概論

7.主な作物の発芽温度と生育適温

  • 植物が正常に生育できる温度を「生育温度」、生育に最も適した温度を「生育適温」と呼びます。
  • 主な作物をその生育適温に高温性作物、中温性作物と低温性作物に分けて、それぞれの発芽適温と生育適温を示しました。
  • 同じ作物でも、品種によって異なることがあるので、発芽適温と生育適温を目安として参考にしてください。

高温性作物(高い温度帯を好む作物)

作物名

発芽適温

生育適温

温度

備考

適温

備考

オクラ 25~30℃ 20℃以下では発芽揃いが悪くなる 気温:20~30℃
地温:20~35℃
耐暑性は強いが、耐寒性は弱く 10℃以下で生育が停止、降霜にあうと枯死する。
ゴボウ 20~25℃ 20~30℃前後 比較的高温性で耐暑性は強い。地上部は寒さに弱く -3℃で枯死する。地下部は寒さに極めて強く、-20℃程度の低温でも圃場で越冬できる。
コンニャク 15~20℃ 20~30℃前後 比較的高温性で耐暑性は強い。
年平均気温が 13℃以上必要なため、冷涼地での栽培はできるものの、大きく育つことが難しく露地栽培では東北南部が北限である。
サツマイモ 地温15℃以上で発根 15~35℃ イモの肥大に適する温度は、20~30℃の範囲。38℃以上で生育が鈍る。
サトイモ 25~30℃ 最低温度12~15℃ 25~30℃ 温暖な気候を好むため、北海道では積算温度不足で栽培が難しい。地上部は低温に弱く、霜害を受けやすいが、地下部は短期間であれば 5℃まで耐える。
ショウガ 18℃以上 25~30℃ 15℃以下になると生育が止まる。10℃以下では塊茎は腐敗する
スイートコーン 20~28℃ 最低6℃、上限45℃ 22~30℃前後 雄花及び雌花の分化は、一般に低温・短日条件で早まる
スイカ 25~30℃ 25~35℃
トウガラシ 25~30℃ 発芽温度15-35℃ 25~30℃ 35℃以上になると着果・結実が悪くなる。
ナス 25~35℃ 発芽温度 15‐40℃変温が適する 昼間:23~28℃
夜間:16~20℃
最低7℃~最高40℃
ピーマン 30℃前後 最低15℃、最高35℃ 25℃ 最低18℃~最高32℃
メロン 25~30℃ 昼間:25~28℃
夜間:18~20℃
耐暑性は弱く、日本の夏季の高温多湿気候に適さない

中温性作物(温暖な気候を好む作物)

作物名

発芽適温

生育適温

温度

備考

適温

備考

インゲン 20~30℃ 最低温度15℃~最高温度35℃ 15~25℃ 栽培可能な気温の範囲は 10~30℃で、10℃以下では生育が停滞し、2℃以下になると葉の一部または全部が茶褐色に損傷する。
エダマメ 25~30℃ 10℃以下では不良になる 20~25℃ 春夏栽培が最も適している。花芽分化に対しては、早生種は日長時間の影響は少なく温度(高温)により開花が左右され、花芽分化には 15℃以上の温度が必要である。一方、晩生種(秋ダイズ型)は、短日植物であり日長(短日)の影響を受けて開花する。
キュウリ 25~30℃ 昼間:25~28℃
夜間:13℃
地温:20℃
温度変化に敏感で低温に弱い。霜に一度あうだけでも枯死する
トマト 20~30℃ 最低10℃~最高35℃ 昼間:25~30℃
夜間:10~15℃
30℃以上の高温では、着果・肥大・着色が不良となり、35℃以上では花粉稔性が低下し花落を起こす

低温性作物(比較的冷涼な気候を好む)

