JA全農は、令和5肥料年度秋肥の肥料価格について以下の内容で決定しました。
1.決定内容
肥料原料の国際市況は、世界的に荷動きが低調になったことや、ロシア品の供給が継続したことから下落に転じています。為替は130円台後半まで円安が進行していますが、輸入原料である尿素、りん安、加里の価格はいずれも値下げとしました。
一方、国内の製造諸経費については、電力、物流費、人件費などの費用が上昇していることから、メーカーと値上げで妥結しました。
この結果、令和5肥料年度秋肥(6~10月)価格は、下記のとおり決定しました。
分 類 |
品 目 |
成 分 |
前期比 |
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単 肥 |
窒素質 |
尿素(輸入・大粒) |
46 |
▲37% |
尿素(国産・細粒) |
46 |
▲28% |
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硫安(粉) |
21 |
▲20% |
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石灰窒素 |
21 |
+4% |
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りん酸質 |
過石 |
17 |
▲7% |
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重焼りん |
35 |
▲5% |
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加里質 |
塩化加里 |
60 |
▲44% |
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けい酸加里 |
20 |
▲19% |
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複合肥料 |
高度化成(基準) |
15-15-15 |
▲28% |
適用開始:令和5年6月から(地域・作物により異なる場合があります)
注1.価格変動率は本会の県JA・経済連向け供給価格ベースであり、JA・農家向け供給価格の変動率とは一致しない
注2.複合肥料は価格指標となる基準銘柄であり、流通上の銘柄とは異なる
上記品目のほか、国内産原料から製造される石灰類や苦土肥料、けい酸質資材、育苗培土などは製造諸経費の上昇影響が大きく、また有機質肥料の中には需給タイト化により、値上げとなるものがあります。
2.情 勢
(1)肥料原料
ア.尿素の国際市況は、昨年の秋に天然ガス価格が急騰した影響を受け一時市況が上昇したものの、その後は世界的に需給が緩んだことなどから、市況は下落しています。
イ.りん安の国際市況は、穀物市況の軟化やブラジルの輸入量の減少など世界的に荷動きが低調となったことから下落しています。今後については、ブラジルやインドが輸入を再開していることや、供給面では中国からの輸出が不透明であること、原料のりん鉱石が高値で推移していることから、市況は堅調に推移すると見込まれます。
ウ.加里の国際市況は、ロシアのウクライナ侵攻による影響から短期間で大幅に上昇しました。その後は、価格高騰による世界的な需要の減少や、ロシアやベラルーシ品がブラジルなど経済制裁に参加しない国向けを中心に輸出が継続されたことで国際市況は下落に転じています。今後、価格の下落を受けて世界の加里需要は回復すると予測されていますが、ロシア・ベラルーシからの輸出量が回復しつつあることから、当面、国際市況は軟調に推移すると見込まれます。
(2)海上運賃
海上運賃市況は、中国の粗鋼生産が落ち込んだことで鉄鉱石の輸送量が減少したことや、欧米各国での金利引き上げ政策による世界経済の減速懸念に加え、燃料油の価格の下落もあり、大きく下落しました。今後は、中国政府による豪州炭の輸入解禁等、荷動きに回復の兆しが見られることから、大型船を中心に市況が回復しつつあり、市況は底堅く推移すると見込まれます。
(3)外国為替相場
外国為替相場は、昨年12月以降の米国FRBによる金利の引き上げペース減速や、日銀の長期金利の上限変更により急速に円が買い戻され、4月以降130~135円の水準で推移してきました。足元では米経済指標の上振れと日米金利差の拡大が意識され、さらに円安が進行しており、今後については見通しにくい状況となっています。