ま行
マグネシウム
肥料の関連では苦土と呼ばれることが多い。元素記号Mg。マグネシウムは葉緑素の構成元素であり光合成で重要な役割を果たす。また炭水化物やリン酸の代謝に関係し、リン酸の吸収や体内移動にも関係する。欠乏した植物では特有の欠乏症状がみられる。マグネシウムの欠乏は、土壌中で可給態マグネシウムの絶対量が不足する場合と、カリウムなどが多いため拮抗作用で吸えなくなって欠乏となる場合がある。酸性土壌では雨水で流亡して欠乏となることが多く、特にカコウ岩、石英粗面岩を母材とする土壌や古い火山灰土壌、泥炭土壌で欠乏となりやすい。一方、カリウムが集積してマグネシウム欠乏がおこる事例は家畜ふん尿を多量に連用した場合にみられている。拮抗作用はアンモニウムでもおこるから、ふん尿を施用した場合春先にムギなどでマグネシウム欠乏となる事例もある。マグネシウムのみを保証する肥料は苦土肥料であり、硫酸苦土(硫酸マグネシウム)などがある。苦土肥料以外にもマグネシウムを保証する肥料は多く、石灰質肥料(苦土炭カルなど)、ようりん、苦土重焼りん、ケイ酸カリ肥料、ケイカルなどのほか、苦土入り複合肥料も多い。
マンガン
元素記号Mn。葉緑素の形成、光合成過程、酸化還元などの酵素の賦活剤、ビタミンCの合成などに関与する。マンガンの可給性は土壌のpH、Ehに関係して大きく変わり、pHが低い場合や還元土壌では吸収されやすい形態になっている。反面、老朽化水田では溶脱を受けてマンガン欠乏になる。畑では砂質強酸性土壌で溶脱してマンガンが少なくなった土壌や石灰過剰でpHが高い場合にマンガン欠乏が発生しやすい。
マンガン質肥料には、硫酸マンガンなどの水溶性マンガンを保証する肥料、鉱さいマンガン肥料などのク溶性マンガンを保証する肥料のほか、炭酸マンガン肥料(菱マンガン鉱)では可溶性(0.5M塩酸可溶性)マンガンを保証している。そのほかマンガンを保証する肥料に、BMようりん、ケイカルやマンガン入り複合肥料がある。
ミリグラム当量(meqまたはme)
ある元素(または元素団)の原子量(または式量)を原子価(荷電の数)で割った値にミリグラムをつけたもの。土壌中の塩基の量、陽イオン交換容量などを表すのに用いる。1meqはつぎの重さに相当し、それぞれ水素1mgに化学的に対応する量である。
元素(団) | 重さ(㎎) |
---|---|
カルシウム(Ca) | 20.04 |
同酸化物(CaO) | 28.04 |
マグネシウム(Mg) | 12.15 |
同酸化物(MgO) | 20.15 |
カリウム(K) | 39.10 |
同酸化物(K2O) | 47.10 |
ナトリウム(Na) | 22.99 |
アンモニウム(NH4) | 18.04 |
無機化
土壌中の有機物が主として微生物の作用で分解し、無機物に変化する反応をいう。窒素化合物について使われることが多い。有機質窒素肥料あるいは動植物遺体などを土壌に施用すると、土壌中の微生物はこれを分解して自分に必要なエネルギー、養分を獲得し増殖する。窒素を含む化合物(タンパク質、核酸、アミノ酸、アミドなど)はいずれもアンモニウムを生成する(アンモニア化成)。リン酸の場合も核酸などが分解して無機リン酸になる反応がある。ただフィチンがフィターゼの作用で分解する場合のように反応が特定される場合は、無機化には違いはないが、加水分解と的確に表現されるほうが多い。
「アンモニア化成」を参照。
無硫酸根肥料
硫酸イオンを含まない肥料。窒素質肥料では尿素、塩アン、硝アンなど、リン酸質肥料ではようりん、重焼りんなど、カリ肥料では塩化カリなどがある。老朽化水田などで硫酸が多いと還元の進行にともない硫化水素が生成され根腐れが生じ秋落ちの原因となるので、無硫酸根肥料の施用が勧められている。
モンモリロナイト
2:1型で膨潤型に属する結晶性粘土鉱物。ケイ素-アルミニウム-ケイ素の3層があり、この層がさらに積み重なった構造となっている。この層間が水で膨潤する性質がある。この粘土鉱物はCECが比較的大きいので塩基類の吸着保持能力が大きく、また保水性に富むなど優良な性質があり、その含有量の多い土壌は生産が高くなりやすい。