概論

 

はじめに

  • 農業生産における気候変動への適応には、栽培管理技術の変更のように、個別の生産者において低コストですぐに導入可能なものから、品種開発や品目転換のようにコストと時間を必要とするものまで、さまざまあります。
  • すぐに対応可能な対策は速やかに導入することが重要ですが、今後の気温上昇等によっては、効果を発揮しなくなる時期が来ることも念頭に置いておく必要があります。
  • また、農産物に影響が発生してからでは対策が間に合わない場合もあるため、中長期的な適応策についても、地域の実態を踏まえ、早い段階から計画的に備えておくことが、将来に予測されるリスクの軽減につながると考えられます。

図 気候変動(気温上昇)への適応の考え方(イメージ)

図 気候変動(気温上昇)への適応の考え方(イメージ)
*「農業生産における気候変動適応ガイド(農林水産省)」より抜粋

本ホームページの目的

  • 気候変動による高温障害やゲリラ豪雨・干ばつなどへの対策には、手間やコストが伴うため、産地で障害となる事象について理解し、計画的かつ的確な適応策を講じることで、リスクをマネジメントしていくことが重要です。
  • 本ホームページでは、全国的に生じていてる障害や、とりうる適応策、試験事例などを紹介することで、対策技術の導入や栽培・防除暦等への反映など各地で講じる適応策のプランニングの一助になることを目的にしています。

気候変動に適応するためのPDCAサイクル

気候変動に適応するためのPDCAサイクル

1.気候変動と将来予測(1)

  • これまで日本の平均気温は様々な変動を繰り返しながら上昇しており、1898年以降では100年あたり1.44℃の割合で上昇しています。平年値からの偏差が大きかった上位5年は、いずれも2019年以降に発生するなど、近年は高温となる年が頻出しています。
  • 日本の年降水量では、長期的傾向は見られません。

日本の年平均気温偏差の推移

大雨の年間発生回数の推移

1.気候変動と将来予測(2)

  • 長期的な温暖化傾向に伴い、全国の猛暑日日数は有意に増加しています。最近の30年(1995~2024年)の平均猛暑日日数は、観測を開始した最初の30年(1910~1939年)と比べて約4倍に増加しました。
  • 大雨の年間発生回数も有意に増加しています。全国のアメダス地点で1時間降水量が50mmを超える雨の頻度は、10年当たり約28回増えています。
  • また、より強い雨ほど増加率が大きく、1時間降水量80mm以上、3時間降水量150mm以上、日降水量300mm以上などの強度の強い雨は、1980年頃と比較しておおむね2倍程度に増加しています。

猛暑日の年間日数の推移

大雨の年間発生回数の推移

棒グラフ(緑)は各年の年間日数を示す(全国13地点における平均で1地点あたりの値)。折れ線(青)は5年移動平均値、直線(赤)は長期変化傾向(この期間の平均的な変化傾向)を示す。

1.気候変動と将来予測(3)

  • 様々な温室効果ガス排出シナリオに基づく将来予測では、世界の平均気温はどのシナリオでも工業化以前より1.5℃前後まで上昇すると見込まれています。
  • シナリオによる気温上昇の違いは中期以降にはっきりと現れ今世紀末には工業化以前と比べて、中央値で約1.4℃から4.4℃まで幅をもって異なると予測されています。

1.気候変動と将来予測(4)

  • 温暖化に伴い、日本における極端な高温(猛暑日日数、熱帯夜日数)は増加する一方、冬日は減少すると予測されています。
  • 同じ排出シナリオでも、緯度が高い程、気温上昇の度合いが高いと予測されています。
  • 大雨の日数も増加すると予測されており、4℃上昇するシナリオでは、2℃上昇シナリオに比べて大幅な増加が見込まれています。