できる施肥法です。根の近くに施肥されるため肥料の利用効率が向上するほか、施肥の省力化が可能となります。

土耕栽培と養液栽培を組み合わせた栽培法で、液肥混入機を利用した潅水施肥を行うことで、肥料と水を適量施用することが可能です。生育の制御が容易となり、収量や品質が安定します。

タイマー制御による効率的な地中点滴灌水により、作物の生育が促進され、早期出荷や増収による所得向上が期待できます。全農式点滴灌水キットを試してみたい方は、全農式点滴灌水キット 利用事例 [PDF:587KB]全農式点滴灌水キット Q&A [PDF:390KB]全農式点滴灌水キット 設置マニュアル [PDF:2,416KB]全農式点滴灌水キット パーツ説明 [PDF:609KB]を参照ください。