刈取り後からできる高温化対策導入ガイド

1.高温耐性品種の導入

近年では、水稲の高温耐性品種を導入する都道府県が増加しており、令和6年産では42府県において導入されております。
また、導入府県の増加に伴い、高温耐性品種の作付面積も増加傾向で推移しており、令和6年産における作付面積は20.6万ヘクタールとなり、主食用米に占める高温耐性品種の割合は16.4%となりました。

【品種別高温耐性品種の作付状況】

注:1 高温耐性品種とは、高温にあっても玄米品質や収量が低下しにくい品種をいう。本レポートでは、都道府県からの報告において、地球温暖化による影響に適応することを目的として導入された高温耐性品種の作付面積(都道府県の推計値を含む。)を取りまとめている(以下同じ。)。
					2 「-」は、作付けがないもの又は作付けしていても高温耐性品種として報告がなかったものである。
					3 主食用作付面積は、作物統計調査(面積調査)の結果による。
					4 「その他」とは、都道府県から報告があった高温耐性品種のうち作付面積が2,000ha未満の品種の合計をいい、酒造好適米を含む。なお、主食用米に占める高温耐性品種の割合は酒造好適米の作付面積を除いて算出している 。
					5 都道府県から修正報告があれば過去の高温耐性品種の作付面積及び高温耐性品種が占める割合を修正している。また、( )内の数値は合計から除外している。

 

農林水産省「稲種審査基準」へリンク 【令和6年産府県別高温耐性品種の作付状況(42府県)】
【高温耐性品種の作付面積及び主食用米に占める割合の推移(北・東・西日本)】
農林水産省 地球温暖化影響調査レポート(令和7年9月)より引用

2.土壌・施肥管理の徹底

米の高温障害を防ぐための土壌管理について、具体的な対策は以下の通りです。
※品種や土壌等により効果は異なります

  • (1)地力向上
    水稲の収量や品質は土壌の窒素肥沃度の影響を大きく受けます。水稲の吸収される窒素の過半は地力窒素由来と言われています。水田土壌における畑地利用頻度の増加等に伴い、地力が低下する傾向にあります。堆肥などを投入することで土壌の有機物含量を増やし、適度に地力を向上させます。
    また、ケイ酸質肥料・資材の施用により、ケイ酸濃度が高まると止葉期茎部の炭水化物濃度が高まり、後期栄養の凋落を抑制することや、葉温を下げ光合成能力の低下を抑制することができ、乳白米の発生抑制にも効果が認められています。また、ケイ酸含量が低い水田では、出穂期40日前から出穂期前までにケイ酸質資材を追肥することで、白未熟粒が軽減されます。
  • (2)作土深の確保
    適切な耕起深は土壌のタイプにより異なります。例として、耕起深は粘土質で10~12㎝、壌土質で14~16㎝、砂質では16㎝以上と粗粒タイプの土壌ほど深い耕起深により高収量を確保した圃場が多かったという事例も報告されています。土壌にあった作土深の確保が重要です。
    また、水稲の根の活性を生育後半まで高く維持させるには、酸素を多く含み、適度な透水性を確保した土壌環境にすることが望ましいため、例えば粘土が多い土壌では、代掻きの回数を減らすことや、土壌を機械的に練りすぎない表層代掻きなどが有効です。
  • (3)基肥・追肥の適正施用
    基肥の施用量やタイミングを適切に管理することで、植物の栄   養状態を最適化し、高温耐性を強化します。
    稲の窒素濃度との関係では、特に玄米中の窒素濃度が低い場合に、背白粒と基部未熟粒が増加するとされています。幼穂形成期には窒素を抑制して籾数の過多を抑制し、登熟期の窒素不足を防ぎ、米粒の充実を促進するような後期重点型の施肥が望ましいとされています。出穂期前の葉色や幼穂長を診断し、適切な穂肥を施用することで、登熟期の高温による品質低下を防ぎます。

3.営農管理システムの活用

圃場情報をインターネットの電子地図と紐づけて管理するZ-GISを活用することで、視覚的に圃場ごとの営農情報を把握できます。また、衛星画像解析とAI技術を組み合わせたザルビオ・フィールドマネージャーを活用することで、作物の生育状況や過剰/遅れなどを早期に把握できます。

  • (1)生育診断に基づく処方施肥・管理支援
    ザルビオ・フィールドマネージャーでは生育ステージや生育指数に基づく「可変施肥」、Z-GISでは圃場ごとに施肥状況を記録・分析することが可能です。これにより、穂肥の適正化や、窒素過剰による白未熟粒の発生抑制につながる精密な施肥設計が実現できます。
  • (2)気象データ連携と圃場別リスク分析
    Z-GISでは、気象予測・積算温度・過去の気象を確認できるため、高温リスクを定量的に把握可能です。また、ザルビオフィールドマ   ネージャーでは気象情報等に基づき病害アラートが表示されます。これにより、登熟期の水管理や施肥・防除タイミングを事前に調整できます。
  • (3)区画ごとのデータ蓄積と次年度への活用
    リモートセンシング+作業記録+施肥履歴を圃場ごとに蓄積・比較することで、毎年の品質改善サイクルが構築できます。白未熟粒の発生が多かった年の気象・管理記録を分析し、翌年の栽培設計に反映可能です。
  • (4)地域レベルでの情報共有と経営判断支援
    Z-GISやザルビオフィールドマネージャーは、複数圃場・地域単位での情報一元管理が可能です。地域で共通する課題(高温・水管理・施肥過多など)に対して、農業経営体やJA、普及指導員との連携による対策を図ることできます。