BASFの「xarvio® FIELD MANAGER」とクボタの「KSAS」間のシステム連携を開始し、水稲生産者の収量と生産性向上を実現

  • スマート農業技術により施肥量を最適化
  • 実証試験で可変施肥による増収効果を確認
  • クボタは国内農機メーカーとして初めてxarvio® FIELD MANAGERとKSASを通じたスムーズな無線連携を実現

全国農業協同組合連合会(東京都千代田区、以下「JA全農」)・㈱クボタ(大阪市浪速区、以下「クボタ」)・BASF デジタルファーミング社(ドイツ)および、BASFジャパン株式会社(東京都中央区、以下、両社を総称して「BASF」)は、JA全農とBASFが国内において開発・推進する栽培管理支援システム「xarvio® FIELD MANAGER(以下、ザルビオ® フィールドマネージャー)」とクボタが開発・推進する営農支援システム「KSAS(クボタスマートアグリシステム)」のシステム連携を進めてきました。この度、実証試験の成果を踏まえて、2024319日(火)にシステム連携機能のサービス提供を開始します。

この実装により、効率的なデータ移行と施肥量の最適化による農業現場の生産性の向上をサポートしてまいります。

田植えのイメージ写真

1.システム連携機能の内容
・ザルビオ® フィールドマネージャーが、人工衛星センシング画像※1とAIにから見える化した生育状況や推定地力を基にほ場内の施肥量を提案する「可変施肥マップ2」を、クボタが提供するデータ連携ツール「KSAS API」とザルビオ® フィールドマネージャーのAPIを接続させることで、クボタの田植機と連携させることが可能になりました。
KSASユーザーは可変施肥を行うにあたり、ザルビオ® フィールドマネージャーの可変施肥マップを使用するという選択肢が増え、手軽に可変施肥を行うことができます。施肥を計画するとその作業記録は自動的にザルビオ® フィールドマネージャーに残るとともに、KSAS上の日誌にも記録することが可能になりました。
・国内においては従来ザルビオ® フィールドマネージャーの可変施肥マップはUSBメモリー等を介して(※3)農業機械に取り込む必要がありましたが、KSASとのシステム連携により国内農機メーカーとして初めて、自動的にデータ移行が行えるようになりました。

※1人工衛星センシング画像:人工衛星センシング技術を用いて作物の生育状況を数値化してマップ化した画像。
※2可変施肥マップ:ほ場内での生育のばらつきを解消するため、生育が良いところと悪いところで施肥量に濃淡をつけて地図上に示したもの。クボタの対応田植機はこのマップの指示通りに自動で量を調節しながら施肥することができる。
※3海外では、各種農業機械と無線自動データ連携の実績あり。

<サービス概要>

サービス内容

KSASに登録した圃場形状のザルビオ® フィールドマネージャーへの移行
②ザルビオ® フィールドマネージャー上で作成した可変施肥マップのKSASへの移行
KSASに移行したザルビオ® フィールドマネージャーの可変施肥マップを基にしたKSAS対応田植機での可変施肥作業の実施

連携方法

各システムのアカウントを取得した上で、KSASでさらに「KSASデータ他社アプリ連携」用のアカウントを取得しそのIDとパスワードをザルビオ® フィールドマネージャー画面で入力することで、システム間を連携します。

対応機種

クボタの可変施肥対応田植機は全て対象となります。

①「NW8S-PF-GS」(NAVIWELスペシャルクラス8条田植機(PF仕様))
②「NW8SA-PF-AOP)」(Agri Robo8条田植機(PF仕様))
③「NW10SA-PF-A」(Agri Robo10条田植機(PF仕様))

利用料金

連携機能の利用料は無料。なお、各システムの使用には別途費用がかかります。

利用開始時期

2024319日(火)

2. 実証結果
2法人において20235月に、KSASからザルビオ® フィールドマネージャーへのほ場形状のデータ移行、ザルビオ® フィールドマネージャーからKSASへの可変施肥マップの移行、可変施肥マップデータに基づくクボタ製田植機「NW8S-PF-GS」による可変施肥田植作業を実施し、スムーズに連携できることを確認しました。
・続いて20239月に、クボタの食味・収量センサ付きコンバイン(食味・収量メッシュマップ機能付)を用いて稲の収穫作業を実施し、地力窒素量が同程度のほ場では慣行施肥した圃場と比較して、可変施肥した圃場で45%の増収効果が確認されました。また、地力窒素が少ないほ場で可変施肥した結果、生育の平準化による収量の底上げが図れたことにより、地力窒素が多い圃場と同等程度の収量になりました。
・以上の実証試験により、KSASとザルビオ® フィールドマネージャー、クボタ製田植機とのスムーズなデータ連携が確認でき、可変施肥によって収量向上に寄与できることを確認できました。
・加えて、施肥量の自動計算を通じて肥料の準備に係る作業時間の短縮や肥料購入量の適正管理が可能となり、生産性向上に寄与できる可能性が示されました。

3.今後の展望
今後農業者の方のより効率的かつ効果的な栽培記録管理とデータの利活用が進むように、ほ場情報をはじめとしたデータのスムーズな移行連携や連携できるデータ範囲の拡張などを3者は共同で検討し、持続可能な農業の実現に取り組んでいきます。

4. 両システムの概要
・ザルビオ® フィールドマネージャーは、JA全農とBASFが国内において開発・推進する栽培管理支援システムです。ザルビオ® フィールドマネージャーは、人工衛星解析による作物の生育状況の見える化や人工知能(AI)による生育予測、病害発生予測を行い、最適な栽培管理を提案・支援します。また、人工衛星センシング画像から見える化した生育状況を基に、ほ場内の施肥量を調節する「可変施肥マップ」を作成することができ、対応農機と連携することで施肥量の最適化を行うことが可能です。
ザルビオ® フィールドマネージャーについて https://www.xarvio-japan.jp/
KSASは、クボタが提供する、ほ場情報や作業履歴、収穫実績、農機の稼働情報等をパソコンやスマートフォン等を使って管理・閲覧できる営農支援システムです。作物・作業情報の見える化を通して、安心・安全でおいしい農作物を効率よく生産することをサポートしています。また、KSAS対応農機と連携させることで、作業日誌の自動作成や、KSASで作成した可変施肥マップを用いた施肥作業などが可能です。
クボタ KSASについて https://agriculture.kubota.co.jp/ksas/

【ご参考】
JA全農、クボタ、BASFが営農支援システム連携の実証試験
BASFの人工衛星センシング画像を使い、クボタの田植機の施肥作業を制御~
https://www.zennoh.or.jp/press/release/2023/95364.html