作物名

発芽適温

生育適温

温度

備考

適温

備考

アスパラガス 25~30℃ 15℃以下では発芽まで日数を要する。また、35℃以上では発芽障害が認められる。 15~20℃ 茎葉の生育限界温度は、最低 5℃・最高 38℃程度。
イチゴ 18~25℃ 最低温度5℃、最高温度30℃。
25℃より高い温度では、花芽形成は完全に阻害され、温度が 12~15℃以下となると日長にかかわらず花芽分化する。花芽分化の限界温度および限界日長には品種間差がある。
エンドウ 18~20℃ 最低温度4℃ 15~20℃ 生育温度は0~28℃。発芽直後から低温に感応し、花芽分化が起こり、分化後はやや高温で抽苔が促進される。
カブ 15~20℃ 最低温度4~8℃、上限は40℃ 15~20℃前後
カボチャ 25~30℃ 最低温度10℃、上限は40℃ 17~20℃前後 短日・低温の育苗条件は雌花着生を早め、反対に長日・高温の育苗条件は雌花の着生を遅くする。
カリフラワー 15~30℃ 最低4~8℃、上限は30℃前後 15~20℃ 最低温度5℃、上限は30℃前後。異常花蕾の原因として、生育初期の低温、花芽分化期(初期~後期)の低温や高温、苗の活着不良、肥料切れ、窒素過多などが関係する。
キャベツ 15~30℃ 最低温度4~8℃、上限は35℃ 15~20℃ 最低温度5℃、上限は28℃。結球適温は 13~20℃、28℃以上や 7℃以下では結球しにくい。
インゲン 20~30℃ 最低温度15℃~最高温度35℃ 15~25℃ 栽培可能な気温の範囲は 10~30℃で、10℃以下では生育が停滞し、2℃以下になると葉の一部または全部が茶褐色に損傷する。
コマツナ 20~25℃ 最低温度4~8℃、上限は40℃ 18~20℃前後 5℃以下、35℃以上で生育抑制される。
ジャガイモ 18~20℃ 15~24℃
シュンギク 15~20℃ 最低温度10℃、上限は35℃ 15~20℃ 夏季30℃以下、冬季5℃以下を保てば、経済栽培ができる。
セルリー 18~20℃ 15℃以下では発芽まで長期間を要する。25℃以上では発芽率が急激に低下する。 昼間:20~22℃
夜間:15~18℃
これより高温では、生育が抑制され、最低温度は 6~7℃まで生育するが、0℃以下では凍害を受ける。
ソラマメ 15~25℃ 10℃以下、35℃以上では発芽率が著しく低下する 16~20℃ 耐暑性は弱く、25℃以上では生育・着莢ともに劣る。幼苗期の耐寒性は強いが、春先に分枝が伸長を始めると、軽い霜でも低温障害を受ける。
ダイコン 24~28℃ 15~35℃程度が実用上の限界温度 17~21℃ 生育初期には高温にも耐えるが、平均 25℃を越えると、根部の肥大が悪くなり、肥大後は軟腐病や生理障害が発生しやすくなる
タマネギ 15~20℃ 最低温度4℃、上限は30℃ 20~25℃ 寒さに強い作物で生育初期では- 5℃程度でも耐える。球肥大の温度範囲は、15‐25℃。暑さには弱く 25℃以上になると生育は抑制され、気温が 30℃を越えると地上部の生育や球肥大が停止、休眠に入る。
チンゲンサイ 15~20℃ 最低温度1~5℃、上限は35℃ 15~25℃
ナガイモ 地温15℃以上で発根 17℃以上 平均気温 13~14℃が植付け適期、夜間は冷涼で温度格差のある気候を好む。
ニラ 20℃前後 最低温度10℃、上限は25℃ 20℃前後 5℃でも速度は遅いが生育し、25℃以上になると生育速度は速くなるが、葉が細く葉肉は薄くなる
ニンジン 15~25℃ 35℃以上の高温は発芽不良。10℃以下の低温では発芽不揃い。 18~21℃
(地温23~28℃)
収穫時期が高温になると、肥大不良で短根・短茎となる
ニンニク 15~20℃ 25℃以上では休眠状態になり発芽しない。 15~20℃ 暑さに弱く、寒さには比較的強い。25℃以上になると茎葉の生育は弱まる。
ネギ 15~20℃ 最低温度1~4℃、上限は33℃ 15~20℃前後 耐寒性・耐暑性が強い。
ハクサイ 15~20℃ 最低4~5℃、上限35℃ 15~23℃前後 結球適温は 15~16℃で結球に必要枚数を確保するために、少なくとも本葉10枚程度までは低温を避けるようにする。
ブロッコリー 20~25℃ 最低温度4~8℃、上限は30℃ 18~20℃
(茎葉の生育適温)
最低温度5℃、上限は30℃前後。異常花蕾の原因として、生育初期の低温、花芽分化期の低温や高温、活着不良、肥料切れ、窒素過多などが関係する。
ホウレンソウ 15~20℃ 25℃以上で発芽率が低下する。 15~20℃ 25℃以上で生育が抑制される。
ミズナ 15~35℃ 20~25℃ 生育温度は5~35℃。
レタス 15~20℃ 最低は4℃、上限は25℃ 25℃以上になると発芽が低下。 18~23℃前後

8.都道府県等での適応策の事例

9.協力者一覧(所属は執筆時【令和8年3月】)

長谷川 利拡 農研機構 農業環境研究部門 エグゼキュティブリサーチャー
礒﨑 真英 農研機構 野菜花き研究部門 施設生産システム研究領域 領域長