概論

2.果樹における気候変動への適応策の基本的な考え方

  • 農林水産省では、「果樹農業の振興を図るための基本方針」において、高温障害の対応策について以下の基本的な考え方が示されています。
    1.高温障害に対しては、栽培管理における基本技術を徹底した上で、症状に応じた技術的対策を講じる
    2.技術的対策による対応が困難な場合は、障害リスクの低い品種の導入を図るなど品種構成の見直しを行う
    3.それでもなお障害の発生が抑えられず生産が困難な場合は、地域の気象条件に合った品目への転換を検討
    *出典:「果樹農業の振興を図るための基本方針」(農林水産省,令和7年4月30日)

適応策の考え方

*最低極温とは、特定の果樹の植栽において、1年を通じて最も低い気温を指します。例えば、りんごの栽培においては、最低極温が-25℃以上であることが求められます。また、低温要求時間とは、気温が7.2°C以下になる期間の延べ時間であり、これにより果実の品質低下を防ぐことが重要です。

3.果樹栽培に適する気象条件(1)

  • 果樹農業の振興を図るための基本方針」では、高品質な果実生産を確実に図る観点から、果樹を栽培している地域における平均気温、植物生理の観点からみた冬期の最低極温及び低温要求時間に関する条件が、果樹の種類ごとに示しています。
  • 基準を満たさない地域において栽培する場合には、あらかじめ十分な対策を講じ、気象被害の発生を防止し、高品質な果実生産が確保できるよう努めることが重要です。

栽培に適する自然的条件に関する基準(かんきつ類)

樹種

平均気温

植物生理に係る低温条件

植栽時における園地の低温、
風雨、降雪に係る注意事項

年平均気温

4月1日~
10月31日

冬期の最低極温

低温要求時間

うんしゅうみかん

15~18℃

-5℃以上

腐敗果の発生や品質低下を防ぐため、11月から収穫前まで降霜が少ないこと

いよかん、はっさく

15.5℃以上

す上がり等の品質低下を防ぐため、12月から収穫前までに-3℃以下にならないこと

しらぬひ等

16℃以上

-3℃以上

ぶんたん類

16.5℃以上

-3℃以上

たんかん

17.5℃以上

す上がり等の品質低下を防ぐため、12月から収穫前までに-2℃以下にならないこと

ゆず

13℃以上

-7℃以上

傷害果や病害果の発生を防ぐため、強風を受けやすい園地での栽植は避けること。

かぼす、すだち

14℃以上

-6℃以上

レモン

15.5℃以上

-3℃以上

す上がり等の品質低下を防ぐため、11月から収穫前までに降霜が少ないこと。傷害果や病害果の発生を防ぐため、強風を受けやすい園地での栽植は避けること。

*出典:「果樹農業の振興を図るための基本方針(果樹農業振興基本方針)、農林水産省 令和7年4月30日」

3.果樹栽培に適する気象条件(2)

栽培に適する自然的条件に関する基準

樹種

平均気温

植物生理に係る低温条件

植栽時における園地の低温、
風雨、降雪に係る注意事項

年平均気温

4月1日
~10月31日

冬期の最低極温

低温要求時間

りんご

6~14℃

13~21℃

-25℃以上

1,400時間以上

枝折れを防ぐため、新しょう伸長期に強風を受けやすい園地での植栽は避けること。新しょうの枯死を防ぐため、発芽・展葉期に降霜が少ないこと。

ぶどう

7℃以上

14℃以上

-20℃以上

欧州種:-15℃以上

巨峰:500時間以上

枝枯れや樹の倒壊を防ぐため、凍害及び雪害を受けやすい北向きの傾斜地での植栽は避けること。欧州種については、4 月~10 月の降水量が1,200mm 以下

日本なし

7℃以上

13℃以上

-20℃以上

幸水:800時間以上

枝折れや樹の倒壊を防ぐため、最大積雪深が概ね 2m 以下であること。花器・幼果の障害を防ぐため、蕾から幼果期に降霜が少ないこと。

西洋なし

6~14℃

13℃以上

-20℃以上

1,000時間以上

枝折れや樹の倒壊を防ぐため、最大積雪深が概ね 2m 以下であること。幼果は霜害を受けやすいので、幼果期に降霜が少ないこと。

もも

9℃以上

15℃以上

-15℃以上

1,000時間以上

枝折れや樹の倒壊を防ぐため、最大積雪深が概ね 2m 以下であること。花器・幼果の障害を防ぐため、蕾から幼果期に降霜が少ないこと。病害を防ぐため、強風を受けやすい園地での植栽は避ける

おうとう

7℃以上

15℃以下

14度以上

21℃以下

-15℃以上

1,400時間以上

枝折れや樹の倒壊を防ぐため、最大積雪深が概ね 2m 以下であること。花器・幼果の障害を防ぐため、蕾から幼果期に降霜が少ないこと。

びわ

15℃以上

-3℃以上

耐寒性品種:-5℃以上

傷害果や病害果の発生を防ぐため、強風を受けやすい園地での植栽は避けること。

* 出典:「果樹農業の振興を図るための基本方針(果樹農業振興基本方針)、農林水産省 令和7年4月30日」

 

3.果樹栽培に適する気象条件(3)

栽培に適する自然的条件に関する基準

樹種

平均気温

植物生理に係る低温条件

植栽時における園地の低温、
風雨、降雪に係る注意事項

年平均気温

4月1日
~10月31日

冬期の最低極温

低温要求時間

甘かき

13℃以上

19℃以上

-13℃以上

800時間以上

枝折れや樹の倒壊を防ぐため、最大積雪深が概ね 2m 以下であること。枝折れを防ぐため、新しょう伸長期に強風を受けやすい園地での植栽は避けること。新しょうの枯死を防ぐため、発芽・展葉期に降霜が少ないこと。

渋かき

10℃以上

16℃以上

-15℃以上

枝折れや樹の倒壊を防ぐため、最大積雪深が概ね 2m 以下であること。枝折れを防ぐため、新しょう伸長期に強風を受けやすい園地での植栽は避けること。新しょうの枯死を防ぐため、発芽・展葉期に降霜が少ないこと。

くり

7℃以上

15℃以上

-15℃以上

新しょうの枯死を防ぐため、展葉期に降雪が少ないこと

うめ

7℃以上

15℃以上

-15℃以上

枝折れや樹の倒壊を防ぐため、最大積雪深が概ね 2m 以下であること。幼果は霜害を受けやすいので、幼果期に降霜が少ないこと。

すもも

7℃以上

15℃以上

-18℃以上

1,000時間以上
(台湾系品種を除く)

枝折れや樹の倒壊を防ぐため、最大積雪深が概ね 2m 以下であること。花器・幼果の障害を防ぐため、蕾から幼果期に降霜が少ないこと。

キウイフルーツ

12℃以上

19℃以上

-7℃以上

新しょうの枯死を防ぐため、発芽・展葉期に降霜が少ないこと。枝折れや病害を防ぐため、強風を受けやすい園地での植栽は避けること。

パインアップル

20℃以上

7℃以上

* 出典:「果樹農業の振興を図るための基本方針(果樹農業振興基本方針)、農林水産省 令和7年4月30日」