TACとは、5年後、10年後と地域農業を担っていく農業経営者、つまり「地域農業の担い手」を訪問し、担い手の意見や要望をJAグループの事業に反映させ地域農業の発展を支援していく活動です。TACの活動は、農業生産振興や担い手の経営改善に資する資材・技術の提案、農産物の販路拡大といった取り組みから、労働力支援、事業承継支援等、地域農業の維持発展に向けた活動にまで拡大しています。
TACの役割
- (1)地域農業の担い手に訪問してご意見・ご要望をうかがい、誠実にお応えします。
- (2)地域農業の担い手の経営に役立つ各種情報をお届けします。
- (3)地域農業の担い手のご意見を持ち帰り、JAグループの業務改善につなげます。
TACの由来・意味
2008年4月、一般公募により「地域農業の担い手に出向くJA担当者」の愛称を単協・連合会が一体(チーム)となって地域農業をコーディネートするという意味を持つ「Team for Agricultural Coordination」の頭文字をとって「T・A・C」と決定しました。
ロゴマーク
左側が地域農業の担い手とJA担当者であるTACが対話・相談しているシーンをイメージし、そうした対話を起点として生まれる課題解決やヒラメキを右側のエクスクラメーションマーク“!”で表現しました。
キャッチコピー
- ※TACという言葉にさらになじんでもらうために提唱しました
TACの活動の目的と手順
TACの「目的」
『担い手を訪問して聴き取った情報をもとに、担い手農家の視点に立った事業提案をおこなうことにより、担い手が成果を得られた結果、JAグループとの信頼関係が結ばれるとともに、JAの事業にも結びつけていくこと』です。
TACの担い手対応の「手順」
TACの担い手対応は、次のSTEP1からSTEP6までのSTEPを踏んで進めます。
これを繰り返すことにより、担い手との信頼関係を高め、パートナーシップを深めていくことが出来ます。
- STEP1
農業経営規模やJA利用率をもとに、中長期的な視点から地域農業がどうなるか、どうするかを検討し、訪問すべき担い手を明確化します。
- STEP2
明確化した担い手に訪問し、担い手の声(意見・要望)を聴き取ります。聴き取った内容は、「マーケティング情報」としてTACシステムへ記録します。
- STEP3
得られた貴重な「マーケティング情報」をTAC個人で留めることなく、JA内部・連合会も含めて報告し、共有化します。
- STEP4
聴き取った担い手の声・要望に対し、JAグループとしてどういう施策を提案できるか、役員・関連部署が集まって検討します。こういった検討する会議を「TACミーティング」と呼んでいます。
- STEP5
作成した施策を担い手にフィードバック(提案)します。JA内部で事前に予行演習(ロールプレイング)の提案が成功に至る確率を上げることが期待できます。
- STEP6
提案したJAグループの事業を通じて、担い手の課題を解決、経営改善等に寄与します。
総合力の発揮
担い手の要望に対しては、JAの事業部門や連合会等と連携して、JAグループの総合力を発揮した対応を実施します。これにより、担い手の満足度の向上を達成します。
TAC設置・活動基準の策定
TACの設置の際には、まずTAC設置要領・要綱を策定し、TACの設置目的や役割を明らかにします。このことにより、JA内部への理解促進および活動の定着化、業務の明確化が図られ、JA内でのTACの基盤が確固たるものになります。
項目 | 先進JAのTAC活動基準例 |
---|---|
設置目的 |
|
訪問対象 |
|
機構・体制 |
|
業務内容 |
|
活動基準 |
|
活動管理 |
|
運営管理 |
|
目標管理 |
|
人材育成 |
|
TACの歴史
「TAC」の成り立ちは、1996年の「肥料農薬専任渉外制度」の導入に始まります。その後、2004年の「営農経済渉外による出向く体制構築」を経て、2008年に「TAC」を全国統一名称として決定し、地域農業の担い手に出向くJA担当者の活動を進めてきました。
TAC導入に至るまで
- 1996年
- 肥料農薬専任渉外制度(専門推進員制度)導入開始
