海外市場で求められる多様なニーズに応えるため、世界各国に海外拠点の設置を進めてきました。成長を続ける海外市場に対応するため、海外実需者ニーズを国内産地へフィードバックするとともに、国内から海外まで一気通貫させた流通体制を整備しています。国産農畜産物の輸出拡大を通じ、生産基盤の維持・拡大をはかります。
2017年にロサンゼルスに現地企業と共同出資で「P&Z FINE FOODS」を設立し、和牛の輸入窓口および和牛のスライス・包装加工・販売を実施しています。ブロック肉を顧客ニーズに応じて薄切り肉などに加工し、量販店、ホテル、レストラン等に販売できる体制を構築しました。
全農職員が駐在、カット技術を現地で指導
1979年に米国ルイジアナ州ニューオーリンズに穀物船積施設を運営する全農グレイン( 株)を設立しました。
また、1988年に米国中西部を中心とした内陸産地で穀物集荷施設を運営するCGBエンタープライズ(株)を買収し、産地から輸出までのサプライチェーンを確立しました。
さらに、世界の穀物需要が増加し、穀物集荷の競争が激化する中、2018年に全農グレイン(株)の輸出エレベーターを拡張(年間船積能力約1,800万トン、穀物輸出エレベーターでは世界最大)、2021年には大手穀物メーカーから内陸穀物集荷施設を取得しました。CGBエンタープライズ(株)と合わせて100基を超える穀物集荷拠点を有し、内陸産地から輸出港までのサプライチェーンの強化に取り組んでいます。
全農グレイン(株)(米国)
2017年に現地穀物取扱業者と穀物メジャーとの合弁で穀物集荷・輸出会社ALZ社(アマッジ・ルイドレファス・全農ホールディングス(株))を設立し、穀物調達体制を整備しました。
ALZ社(ブラジル)
2015年に豪州の穀物集荷販売会社グレインコープ社との共同出資により、穀物集荷会社GCC社(グレインズコネクト・カナダ・オペレーションズ(株))を設立しました。さらに、地元穀物取扱業者と輸出施設運営会社FGT社(フレーザー・グレイン・ターミナル(株))をバンクーバー近郊に設立し、2020年12月に船積施設の稼働を開始しました。
FGT社(カナダ)
中国による肥料の輸出規制や、ロシアのウクライナ侵攻により、世界有数の肥料生産国である国々からの輸出が滞り、一部の生産国に需要が集中したため、原料調達は不透明な状況が続いています。全農は、世界の大手サプライヤーとの長年にわたる取引の信頼関係を活かし、モロッコからの代替調達を進めるなど、肥料原料の安定確保に取り組んでいます。
中国からの切替でモロッコからりん安を輸入
全農が権利保有する農薬について、関連会社ZMクロッププロテクション株式会社や海外企業(委託製造会社)と連携し、農薬原体の製造を行い、安定供給に取り組んでいます。また、営農・技術センター農薬研究室では、製造プロセスの改良や品質管理等幅広い活動を通じて、低コストで高品質な農薬原体の安定調達に努めています。
委託製造している海外企業のプラント