- 1997年
- 全農 肥料農薬部にて制度導入推進開始
- 2000年
- ランク別営農渉外の実施
- 2004年
- 2月
- 肥料農薬部に広域企画課が創設され、営農経済渉外による出向く体制の構築に向けた取り組みを開始
- 2005年
- 9月
- 「JAグループ出向く営農経済渉外活動パワーアップ大会 2005」開催(於:キャピトル東急ホテル)
- 2006年
- 5月
- 全農営農総合対策部担い手渉外グループへ営農経済渉外の取り組みを移管
- グリーンレポートにて「がんばる担い手」連載開始
- 9月
- 「JAグループ出向く営農経済渉外活動パワーアップ大会 2006」開催(於:浅草ビューホテル)
- 2007年
- 2月
- 「アグリビジネススクール(現:TACアグリビジネススクール)」開始
- 4月
- 担い手対応の基本方針転換
→ 基本方針転換に沿った担い手対応支援システムの全面改修開始 - 6月
- 「情報共有ミーティング(現:TACミーティング)」の開始(JA京都にのくに・全農 京都府本部・全農 本所)
- 7月
- 6段階(STEP6)の活動スキームの決定
- 8月
- 担い手対応支援システムの完成(現:TACシステム)
- 11月
- 「JAグループ出向く営農経済渉外活動パワーアップ大会 2007」開催(於:ホテルキャメロットジャパン)
- 2008年
- 2月
- TACの活動指標として「JAグループにおける担い手対応の目的と手順(STEP1~6)」制定
TAC導入からの歩み
- 2008年
- 4月
- 「担い手に出向くJA担当者」の全国統一愛称『TAC』(Team for Agricultural Coordination)が公募により決定
→TAC通信 配信開始 - 5月
- 全農 営農総合対策部 TAC推進課発足
→「担い手対応支援システム」を「TACシステム」と名称統一し、活用開始。 - 11月
- 第1回「TACパワーアップ大会2008」開催(於:JAビル)
- 2009年
- 1~3月
- TACの基本方針・進め方について各県域に普及展開
- 2月
- 「第3回JAグループ国産農畜産物商談会」に「TACの店」初出展
- 4月
- TACの要望に対する全農本所対応策検討開始(現みのりみのるプロジェクト)
- 11月
- 第2回「TACパワーアップ大会2009」開催(於:品川プリンスホテル)
- 12月
- 先進JAの成功のポイントに学び「TAC設置・活動基準」策定
- 2010年
- 9月
- みのりみのるプロジェクト旗艦店(銀座三越 みのりカフェ&みのる食堂)開業
- 11月
- 第3回「TACパワーアップ大会2010」開催(於:新横浜プリンスホテル)
- 2011年
- 7月
- 雑誌「JA経営実務」にて「いまこそTACだ!!」連載開始
- 9月
- みのりみのるプロジェクト「AGRIFUTURE&みのりみのるマルシェ」(於:銀座三越 9階 銀座テラス)開始
- 11月
- 第4回「TACパワーアップ大会2011」開催(於:品川プリンスホテル)
- 2012年
- 11月
- 第5回「TACパワーアップ大会2012」開催(於:新横浜プリンスホテル)
- 2013年
- 11月
- 全国のTAC活動の取組が認められ、全農本所TAC推進課が全農理事長表彰「特別表彰」を受賞
- 11月
- 第6回「TACパワーアップ大会2013」開催(於:新横浜プリンスホテル)
- 2014年
- 3月
- レベルアッププロジェクト(TAC活動の高位平準化に向けた全国優良6JAの活動分析とりまとめ)
- 11月
- 株式会社東急ストアにおける「TACの店」初開催(於:南町田店)
- 11月
- 「みのりカフェ」福岡パルコ店オープン
- 12月
- 第7回「TACパワーアップ大会2014」開催(於:新横浜プリンスホテル)
- 12月
- レベルアッププロジェクト(TAC活動の高位平準に向けた「TACの手引き」作成検討開始)
- 2015年
- 3月
- 第54回全国青年農業者会議へ初参画(TACの活動紹介)
- 5月
- みのりみのるマルシェ@大阪駅開始(JR西日本グループとの提携した取組)
- 11月
- 「みのりカフェ&みのる食堂」京都高島屋店オープン
- 12月
- 第8回「TACパワーアップ大会2015」開催(於:新横浜プリンスホテル)
- 2016年
- 3月
- 大学生をターゲットとした農業フリーペーパーVOICEにおいて、「TAC特別号」作成・配布
- 3月
- 「みのりカフェ」「グリルみのる」エスパル仙台店オープン
- 4月
- 「TAC担い手訪問ハンドブック」完成 配布
- 11月
- 第9回「TACパワーアップ大会2016」開催(於:新横浜プリンスホテル)
- 11月
- JAとぴあ浜松、JAグリーン近江、JA京都にのくに、JAやつしろがトップランナーズJA受賞
- 2017年
- 1月
- 「事業承継ブック~親子間の話し合いのきっかけに~」発行
- 1月
- 「カフェ&グリル みのりみのる」新潟店オープン
- 3月
- 「みのりカフェ」「グリルみのる」Maker‘s Pier店オープン
- 3月
- 「みのるダイニング」フェザン店(岩手)オープン
- 7月
- 「農業法人対応優良事例集」発行
- 11月
- 「作物栽培総合技術研修」開始
- 11月
- 第10回「TACパワーアップ大会2017」開催(於:新横浜プリンスホテル)
- 11月
- JAしまねがトップランナーズJA受賞
- 11月
- 「みのりみのるマルシェ」エスパル山形店オープン
- 2018年
- 3月
- 「TAC活動を見える化するための活用ガイド」発行
- 3月
- 「みのる食堂」エキエ広島店オープン
- 4月
- TAC発足10周年
- 4月
- 「事業承継ブック 集落営農版」発行
- 9月
- 「みのりカフェ」エキエ広島店オープン
- 10月
- 「出向く活動強化プロジェクト」開始
- 11月
- 第11回「TACパワーアップ大会2018」開催(於:新横浜プリンスホテル)
- 12月
- 「カフェ&ダイニング みのりみのる」アミュプラザおおいた店オープン
- 2019年
- 3月
- 「みのりみのるキッチン」エキュート品川店オープン
- 4月
- 「ハッピーリタイヤブック」発行
- 4月
- 「出向く活動強化運動」開始
- 11月
- 第12回「TACパワーアップ大会2019」開催(於:新横浜プリンスホテル)
- 2020年
- 3月
- 「みのるダイニング」さんすて岡山店オープン
- 6月
- 「みのりカフェ季楽」コムボックス佐賀駅前店オープン
- 6月
- 「みのるダイニング」札幌ステラプレイス店オープン
- 7月
- 「事業承継ブック部会版」発行
- 7月
- 「みのりカフェ」fukuyama店オープン
- 2021年
- 1月
- 第13回「TACパワーアップ大会2020」開催(於:AgventureLab)
- 1月
- JA新いわて、JAふくおか八女がトップランナーズJA受賞
- 4月
- 「みのる食堂」アミュプラザ熊本店オープン
- 4月
- 「みのりカフェ」アミュプラザ博多店オープン
- 11月
- 第14回「TACパワーアップ大会2021」開催(於:新横浜プリンスホテル)
- 11月
- JAおちいまばりがトップランナーズJA受賞
- 11月
- 「みのりみのるチキン」二子玉川 東急フードショー店オープン
- 2022年
- 3月
- 「みのりカフェ」長崎駅店オープン
- 3月
- 「みのりカフェ」京都ポルタ店オープン
- 3月
- 「TACの手引き2022年版」発行
- 6月
- 「出向く活動強化運動」第2期 開始
- 8月
- 「みのるダイニング」京都ポルタ店オープン
- 11月
- 「みのるダイニング」名古屋店オープン
- 11月
- 第15回「TACパワーアップ大会2022」開催(於:新横浜プリンスホテル)
- 11月
- JAたじまがトップランナーズJA受賞
- 2023年
- 11月
- 第16回「TACパワーアップ大会2023」開催(於:新横浜プリンスホテル)
- 11月
- JA金沢市、JA阿蘇がトップランナーズJA受賞
- 2024年
- 3月
- 「TAC担い手訪問ハンドブック2024年版」発行